Ver.不思議の国のアリス



はじまり、はじまり!











昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に


「ランボ君、台本違う・・・」


え? ・・・あ、あぁ、失礼。
えー。ある国の王妃様は、毎日毎日、魔法の鏡に向かって質問していました。「この世界で一番美しいのは誰なのかしら?」。鏡はいつも―――


「それも違う。第二候補だった白雪姫だよ」


あ、あれ? ちょっと待ってください、澪嬢。
えーっと・・・ちょ、スタッフさん! 台本! 台本違ってます!!
―――え? あ、これですか。はい、・・・澪嬢、今回の劇は「不思議の国のアリス」で間違いないでしょうか。


「うん、それ」


了解です。えー、それでは・・・ごほん。
長らくお待たせしてしまって、申し訳ありません。「空の悪戯」Ver.不思議の国のアリス、始まりです。
以下ナレーションは俺、大人ランボです。よろしくお願いします。その他配役は、管理人の厳正なる阿弥陀クジの結果、以下のような結果になりました。


アリス・・・雲雀恭弥
チェシャ猫・・・三崎傑
白うさぎ・・・雲雀澪
三月ウサギ・・・山本武
帽子屋・・・沢田綱吉
ハートの女王・・・クローム髑髏
トランプ兵1・・・獄寺隼人
トランプ兵2・・・六道骸


以上に拒絶反応を示した方は、間髪いれずにバックオーライです。
―――それでは。
少しでも楽しんでくださるよう、我々キャスト・管理人一同、尽力いたします。・・・多少のキャラ崩壊は勘弁してください。ちなみに管理人は「巫山戯る気満々です」との事です。
改めまして、「空の悪戯」Ver.不思議の国のアリス、ハジマリハジマリ。
・・・どーなっても俺は知りませんからね!








Ver.不思議の国のアリス








この物語の主人公アリスは、ブロンドの髪に水色のワンピースを着た、可愛らしい女の子―――ではなく、黒髪黒目に学ランを背負った、目つきが限りなく悪いけれどとても綺麗な顔立ちの少年でした。はい、この時点で「アリスじゃねぇ!」なんて突っ込みはナシの方向でお願いします。誰がなんと言おうと、アリスは彼女、あぁいや、彼がアリスですから。
兎に角、その日アリスは、お姉さんとのピクニックを楽しんでいました。しかし、途中で不思議な白ウサギを見かけたアリスは、その白ウサギに興味を抱いてウサギを追いかけて―――


「咬み殺す」


ってちょ、雲雀氏、あの、俺ナレーション役なんです、トンファー構えないでください頼みますから・・・! てゆーか劇ですよ、たかが劇ですよ!?
澪嬢、澪嬢! じゃなかった、白ウサギさーん!


「お兄ちゃん、何でランボ君追いかけてるの。追いかけるのはランボ君じゃなくて私だよ」
「チッ」


い、いま舌打っ・・・が、ま、ん・・・っ!


「ランボ君も、時間押してるから早くして」
「澪、その格好面白いね。燕尾服着てウサギの耳つけてるなんて。・・・懐中時計すごく大きいけど」
「でしょ。私もびっくりした」


うぅ・・・出だしからこんな調子で大丈夫でしょうかこれ・・・。
えーと、どこまで読んで・・・―――こほん。白ウサギに興味を持ったアリスは、そのまま夢中で白ウサギを追いかけていきます。


「大きいから、走るのに少し邪魔なんだ。急いでるのに・・・」
「設定上ね」
「・・・お兄ちゃん、それ言っちゃ駄目だよ」


・・・。
―――澪嬢、澪嬢?


「?」


何暢気に雲雀氏と話してるんです。白ウサギが穴に落ちる前にアリスに捕まっちゃ駄目ですよ、物語進まないどころか始まりもしませんよ?


