朝早くに来た教室。まだ誰もいない。
この数日閉めっきりだったせいか、空気が澱んていて埃っぽかった。
まあ、当然だろう。何せ、昨日までは冬休み。
夏休みなんかと違って人の出入りはそうそうないし、それに普通教室なんてよっぽどがない限り使われやしない。


僕は自分の席に鞄を置き、きれいな空気を取り入れようと僕は全ての窓を全開にする。寒い朝の空気が教室内に流れ込んでくるが、埃っぽい空気を吸うより幾分かマシだろう。

「天気のいい朝って、すっごく冷えるんだよね……」

窓枠に手をかけたまま、僕は外を眺めた。
視界の左端には昇ってまだ低い位置にある太陽が輝きだしている所。
反対に右側には月がかろうじてその姿を晒していた。
その間にそれらを邪魔する雲はない。青い空がただ広がっているだけ。

あの空の中を、あのスカイブルーの空色を掴めたらどんなに綺麗なんだろうか。
ふとそんな事を思うが、叶う筈なんてない。見る事しかできないんだ。

どうして空はこんなに青いのか。
子供の頃に誰しも思ったそんな事。

確か、地球に届く太陽光線の可視光が大気中の粒子に散乱されて、短い波長である青い色が強く見えるのだとか何とかって。僕も詳しくは知らないけど。
そうなる理由など知らなくたって生きてゆく事は出来るのだから、たとえ聞かれたとしても普通はその辺しか知らないし、説明されたとしてもきっと忘れてしまうだろう。

要するにその時は一生懸命になった事だとしても、後になれば忘れてしまうのだ、と。


丁度後ろに合った誰かの机の上に腰掛け、ぼうっとしつつまた外を眺める。
やはり登校時間の1時間前なんて、そうそう人が来る事なんてない。下に見える校庭を横切る生徒の人影はなく、たまに裏から車の音がして早めに来た先生方がいると分かるくらい。

思いっきり両腕を上に伸ばして上半身だけで背伸びをする。腰のポーチの中身が擦れ合ってじゃらりと音を鳴らす。肩の関節辺りからポキと音がするが気にしない。
別に気を張る必要なんてこの場所にはないのだが、やはり誰もいないというのは自分の地が出てしまう。うーんと唸りながらそのまま身体のあちこちを伸ばす。


なんで、誰もいないのが分かってる教室に早く来てるのか、自分にもさっぱりだった。
誰もいなければ喋る事も出来ない、ただ一人でいるだけだってのに。


早く起きたから、どうせだし早く学校行こう。
そう思って行動したのだが、今思えばすごく意味不明だ。
普段ならまだしも、今日は今学年最後の始業式で、半日で授業が終わってしまうのだから別に暇がないわけじゃない。


そんな自分の思考に嵌まりつつ、僕は身体のストレッチを続けていた。


「……何やってるの? ##NAME1##」



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