愛しき少女が取られてしまうだなんて心配は微塵もなかったのだけれど、それでも世間一般では「過保護」と名付けられている通り、幼馴染である綱吉は愛する彼女に近寄る虫は一匹たりとも許したくなかったのだ。手についてしまった少量の汚れを払い落とし、撃ち堕とした「虫」を満面の笑みで持って見下しながら「今回はこの程度で赦してやるけど、次はねーからな?」等と完全に気を失っているソレに向かって言葉を告げた。忠告を聞いたものなんて誰一人としていやしない。

曰く「校舎裏」と呼ばれる場所。
壁際にて呆れた視線で此方を向いた幼馴染の「兄」の方の双眸を射抜き、「殺してはいないよね」と明らかな嫌味の含んだ言葉を紡ぐのは、二人の可愛らしい妹を持つその兄―――並盛町では知らぬ者はいないと言えるほどに恐怖政治を築きあげている少年、雲雀恭弥。「ダメツナ」ごときに半殺しにされてショックのあまりの気絶だろうと思われる健全な少年達をチラリと一瞥するも、まぁ当然の仕打ちだろうと此方も反省の色が見えないのはご愛嬌である。



「なに心配してンだよ、殺しなんてそんな魅力的な…いやいや、非道なことはやってねーって」

「…本当に、君は未勾の事好きだよね…」

「未勾と同じくらいに可愛いヤツなんて、お前の末妹くらいだっつの。笹川はあれ、悪魔だし」

「そしてソレ以外は論外だ、と」

「勿論」



あまりの清々しさ故、言葉も出てこない。



「…それにしても、今日は多いね」

「ん? この身の程知らずの奴等?」



視線を地へと落とせば。彼の手によって倒れ伏せる数々の死体。否、未だ未遂であるけれど可哀想なほどにボコられた少年達。真逆(まさか)、かの風紀委員長に同情されているなどとは露ほども思わず横たわる彼等の数は年々増えていっているようにも思えるのだけれど、どこか違和感を感じずにはいられない。真相を知る綱吉へと視線を戻すと、本人はといえばキリッと真面目な顔つきを見せたかと思うと、やがてヘラッと乾いた笑みを浮かべてみせた。「だってコイツラの中に、澪宛に書いた奴もいるから」「…何のために、」可愛い可愛い妹たちのため、と紡いだその言葉を、恭弥は一ミリたりとも信じてはいない。
何故か、は。



いやぁ、あれ、幼馴染の末妹サンが好きなかわいー弟の為?

どうせストレス発散目的だろ



世間一般では「ダメツナ」と呼ばれている兄の方の幼馴染を完全に理解している者は、きっと後にも先にも幼馴染の風紀委員長だけだと思われる。







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