「あ、そうか・・・じゃあお兄ちゃん、私、遅れちゃうから先行くね」
「大丈夫だよ、遅刻なら免除できるし」
「・・・えっと・・・」


そーゆー訳にも行かないんですアリス。白ウサギの遅刻は免除されません。遅刻したらハートの女王様に首刎ね飛ばされるんです、だから早くその手離してください、物語が進みません。


「やだ。」
「お兄ちゃん・・・じゃなくて、アリス・・・」
「・・・澪、『お兄ちゃん』でいいから。そっちは嫌だ、気持ち悪い」
「?」


・・・。
仕方ないですね。ナレーションの権限その1―――場面飛ばし発動です。






* * * *






―――っと。
さてさて、白ウサギを追って謎の穴に落ちたアリス。森の中を歩いていくうちに、不思議な出来事に何度も遭遇します。そう、ここはパラドックスと不条理と非現実を混合した、地下にある夢の世界なのでした。
そこでアリスは不思議な―――って、ちょっと待ってください雲雀氏! ななな何で急にトンファー構えるんです!? 怖いじゃないですか!


「澪が居なくなった。どこ?」


今は劇中です・・・!


「・・・。白ウサギが居ない」
「ハートの城で見かけたぞー」
「は?」


って、うわぁー! 三崎氏待ってください、フライングですまだ俺チェシャ猫のくだり何も朗読してないじゃないですかー!
えーと、・・・こほん。アリスは帰ろうと思いましたが、帰り方が判らず困ってしまいました。白ウサギも見失ってしまったし、どうする事もできません。そんな時、アリスに声をかける猫がいました。
三日月の様に笑うチェシャ猫が、木の枝からアリスを見下ろしていたのです。


「傑、何それ気持ち悪い。四捨五入して三十路の男がピンクい猫耳つけてるってどうなの」
「俺だって嫌だけどさ・・・所詮は運だろ」
「そうだけど。・・・澪は似合ってたのに。白いうさぎ耳・・・」
「あぁ、可愛かったなーアレは」
「・・・。見たの?」
「いや、みんな見てるだろ・・・。そーいうアリス役のお前は、水色のワンピース着てると思ったんだけどなー・・・どこの世界に学ラン着てトンファー常備のアリスが居るんだか」
「探せば居るんじゃない」
「いやー、当人は除外されるって最近生徒その1に教えられてな」
「・・・」


・・・。―――・・・が、ま、ん・・・。


「傑、少しだけ顔貸してよ。チェシャ猫なんだから取り外しできるだろう」
「痛いのは嫌デス」
「いいだろ少しくらい。その莫迦面、思い切り殴ってみたいって常日頃から思ってたんだ」
「しかし、いいのかアリス。そうこうしているうちに、白ウサギはハートの城へ向かってるはずだぞ」
「ちょっと、何いきなり劇に戻るの」
「ハートの城にはハートの女王が居る。元の世界に戻りたいのなら、彼女に帰り方を聞くのもまた一つの手だ。但し言動には気をつけた方がいい、あわよくば首をちょん切ってくるぞ」
「・・・そんなスプラッタ女王、よく国を統治できてるね」
「白ウサギはハートの女王の部下なんだ。遅刻したならば即刻打ち首だろうなぁ、可哀想に」
「!?」


チェシャ猫はアリスに、元の世界に帰る方法を教えてくれましたが、それだけ言うとにやりと笑って、まるで空気に溶けるように消えてしまいました。
最後まで残った三日月のような笑みも消えると、アリスは驚いたように言いました。


「遅刻したら打ち首・・・? 澪が・・・?」


台詞違いますアリス。


「・・・。えーと、・・・『猫のないニヤニヤ笑いなんて。僕が生まれてから見た、一番おかしなものだ』。・・・これって日本語の文法的に変だよね」


そんな感想誰も聞いてません、雲雀氏。しかもすごい棒読み・・・。
ってトンファー構えないでくださいってさっきも言ったじゃないですか怖いですよ!


「じゃあ僕に口答えしないでよ。移動するよ」


うぅ、なんだか理不尽です・・・。






* * * *






アリスは城までの道がわかりませんでしたが、仕方なく、森をそのまま歩いていきました。また誰かに会ったら、その人に城までの道を聞けばいいと思ったからです。
暫く森を歩いていると、何やら賑やかな話し声が聞こえてきました。声が聞こえてくる方を見てみると、そこは三月ウサギの庭でした。庭にあるテーブルには、三月ウサギと帽子屋が腰掛け、お茶会の真っ最中のようです。


「あれ? アリスが来、・・・って、ヒバリさんー!?」
「お! よぉ、ヒバリじゃねーか! どーしたんだ、こんな森ん中で」
「ちょっとね。城への行き方教えてほしいんだけど」
「(迷子!?)」
「城なら、そこをびゅーんっと行ってだな、ぐぐーっと曲がってドドドーッと行くと、ばーんって出てくるハズだぜ」
「山本武はもう喋るな。沢田が教えろ」
「(消去法!?)えっと―――そ、そこの道を真っ直ぐ行って・・・」


