Amoroso




ほんの少し、未来の話。









―――夕方。
更に細かく言えば、午後5時を少し過ぎたあたりだった。日が短くなってきたからか、既に辺りは宵闇に包まれている。どちらかと言えば、夕方と言うよりは夜と言った方が雰囲気的には近い響きを持つ。
夏場だったらこの時間帯は未だ十分明るかったのになぁ、と窓から外を見つつ、準備を進める。一応、ポケットに毛糸の手袋を忍び込ませ、大空のボンゴレリングは、首にかけずに指へ通した。ケータイを取り、ちらりと財布を一瞥―――文明は進んだものだ、と嘆息。ケータイだけで十分だろうと見切りを付けて、ケータイだけポケットに突っ込んだ。
同時、ふと視界の端に見止めたのは、正方形の箱。―――本部より支給された、裏世界にさえあまり浸透しきっていない、武器、だ。「匣(ボックス)」と呼ばれる4〜5センチほどの大きさのそれを数秒見詰め、小さく溜め息を一つ。恐らく使う事はないだろうが、万が一と言う可能性も考えて、ここは持って行くべきだろう。ケータイとは違うポケットに入れた。
―――その時、既にポケットに放り込まれていたケータイが小刻みに震えだし、メールの着信を知らせる。いつも通り、条件反射の様にポケットに手を突っ込んでケータイを探り当てて取り出し、開くと。

沢田先輩へ。
ごめんなさい、予定よりかなり早めに集合場所に着いた。
自業自得だから、先輩が来るのを気長に待ってようって思ってたんだけど、事情が変わって・・・少し、面倒な事になってる、の、かな。
出来たらでいいけど、なるべく早く来てくれたら嬉しい。
澪より。

そんな、―――ヘルプ要請とも受け取っていいのか、曖昧な表現がされた内容に思わず目を見開かせた綱吉は、僅かに感じた違和感から何度かその文章を繰り返し読み上げる。そして数秒間だけ考えて、文章から読み取れる「彼女」の心理状況を分析。
導き出された結果は、


「―――・・・え゙・・・!?」


甘えたがりのくせに恥ずかしがり屋で意外と口下手な彼女―――雲雀澪が、どんなに控えめであろうとも遠回りであろうとも、要するに「早く来て」と懇願するような言い回しをした、と言う事に、少しの驚き。
同時に沸き起こったのは、言うまでもなく―――、


「(今すぐ、行くから・・・!!)」


焦燥。
強く思う事で、文明の利器よりも手っ取り早くその思いを伝えた彼は、慌てた様に家を飛び出した。






Amoroso












俺の「嫌な予感」って、当たる確率かなり高いと思うんだ。


「(・・・やっぱり・・・っ)」


集合場所にと指定した、駅前のちょっとした広場。息を切らせながら少し視線を滑らせると、案外、直ぐに見付かった。
良かったと安心すると同時、その状況に眉根を寄せる。彼女が座っているそこを囲むように、三人の青年が立っていた。彼女に何かをしきりに話しかけているけれど、当の本人は軽く顔を顰めつつケータイを握り締めて俯き、黙り込んだまま。
まるで、そのケータイが命綱だと言う様に。


「・・・。」


自惚れかも知れないけれど(でもそれは恐らく自惚れじゃないだろうけど)、まるで、俺から何か連絡があったら、直ぐに出られるように握っているみたいだった。
空気はとても冷たくて、曝している頬を削る様に撫でて行く。四肢の指先も凍った様に冷たいのに、―――心の奥底まで、ふわりとした温かい微風が流れ込んでくる感じ。


「(・・・今の澪の状況からすると、不謹慎かもしれないけど)」


―――俺は今、彼女を、「澪」と呼んでいる。
数年前とは違うその呼び方は、俺が中学を卒業する時に彼女の兄に許可を貰っていた(直後、「ワォ、あの台詞真に受けてたんだ」って鼻で笑われた。・・・ちょっとショックだった)。最初はそう呼ぶのがどことなく恥ずかしかったけど、最近になってやっと慣れてきたところだ。


「(澪)」
「!」


凄く好きだなぁ、って。
俺の聲を聞いて、直ぐに顔をあげるところとか、―――飼い主に呼ばれた仔猫とか仔犬とか、そんなイメージがある。例え周りに見知らぬ男が居たとしても、その仕草だけで、少しだけ沸き起こった嫉妬は直ぐに薄れて行ってしまった。
人ごみの中に居るからか、俺の姿を探す様に一瞬視線を彷徨わせた澪は、けれど直ぐに俺の姿を見付けて立ち上がり、


