ちょ、誰だよ地雷まで用意した奴!!

××

そんなわけで早速フードを深くかぶり、更にだて眼鏡を掛けて準備完了!!

髪の毛も見えないよう完全に隠してるし、ぱっと見私が風丸亜紀だということはわからないだろう

そして次に用意するのがみんなに配るプレゼント

とは言ってもまだ全然用意しきれてない

とりあえず、渡せるメンバーに渡しつつ、途中で買ってくしかないかな……

そして次の問題はどこから外に出るか

木枯らし荘から出るにはどうやっても一階のリビングを通る必要がある

だがそれに関してもノープロブレム

シューズは部屋にあるし、それに……窓からでればよくね?←

大丈夫、前世とかで散々ものすごい目に会ってきたのだ

今更窓から飛び降りるぐらい屁でもないさ

というわけで、ちょっとばかし窓から飛び降りてきます←

次会うときは………まぁ、ある意味戦場だな

××

飛鷹side

午前10時になり、いつものように雷々軒の暖簾をあげる

開けたばっかりの店内はガランとしているが、お昼近くになれば一気に席が埋まるだろう

お昼に来る客の量を予想しながらスープを準備する

開店前にほとんど作っておいたスープに塩などを足しながら微調整していく

後は盛り付けるようのもやしや卵などを準備しながら客を待つだけだ

厨房の奥にある冷蔵庫から材料を取ってこようとしたら、この時間帯には珍しく店の扉が開く音がした


「らっしゃいませー!!」


ほぼ反射的に振り返ると、そこには中学生ぐらいの人物が立っていた

フードやメガネで顔が隠されており、あまり良く見えない

ズボンを履いているところを見ると男子なのだろうか、しかし最近はボーイッシュな女の子も増えているため油断できない

前に間違えたことがあってあの時は大変だった

雷門のあのピンクの子……男だったんだな………

そのことを思い出していると既にその子はカウンターに座っており、メニュー表を見るとすぐさま注文してきた


「…とんこつラーメン1つとギョーザ1つ」


「あいよっ」


なんとも定番的なメニューを出してきた

おかげですぐに調理ができそうだ

この時間帯に来るのだからもしかしたらビッグ雷々ラーメン(一時間以内に食べ切れれば一万円プレゼント)を挑戦しにきたのかもしれないと思っていたがどうやら違うようだ

ちなみにビッグ雷々ラーメンは未だ壁山さん以外に打ち破られていない(というか、あの人が規格外なだけだ)