帽子屋にお城への道を聞いたアリスは、小腹もすいた事ですし、三月ウサギの勧めもあって少しだけお茶会に参加する事にしました。


「そんな暇ないよ。僕は城へ行く」
「で、でもヒバリさん、あの・・・」


・・・。
三月ウサギの勧めもあって、少しだけお茶会に参加する事にしました。


「ヒバリさんが、じゃなくてアリスが次の場面に行くって言っても・・・」
「ランボがページ進めなきゃ、物語は進まねーんだよな!」
「・・・・・・・・・」


・・・す、少しだけお茶会に・・・参加する事に、しました。


「・・・・・・・・・」


さ、参加・・・する事に・・・、


「・・・・・・・・・」


参加・・・してくださいお願いします・・・うぅっ・・・!


「ちょ、ランボ泣くなよ!?」
「・・・チッ」
「(あれ、今なんか舌打ちみたいな・・・)」
「まーまー。ヒバリ、なんか急いでるみたいだけどさ、お茶飲んでくくらいの時間ならあるだろ?」
「時間は消耗品なんだから、余裕を持って行動するべきだよ。澪の首がかかってるんだから」
「く、・・・え!? ど、どういう意味ですかヒバリさん。澪ちゃんの首って」


う・・・うぅ・・・。
が、ま、ん・・・っ!


「澪が白ウサギ役でね。傑に・・・じゃなくて、チェシャ猫に言われたんだけど、遅刻したらハートの女王に首切られるって」
「成る程なー。ヒバリは澪が遅刻してないか心配で、急いでるって訳か」
「澪ちゃん、白ウサギ役なんだ・・・三崎先生がチェシャ猫・・・」
「・・・ところで―――傑の猫耳も気持ち悪かったけど、山本武、何それ」
「ん? これはうさ耳だな。なんか着けろって言われて・・・って事は、この分だと澪もつけてるのか! 白ウサギだし」
「えー!? マジで!? 澪ちゃんがうさ耳ぃ!?」
「・・・沢田、それってどっちの『えー』なの。悪い意味なら容赦しないよ」


ご安心ください雲雀氏。ボンゴレは絶対今「見たかった!」とか思ってるはずです。


「うわー!! ランボ、復活した直後に余計なこと言わなくていいからー!!」
「ははは、ツナ否定しねーのな!」
「!!」


ほら見てください雲雀氏、すごい顔真っ赤じゃないですか。これが証拠です。


「・・・たまに思うけどさ、君、莫迦だよね」
「うぅ・・・ヒバリさん、同情の眼差しが地味に痛いです・・・」

がさっ、

「「「?」」」


あ! あ、あわわっ、っと―――!
えー、こほん。そんな時、慌てたように道を走っていく影がありました。そう、首から懐中時計を下げた白ウサギです。


「ちこくー、ちこくー」
「!?(澪ちゃん!?)」
「あ、澪・・・!」
「澪、すげー棒読みだな・・・」


慌てて立ち上がったアリスは、道の向こうに消えてしまった白ウサギを追って、お茶会場を後にしました。
見失いそうになりつつも、アリスは必死に白ウサギを追って・・・


「逃がさないよ澪」
「お、お兄ちゃん本気で追いかけてこないで・・・!(何か怖い!)」


・・・お、追いますが・・・えーと、どんなに走っても、白ウサギとの距離は縮まず、追いつけません。


「う、わぁっ・・・!」
「捕まえた」


って雲雀氏捕まえちゃ駄目です、そしてそういうシチュエーションは恋人同士でやるべきです!!


「何で」


何でって・・・えぇええー・・・ちょ、あの、劇ですよこれ・・・?


「知らないよ」


せめて知ってくださいよ!?
あぁもう、ナレーションの権限再発動です!






* * * *






えー。
そのころ、ハートの城でh


「咬み殺す!」


ってゲフゥッ!?
な、ななな何で追いかけてくるんですか雲雀氏!? つか速! そしてどこから出てきたんですか!? ココもう城の中なんですけど!?


「僕に不可能は無いよ」


どこのフランス人ですかソレ!?