「って、ちょ、何処行くんだよ?」
「っ!」


俺の方に向かおうとした直後、その腕を掴んだナンパ男によってまたベンチに座り込んだ。
一瞬ムッとした俺だけど、直ぐに蒼褪める。―――こんな場面は過去何度か遭遇したことがある。その都度、澪は相手を殴るか蹴るかして掴まれた腕を強制的に外していた。恐らくは、幼い頃に根付いた防衛反応の様で、今ではそれが癖と化している行動。今では武術の心得があるからか、毎回相手を苦悶させてしまう凶器と化している。侮ってはいけない。
今回もきっとそうなると思い、俺は拳を握った澪を見て慌てて止めに入ろうとした―――時、その拳を抑える様に胸元に添えたのが見えた。明らかに、反射的に殴ろうとしてしまった拳を諌める様な仕草だ。
・・・同時に思い出したのは、少し前に似た様な状況になった時に、俺が言った言葉。


「―――偉い、偉いよ澪っ!」
「っ?」
「は? 何だお前―――」
「前に俺が言った約束、ちゃんと覚えてたんだね!」


触られる度に反射で殴らないよう、気を付けようね。と、苦笑気味に澪に言った記憶がある。―――恐らくは、それをちゃんと覚えていてくれたんだ。


「ちょ・・・にーちゃん、この子のカレシ?」
「は、」


きょとんとした眼を向けてくる澪の頭を撫でていたら、そんな声がかけられてそっちを向いた。・・・訝しそうに眉根を寄せたナンパ男が、俺に話しかけている。そこで初めて気付いた、あまりの驚きと嬉しさに、思わず澪のところに駆け寄っていたこと。
・・・しまった、思わず。


「あ、えーと・・・」
「・・・沢田?」


妙な登場の仕方をしてしまっておろおろしてると、―――俺に話しかけていたナンパ男の後ろにいたナンパ男その2が、不思議そうに俺に話しかけてきた。驚いてそいつを見ると、・・・あれ、どこかで見覚えがある顔。
えーっと、


「・・・吉田?」
「! やっぱ沢田か!? 久しぶりだな!」
「ひ、久し振り・・・って、ホントに吉田!?」
「そーだよ、この元ダメツナが! 彼女できたなんてきーてねぇぞ!?」
「え、報告義務あんの?」
「ないだろ。突っ込めよ」
「あ、ごめん」


思わず謝る。
彼は、吉田実。懐かしいなぁ―――リボーンがこっちに来たてのころ、俺に「バレーの試合出てくれ」って頼んできた奴だ。思えばそれが、俺が初めて頼みごとをされた瞬間だったっけ。
元クラスメイト。だから、俺が「ダメツナ」なのも知っている。高校に上がって、クラスのみんなはバラバラになって、それ以来会ってなかった。


「・・・なんだよ吉田、知り合い?」
「あ、センパイ」


―――どうやら、他のナンパ男二人は、吉田の先輩らしい。


「中学ん時のクラスメイトっすよ」
「へぇ。―――予想してたけど、マジで野郎付きだったとはなぁ」
「だなぁ、こんな上玉久しぶりじゃね?」


上玉って、今時そんな言葉使う奴いたんだ。と思って胸中引いてみる。と同時、ナンパ男の視線が澪にちらりと向けられ、それまで呆然と成り行きを見守っていた澪は静かに顔を顰めて見せた。その直後、視線から逃れる様に立ち上がって―――隠れるように寄り添い、俺の服をその両手で握り締める。
・・・今までこの役がヒバリさんだったと思うと少し嬉しくなった。・・・訂正。凄く嬉しい。


「カレシさんには悪いけど、ちょっと寝ててもらうって事で?」
「え゙」
「せ、センパイ?」


にやっ、と嫌〜な笑顔を浮かべてそう言った彼に、今度は素で引いた。
てか夕方とは言えこんな往来で暴行行為あったら直ぐ警察飛んできて捕まるんじゃ・・・。


「吉田、お前さっきこいつの事サワダって言っただろ?」
「え、あ、でも、」
「しかも、ダメツナ、って。つーことは、こいつ噂の沢田綱吉君だろ」
「勉強もスポーツもダメダメなダメツナ君。聞いたことあるぜ」
「センパイっ、確かにこいつ、そう呼ばれてましたけど・・・!」