ラーメンの方は既にスープなどが準備してあるため、冷蔵庫から作り置きしてあった冷凍ギョーザを取り出す

フライパンに油を引いて熱し、そして水で溶いた小麦粉も同時に準備しておく

そしてフライパンが完全に熱されたらギョーザを敷き詰め、そして溶いた小麦粉をいれ、一気に加熱し蓋をする

その間にラーメンの麺を用意し、そしてネギを刻む

スープが温まったら器に麺と一緒にいれ、そして薬味やチャーシュー、卵をトッピング

そうするとちょうどギョーザが焼きあがるので皿に盛り付け、同時に出す


「お待ちっ!」


すると嬉しそうに割り箸を割ってラーメンを食べてくれた

ここまで嬉しそうな雰囲気を出されるとは思っていなかったのでつい顔を背けてしまう

ついでに昔からの癖で髪を梳こうとしてしまうが、ここは厨房なので思いとどまる

後で裏口から外にでてやろう

そう思いつつ、使った器具を洗う

一個一個丁寧に洗わないと響さんに怒られてしまうのだ


「ぷはーっ!食った食った!!おいしかったー!!」


すると、驚いたことにさきほど出したラーメンとギョーザが既に完食されていた

目の前にいる子は満足そうに口の周りをティッシュで拭いている


……まさかここまで早くに食べ終わられるとは

なんだか昔のことを思い出す

あの人も、俺の作った料理を早くに食べてよく喉を詰まらせていたな

昔の思い出に思いふけりながらフライパンを洗い続ける


「……いやー、本当すごいね、あの油っぽい料理がここまで進化するとは」


その言葉を聞いた瞬間、手が止まる

今思うと、やけにあの人と声が似ていたと気づく


「でも、やっぱり料理上手だな、さっすがトビタカンだよ!!」


その言葉を聞いてすぐさま振り返る

だけど既にそこにはお代とラッピングされた袋が置いてあるだけでさきほどまでの人物はどこにもいなかった

なぜ、さきほどまでの人物が昔の自分の料理を知っていたのか

なぜ、昔あの人にだけ呼ばれていたあだ名を知っていたのか

俺はまるで答えを求めるかのように、袋に手を伸ばし中身を取り出す

そこには一枚のメッセージカードと、真新しい手ぬぐいが入っていた


『メリークリスマス、トビタカン
 ちょびっとだけ早いサンタさんからのプレゼントだよ
 ps,やっぱりトビタカンにもメイド服は似合うと思うんだけど、どう?』


その巫山戯た感じのメッセージカードを見た瞬間、俺はすぐさま携帯を取り出し、ある番号に電話をかけた

こんなふざけたことを書くのは、俺をこのあだ名で呼ぶのは


「……鬼道さんですか?実は、ちょっと重大な事件が起きまして
 えぇ、実は………


風丸亜紀さんが……戻ってきました」


電話口の向こうで、鬼道さんには珍しい叫び声が聞こえてきた

××

いやはや、我ながらいい仕事をしたものだ

トビタカンにプレゼントしたのは手ぬぐい、熱い料理をしているトビタカンにはちょうどいいだろう

さて、次にほかの皆のプレゼントを買う前に……パンパカパーン!!トランシーバー(ドラえ○ん風)

これを使って周囲の会話の状況を確認

これで円堂たちに捕まることはないね!!

さて、それでは早速使ってみますか

ここらへんの電波に合わせて、と……

おぉ、聞こえてきた……、どれどれ?


『こちら雷門駅前、依然対象は見つからず!!』


『いいか!!鬼道財閥を全て動かせ!!全てを賭けるんだ!!』


『全ての中学校のサッカー部に伝えるんだ!!蒼い髪をした奴を見かけたら問答無用で捕まえるようにと!!』


『吉良財閥の全部動かして緑川!!あと、お日さま園の皆と韓国の晴矢達にも伝えて!!』


『フィディオ達にも伝えて稲妻町全域に警戒網を張るぞ!!蟻一匹逃すな!!』


『看護婦連盟の皆にも伝えて協力するよう要請して!!報酬はいくらでもだすわ!!』


『稲妻町の全ての監視カメラにハッキングしてそれらしい人物を見つけてください!!多少の間違いは問題ありません!!』


『鬼瓦警部達にも要請を!!自衛隊はまだか!!』


『今動けるサーファー仲間に伝えてくれ!!俺たちは海から攻めるぞ!!』


『今動ける人員の数は!!何?100人だと?少なすぎる!!もっと人数をかき集めるんだ!!』


『今イタリアの連中に連絡がついた!!あと一時間で着くそうだ!!』


『いいか、全てをかけるんだ!!アイツを捕まえるのに出し惜しみをするな!!』







……どういうことなの?

××

〜今から約10分前〜


「……それで飛鷹、それは確かなんだな?」


「はい、これが証拠のメッセージカードです」


とある帝国の会議室にて、懐かしきFFI代表選手や、元雷門サッカー部の面々が揃っていた

なぜここまでの重要人物がここ、帝国会議室に集まっているのかと言うとそれはとあるメッセージカードの所為であった

飛鷹が合図すると同時に中央のスクリーンに一枚のメッセージカードが映し出される

それを見た全員が息を飲み、そして体を震わせた


「……亜紀の字だ」


そこに映し出されていた一枚のメッセージカード

そこにはおよそ真面目とは言えない文章が書かれていたが、そんなことは今ここに集まっている面々にとっては重要なことではなかった

そこに書かれている字、書いた人の性格がわかるような内容……そしてなにより、そこに書かれてあった名前

それが、彼らを震わせる原因だった


「……さて、これを見て俺たちがすることはわかるな?」


ちょうど12時の位置に座っている鬼道が静かに言う

あの日、風丸亜紀が消えてから暗黙の了解でできたルール

それが今まさに、使われようとしているのだ


「……上限はないんでしょ?」


鬼道の隣に座っている吉良ヒロトが不敵な笑みを見せる

そのとなりに座っている吹雪の顔もにこやかだ


「……もちろんだ、出し惜しみなど必要はない」


それを聞いた瞬間、ある者は携帯を取り出し、ある者はパソコンを取り出し、またある者は出口の扉に手を掛けた


「最後に、ルールの確認をしておく」


静かな緊張が部屋の中に流れる

張り詰めていく緊張の糸が今は心地よく感じる


「手段は選ばず、方法は問わず、法すらも捻じ曲げる勢いでも構わない……最初に見つけたものが……」


「「「「「「「「「「「「「風丸亜紀を手に入れる!!」」」」」」」」」」」」」


その瞬間、戦いの火蓋は切って落とされた

10年前、突然消えてしまったことによって捻れに捻れきった感情

もはや、彼らを止められるものは……たぶん、いない



大人による大人気ないサンタ捕獲大作戦

(これもまぁ、10年も待たせた所為ということで……)

(て、ちょぉぉ!!待て待て待て!!)

(こんな展開聞いてない!!ヤンデレフラグは聞いてない!!)



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