「そんな事より、また澪が居なくなったんだけど。今度も君の仕業かい? そんなに殺されたいの」


って、ちょっと待ってください! マジで収拾がつかなくなってしまいますから落ち着いt


「何でハートの女王が十代目じゃねぇんだぁぁぁあああ!!」
「ちょっと煩いですよトランプ兵そのいち。どうです女王陛下、この喧しいトランプの首を切り落としてみては」
「骸様がそう言うなら・・・」
「喧嘩なら買うぞコラァ!!」


あぁもう既に収拾つかなくなってる!?
と言うかボンゴレがいいって莫迦じゃないですか獄寺氏!? 女王ですよ、王ならともかく女王ですよ!?
そして女王! 部下を様付けする国のトップがどこにいますか!?


「このアホ牛、今莫迦っつったな!? 莫迦って言った方が馬鹿なんだよばーか!」


子供ですか獄寺氏!?


「骸様を呼び捨てなんて・・・私にはできない・・・」
「クフフ、いいんですよクローム。コレは所詮劇ですし」
「・・・あ、骸様がハートの女王になって、私がトランプ兵に」
「それは嫌です。」
「・・・・・・・・・」


別にいいですけどね、どーでも・・・


「・・・あ、あれ? 何でお兄ちゃんがここに?」
「あ、澪。遅刻しなかったかい?」
「あ・・・遅刻、しちゃったの」


―――は?
え、どういうことですか澪嬢?


「えと、だから、タイムカード押したら、定時より1分過ぎてて・・・どうしよう。ごめんね、髑髏・・・」
「澪・・・」
「・・・髑髏、私の首、刎ね飛ばしていいから」
「でも澪、私、そんな事できない・・・」
「ダメだよ。私だけ免除なんて、そんなの出来るわけないでしょう。貴女はハートの女王なんだから、責務は果たさないとダメだよ」
「澪・・・でも・・・私は・・・」


・・・え? あれ、アリスって泣ける話でしたっけ?
と言うかハートの女王と白ウサギの友情話でしたっけ?


「違いますよ、少女が不思議の国に迷い込んだ話じゃないですか」


ですよね?


「十代目はどこだ!?」
「さっき向こうで山本武とお茶会してたよ」
「なにぃー!? 山本の野郎、十代目の右腕は俺だぁあー!」


あ、獄寺氏が行ってしまわれた・・・


「いいよ、邪魔だし」


まぁ敢えて何も突っ込みませんが。
って、あれ!? 俺(ナレーション)が台本読んでないのに何で場面が進んで・・・つかここどこですか? え、なになに、俺が台本読まないから勝手に進めた? そ、そんな莫迦な・・・!


「髑髏・・・もしも生まれ変われるならば、そのときはまた遊んでね・・・」


澪嬢どこの召使ですか!? なんか管理人が遊んでいる気配が物凄く伝わってくるんですが、お気を確かに澪嬢!


「うん・・・澪、もしも生まれ変われるならば・・・―――」


髑髏さんも乗らないでください!
って六道氏、あんた何やってんですか!?


「え・・・ほら、青い王子の役ですよ。アイスが好きな」


アリスに王子登場しませんよ!? 貴方はトランプ兵その2でしょう!?


「クハハハハッ! この僕がそんな脇役などに納まっていられるとでも」


せめて「アリス」内のキャラで納まっててくださいよ! 飛び越えちゃいけないいろんなものを飛び越えてますよ六道氏!
って、・・・あ、あれ? ひ、雲雀氏?


「―――澪、ごめん。もう我慢できない。群れすぎ」


え、あの、ちょ、・・・お気を確かにアリス!?


「・・・咬み殺す!!」


トンファー振り回さないでくださいアリスぅぅぅぅううう!!

























おしまい、おしまい!






■□■□■



と言うわけで、匿名様リクのアリスパロでした。ありがとうございました!

・雲雀さんに「お兄ちゃん」って言わせてみたかった
・最近出しゃばってる(らしい)生徒その1
・『猫のないニヤニヤ笑いなんて、私が生まれてから見た一番おかしなものだ』⇒ウィキさんより発見、アリスの名台詞?
・ナポレオン雲雀さん
・ごっくん追い払うバリ様
・悪ノ!
・溶けてしまいそう〜←アイス
・グミシップ696号

が、楽しかったです。


雲雀さんの「咬み殺す」発言で話が終わる法則? 重宝してます。はい。




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