―――俺を完全に見下してる視線だった。面倒な事になったなぁ、と彼らにばれないように溜め息を一つついてみる。
同時、不機嫌オーラが直ぐ隣からじわじわと溢れてくるのが判った。当時より離れた位置にあるその頭にぽんと手を乗せ、軽く頭を撫でて落ち着く様に促しておく。折角、その小さな拳を自分で諌めることができたのに。また振るう様じゃ、諌めた意味がないよ、と。
吉田も困ったような、けれどほんの少し憤慨した様に彼らの言葉を止めようとしてくれている。
でも、彼らは聞く耳持たない様子だった。


「つーわけで、ちょっと寝てくれよ、ダメツナ君?」
「ちょ、先輩!」


ぐ、と握った拳を即座に俺に向けてきた彼に、一瞬ぞっとした―――やっぱり、カタギでの喧嘩にしろ、マフィア絡みの闘争にしろ、戦うと言う行為には未だに慣れなかった。攻撃する、される、その恐怖感が小さくなる事は有れ、無くなる事はないだろう。
反射的に震えた唇を少しだけ引き締める。大丈夫、「いつもどおり」やれば、彼らもほぼ無傷で済む、から。
そう自分に言い聞かせ―――振り上げられたその拳をよく見て、軌道を推測。寄り添っている澪を、片手で背後にしっかり隠して。それから、もう片方の手で相手の拳を受け流しつつ、その力に逆らわない様に片足を軸に半歩ずれる。通り過ぎる拳を横目で確認、澪を隠した方の手で彼の肩を軽く突き飛ばす様に押してやると、―――ナンパ男は、どたんっと言う盛大な音と共に地面に倒れ込んだ。


「だっ!?」


小さい悲鳴が上がったけれど、そのまま呆然とした面持ちで数秒。―――何故か判らないけれど自分は今倒れている、と認識したのか、慌てた様に起き上がって俺を見上げる。


「・・・て、めぇ、さっき何やって・・・!?」


もう一人の先輩の方も、第三者であるにも拘らず何が起こったか判らなかったらしい。うろたえたまま、俺と、座り込んだままのナンパ男を交互に見ていた。
俺は、未だに混乱したまま座り込んでいる彼がほぼ無傷であることを確認後、へらり、とその彼に気のない笑顔を向けた。びくっと肩を竦めた彼を気にせず、一歩離れた所に立つ澪の手を掴んで、吉田に向き直り、


「吉田、悪いけど後は任せた」
「おー。悪いな、うちの先輩が」
「ううん、気にしてないから。・・・取り敢えず、この人は無傷だから安心して」
「ん。サンキュ」


そう言ってから、さっきのアレで集めてしまった周囲の視線から逃げる様に、澪と一緒にこの場から離れようとそそくさと動き出した。
けど、


「あ、カノジョさーん」
「?」


澪が吉田に呼び止められ、澪が振り向き、俺も肩越しに彼を振り返って。


「そいつ、昔はダメだったけど今は全然ダメじゃないから。さっきの先輩たちの台詞、見逃してやってくれ」
「・・・・・・・・・」


その言葉に、澪が少し考える様に黙り込んだと思うと、


「・・・違う。」
「「え?」」
「沢田先輩は、昔も、ダメなんかじゃなかったよ」


って。
・・・答えた。


「―――み、澪っ! 行こ!!」
「えっ?」


いや、あの。
幾らなんでも、さっきの俺の受け流し技(?)に静まり返っているこの場所で、そんな、そんなはっきりと答えてほしくない―――違う、嬉しいけど恥ずかしいから答えてほしくない・・・!
ぽっかーん、と呆けたように口を開けたまま固まっている吉田(と、その他ギャラリーの皆様)には何も返さぬまま、俺は引きずる様にして澪の手を引いて、その場から逃げだした。






* * * *






―――のは、いいものの。


「・・・ねぇ澪、」
「?」


暫く早歩きで歩いていたそのスピードを、少しずつ落として行く。待ち合わせに指定していたその広場は既にここからは見えなかった。それを確認してから、小さく切り出してみる。
澪はきょとんとした視線で俺を見上げてくる。けれど逆に、俺は眉根を寄せて彼女を見下ろして、


