真実-1




「傑ちゃん、ヒバリさんの妹と付き合ってるって噂マジ?」


生徒が往来する休み時間の廊下で、男子生徒Aに質問された。
その内容にあまりにも驚いて、目を丸くする。「ちゃん付けするな敬語を使え」と、売り言葉に買い言葉よろしく返すはずのそれらは出てくる気配は無く。自分でも判るくらい、ぽっかーんと口を開けてしまった。
―――それから、目を据わらせて生徒を見返し、


「あ゙ぁ?」
「ガラ悪っ」
「黙りなさい」


男子生徒Bの呟きに丁寧に返してから、俺は眉間に寄った皺に指先を添えた。


「あー・・・俺をロリコンに仕立て上げたいのか、雲雀に俺を殴らせたいのか、俺の教職人生終わらせたいのか。どれだ?」
「いや知らんし」
「単純に面白がってるだけッスよ。噂なんてそんなもんでしょ」
「そりゃそうなんだが・・・」


三人の中で比較的礼儀正しい男子生徒Cが呆れながらそう言ってくる。
けど、何か腑に落ちねぇ。


「で、傑ちゃん。実際どーなの?」
「美人は好きだがそこまで節操無くない。と思う」
「その発言微妙ッスよ、先生」
「でもさー傑ちゃん、煙の無いところに火は立たぬってゆーじゃん」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・誰か突っ込んでよー!!」
「お前ら突っ込んでやれよ、友達なんだろ」
「無駄ですって、コイツ莫迦ですもん」
「俺やだよめんどいし」
「みんな酷い!」


喚く生徒たちに薄く笑い返しながら。
―――内心、焦っていたりする。







実在しないとは







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