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「トリックオアトリート。」

嫌な思い出があるからだろう、お兄ちゃんは思い切り顔をしかめた。
けれどすぐに、いつもの薄ら笑いを浮かべる。

「…へぇ。イタズラするの? この僕に、澪が」

…たまに思うんだけど、お兄ちゃんってなんでこんなに偉そうなんだろう。
ほら、草壁先輩も遠い目でお兄ちゃんのこと見てるよ。

「お兄ちゃんというより、草壁先輩にかな」
「? どういうこと?」
「お菓子くれなかったら、草壁先輩を少し借りてくよ。…その書類、草壁先輩抜きでお兄ちゃん一人で頑張ってね」
「!?」

今度開かれる秋祭りについて、申請のあった屋台の数や場所、警邏の時間や道順などなど、たくさんの書類が机に聳えているのを一瞥。
事の重大さに気づいたお兄ちゃんは、少し顔が引きつっている。
草壁先輩はぽかんとしていた。

「ちなみに…ラ・ナミモリーヌの期間限定パンプキンタルト、午前中に草壁先輩に買いに行かせてたよね」
「…」

お兄ちゃんは少し唇を尖らせて考えた後、静かに席を立ってお茶菓子が入っている棚を開け、中にあるラ・ナミモリーヌの箱を取り出した。

「今食べたいってこと? それとも、2人分食べたいの?」

その質問にはあえて答えず。
箱を受け取ると、かぼちゃの美味しそうな香りがふわりと漂ってきた。匂いでこんなに美味しいのだから、食べたらもっと美味しいに違いない。
思わず頬を緩めながら、草壁先輩に向き直る。私とお兄ちゃんのやりとりに苦笑していた目元が、戸惑いに軽く開かれた。
この人は本当に、見かけによらず誠実だ。

「草壁先輩、今日限定の合言葉は?」
「今日限定…? トリックオアトリート、でしょうか」
「うん、正解。はい、お菓子」

手に持っていた箱を、そのまま渡した。

「ちょっと待って。澪、どういう意味?」

すかさずお兄ちゃんからのツッコミ。どうもこうもない。草壁先輩にはこんなに助けられてるのに、一緒にお茶したことがないなんて。私にはそれが、少し申し訳なかったのだ。お兄ちゃんが退室させてるのか、草壁先輩が自主的に退室してるのかはわからないけど。
いつもお世話になっているのだから、たまには一緒にお茶して息抜きしてほしい。ハロウィンをダシにした拙すぎる作戦?だけども。

「草壁先輩、紅茶でも入れておいて。私、同じタルト買ってくるから」
「は…いえ、自分が買ってきます! 澪さんはこちらで、」
「草壁先輩の紅茶、久しぶりに飲みたい」
「…で、ですが」
「あ、3人分だからね。…ああ、あと、私が帰ってくるまでにいなくなってたら、それこそ本気でイタズラ仕掛けるから」

最後に脅し文句を付け足して、鼻歌でも歌いたい気分で応接室を出て行く。
そういうことか。納得したような兄の聲が聞こえて、小さく笑った。



※※※


「…委員長、よろしいのですか?」
「いいよ。最近は人混みとかでも体調崩すことは少なくなってきたみたいだし」
「ですが…」
「それよりも、草壁。お茶の準備しなくていいの? あの子、お茶の準備してないだけでもイタズラ仕掛けてくると思うよ」
「は。では、すぐに」
「頼んだよ」










ハッピーハロウィーン!!


更新ないですごめんなさい。

@秋祭りはこの時期やってるものなのか謎
A嫌な思い出=ケモノ化
B雲雀さんが草壁さんにも優しい
その他突っ込みどころ満載

稚拙すぎて見る価値ない駄文にてお目汚しすみませんでした。目をよく洗ってからおやすみなさ…



おやすみ…《カボチャみたいな頭の男の子》…←ローラン病