「予定より早く着いたって、メールにあったけど・・・どれくらい、待ってたの?」
「・・・・・・・・・」


そう言うと、少しだけ困った様に眉を下げてから俯いてしまった澪に、溜め息。


「手、さ。・・・ものすごーく冷たくて、握った時びっくりしたんだけど」
「・・・一時間、くらい、前から」
「そんなに時間あったなら、俺に連絡しとくとか―――そうでなくとも、どこかお店の中に入っていればよかったのに。風邪ひいたらどうするんだよ? 澪、病院苦手だろ?」
「―――ごめんなさい・・・」
「・・・・・・・・・」


申し訳なさそうに俯き呟いた澪を見下ろして、今度は俺が困った。―――謝ってほしい訳じゃなく、ただその体を大切にしてほしいだけなのに。心配だからこそ言った言葉を、怒られた、と勘違いされてしまっては困る。
別に、怒るつもりなんて全くないんだ。


「・・・澪は、ヒバリさんが風邪ひいたら心配する?」
「―――? ・・・うん・・・」
「それとおんなじ。怒ってるわけじゃない、ただ心配なだけ」
「・・・」
「だから、謝らないで」


言い聞かせるようにそう言って、俯く頭をそっと撫でた。黒髪に指先を埋めると、さらりと髪が揺れ動く。そのまま梳く様に撫でて―――おずおずと、こちらの顔色を窺う様に見上げてきた澪に、苦笑した。
「ね?」と確認を取ると、澪は少しだけ安心した様に目元を緩めて、同じく苦笑を浮かべて肩を竦める。それから「善処します。」と頷いてくれた。
えらいえらい、と子供に言い聞かせる様に撫でる。少し擽ったそうに小さく笑った澪は、―――唐突に、何かを思い出したように。


「あ、」


声を発した。


「?」
「先輩、あれ貸して」
「あれ?」
「うん。『27』印の手袋」


先輩の事だから、一応、って言う事で持ってきてるでしょ。そう言って、何気に期待の籠った眼で見上げてきた澪に、少しだけ迷った。
確かに持ってきてはいるものの、あんなんでも俺の武器だ。
―――けど、俺がその期待の目に勝てるはずもなく。


「・・・はい。」
「わ、本物だ」
「本物って・・・」


何に感銘を受けたのか、手袋を取り出して渡すと同時に、無表情ながらもキラキラと―――まるでおもちゃを受け取った子供の様な眼をした澪に、少しの苦笑。
いそいそと手袋を着け始めた彼女を、その隣で見守って・・・数秒後、


「うわぁ、」
「はいはい」


装着し終えた両手を、ぱっ、と前に突き出した彼女に苦笑した。目の前に並ぶ「27」にだろうか、感嘆の声を発した彼女に若干のくすぐったさを覚える。それと同時、俺の武器であるそれを澪がしている、って言う事に少しの違和感があるけれど。


「・・・今なら、死ぬ気になれそうな気がする」
「ならないでいいから。裸ンなったら風邪ひくって」
「そっか・・・」


それはあっさり頷いた澪。けれどやっぱり静かに興奮しているらしく、手を裏返したり、またひっくり返したり、ぐーぱーぐーぱーと握ったり開いたりと、手袋が忙しそうだ。
その後、突き出した両手に何を思ったのか―――左右の人差し指と親指の先をくっつけて、


「ゼロ地点とっぱ!」
「澪、それ面白い?」
「うん」
「・・・へー・・・」


浮かべていた笑顔が少し引き攣ったのはご愛敬。・・・正直、真似されてる側としては複雑だ。
更に澪は、片手をひっくり返し。


「改。」
「わかったから」


流石に何だか恥ずかしくなって、びしっと決めたその片手を強引に取り上げ、止まっていた足を早めに動かした。


「・・・先輩、ありがと」
「ん?」
「手袋」


すごくあったかい。そう囁いて嬉しそうに頬を緩めた澪に、―――うわぁ、やばい。いろいろやばい。何がって、少しだけ恥ずかしそうに頬を染めてることは勿論、嬉しそうに緩んでる表情も、そんな表情で見上げてくるところも。
その、柔らかく弧を描く唇に口付けたくて仕方なくて・・・でも、外でそういうことすると、澪はすぐに怒るから(結局は恥ずかしがり屋なんだよね―――公衆の面前であんなこと言えるくせに)。
なんだか胸の内に生まれた、不完全燃焼のモヤモヤとするモノ。それを昇華する様に、手袋に包まれた澪の手をぎゅうーっと握りしめる。・・・手袋と、澪の手の大きさが、明らかに違うことに気付いた。澪の手が小さい。手袋が、ぶかぶか(俺は、丁度いいのに)。
―――それに気付いて、不完全燃焼のモヤモヤが更に増していく。あぁ全く、昇華どころじゃなくなった。
さて、どうしよう。


「(あ、指・・・)」


澪が手袋してるせいで、絡められないや。
そう思った直後、違うだろと自分で突っ込む。そうじゃない、そうじゃないだろ俺、このモヤモヤを消すんだろ。澪を襲うフラグ自分で立ててどうする。しっかりしろ俺。
何て葛藤を知ってか知らずか、澪は機嫌よさそうに俺の後をついてくる。あぁもう、可愛い。くそ。
大体澪は身長も少し低めだし、だから手だって小さいんだ。指も細いし、ちゃんとご飯食べて、・・・食べてる、はず。その辺はどっちかって言うとヒバリさんの管轄下・・・なのか? そう言えば雲雀家の料理ってどうなってるんだろう、澪が作ってるのかな(あ、ヒバリさん羨ましい)。


「・・・先輩、ちょっと、手離して」
「ぅえっ!? あ、うん、」


言われ、慌てて手を放すと―――放した方の手袋を外し、俺に手渡してきた。もう飽きたのかな、何て思考の隅で思うと、けれど直ぐに繋がれた手に驚く。
・・・絡められた指はやっぱり細くて、冷たい様な熱い様な、不思議な体温。片方だけの手袋を握り締めながら、おずおずと澪を見下ろして、


「・・・・・・・・・。」


でも、すごく満足そうな表情だったから。
妙に焦ってしまい、少しだけ呂律が回ってない口調で、何とか一言。


「・・・さむく、ない?」
「ううん。手袋よりも、暖かいよ」
「(あぅ・・・)」


何とか呟けたその一言も、さらっと(しかも嬉しそうに)返され、頬を染めて項垂れる。
可笑しそうに笑われて、少しだけむっとした。






























現在は、少し過去の話。
アモローゾ(Amoroso)=恋人、婚約者





■□■□■



と言うわけで、りん様、そして匿名様、リクエストありがとうございました。


改めましてりん様、初めまして! 管理人のろろです。企画に参加してくださってありがとうございました!
澪嬢のような妹が、ですか!? あわわ、ありがとうございますっ、親馬鹿としてこれ以上ないくらい嬉しいお言葉です!!

いちゃついてます…か?



そして、りん様は特に指定なかったのですが、匿名様は「空悪10年後で、澪ちゃんとツナのデートが…」とありましたが…

十年後の二人が、外でデートするイメージが…二人とも忙しくてあまり遊びにいけなさそうだなぁ、とか考えながら書いてたら、高校生くらいでまとまりました。

…デートかどうか微妙なモンですねわかります。


吉田の先輩ズがやけに古臭いのは目をつぶってくださると嬉しいです。書いてる奴が古い人間なんだぜ。


以下おまけです。
ちゃんとお家で留守番してる兄上と、そんな兄上にちょっかい出しに来たリボ君。




















「…ヒバリ」

「? …あぁ、赤ん坊。来たんだ?」

「今日はツナと澪のデートじゃなかったか?」

「デート…かどうかは知らないけどね。沢田綱吉と出かける、とは聞いてる」

「なんだ、後つけたりしないのか。つまらねぇな」

「何言ってるのさ。そんな面倒なことしなくたって、帰ってきた澪に『どうだった』って聞いた方が、ずっと楽しめるよ」

「…お前、妹のこと好きじゃなかったのか?」

「そうだね、…からかうと直ぐに真っ赤になって慌てて、おろおろしながら弁解しようとして、逆に墓穴掘る姿とか。特に好き」

「…今澪に同情したぞ」

「可愛い子ほどいじめたくなる、っていうやつかな」

「それはガキのすることだろーが。てめー今いくつだ」

「何を今更。僕はいつでも好きな年齢だよ」

「………。」



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