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ハンター試験が始まり、皆いっせいに走り出す
うーん、まさか一次試験が走るだけだなんて…楽勝すぎでしょ
でも懐かしいなー、昔皆に嫌がらせしすぎて置いていかれた時があったけ
あの時は軽く100kmいったけ……ま、念を使えば楽勝だったけど
最初の内は真面目に走っていたけど、途中からどうも飽きてきた
やっぱり私に真面目という言葉は似合わない
それにこれはハンター試験なのだ
多少、他人の邪魔をしても文句は言われないよね?
「ねぇねぇお兄さん、大丈夫?」
近くに居た細身の男性に話しかける
うん、コノ程度の男子ならいけるだろう
「え?あ、あぁ、大丈夫だけど……」
「あのね、コレあげる」
そう言ってポケットから取り出したキャンディを男性に渡す
トンネルの照明に反射した包み紙が、より一層怪しさを滲み出していたが、男性は特に何も気づかず素直にそのキャンディを受け取った
「疲れたときは甘いのを舐めるといいよ」
最後に舐めるよう言っておく
こう言っておけば大抵の奴はキャンディを舐めてしまう
それが人間の性って奴だ
お兄さんがゆっくりとキャンディを口に含む
私はそれをただ見つめる
私が少しだけペースを速めて前に行くと後ろから男の苦しそうな呻き声が聞こえてきた
私はそれに気づかないフリして前へと進む
後ろでは男の人が静かに倒れていった
―――ふーん、泡吹いて倒れただけかぁ、これは調整しなおさないと
前の奴は全身から血が噴出したんだっけ?あれは笑いものだったなぁ
次のは奴は全身から汗を噴出させてミイラにさせてみようかな
ちなみにさっきのは私の念能力だ
具現化系の念で、その名も『楽しいお茶会(アリス・ティーパーティー)』
特殊な能力を持ったお菓子を具現化させるというものだ
主な制約としては私が食べた事があるお菓子しか具現化できないって事ぐらい、他にも色んな特性がありますが今回は関係ないので割愛させていただきます
嫌がらせから暗殺まで、なんでも使える便利な能力って事です
あー、おもしろかった、次は誰に使おうかな
「ねぇお姉さん、さっきの飴なんだったの?」
不意に隣から話しかけられる
視線を隣にずらすとそこにはツンツン頭の男の子が走っていた
「…んー?何のことかにゃ?」
「(にゃ?)、さっきの飴食べた人倒れたよね?何の飴だったの?」
むむ、まさかさっきの出来事を見ていた人が居ただなんて
そしてそれについて聞いてくる人が居るだなんて
「…ごめんね、企業秘密なんだ」
「えーっ!!」
当たり前の様に教えない事について聞いてくる人がいるだなんて世の中はなんて広いんだろう!!
でもこれでこの男の子も世の中には不思議な事があるって知ることができたね、うん!!
「しいていうなら私は不思議なお菓子を売るお菓子屋さんってことかな?」
「へー、そうなんだ!!」
「おいゴン、真に受けんなよ、そんな奴居るわけ無いだろ」
私の言葉を素直に受け入れてる純粋な男の子の隣から、生意気そうな目をした男の子が出てくる
おやまぁ……子供でそんな目をしてるだなんて…将来有望そうだなぁ
「おや、少年私の言葉が信じられないだなんてなんて心が狭く夢もなく将来もなくお先真っ暗なんだ」
「おい、そこまで言う必要ないだろ」
「そんな君にこの幸せになれるキャンディをあげよう!!」
「悪徳商法か!!」
そういって私の腕に手套を下ろしてキャンディを地面に落とす
うわいたっ、いきなり手套を落とすだなんて最近の子は荒んでるなぁ
「何すんのさ!言っとくけど本当に幸せになれるんだからね!ちょっと頭が逝っちゃって見えない物とか見えたり記憶中枢トチ狂うけど!!」
「明らかにそれ薬だろ!!」
そう言って再び手套を降ろそうとしてきたので華麗に避けてやった
ふふん、コノ程度の手套なら既に見切って残像が出せる勢いだぜ!!
「お姉さん凄いね!!俺の名前はゴンって言うんだけどお姉さんは?」
ゴンが私をキラキラした目で見てくる
う、なんて純粋なんだ、これじゃぁ騙してる私が悪いみたいじゃないか←
きっといい親に育てられたんだろうな
「私の名前はチイ、気軽にチイちゃんて呼んでいいよ、ゴン」
「…何がチイちゃんだよ、ババァ」
……ピキッ
今の発言はチイさんピキッときましたよ
「ほー、まだピチピチなお姉さんをババァ呼ばわりする悪い子はこの銀髪頭のふわふわ少年かな?」
「うわっ、な、何するんだよ!!」
ババァ発言にピキッときまして銀髪少年の足を掴んで逆さの宙ぶらりんの状態にする
ふはは、この状態は頭に血が上ってきて辛いだろう
「お姉さんはまだぴちぴちだすよーだ!!」
「そういう発言がババァくせぇんだよ!!」
まだ生意気な事を言っていたので地面すれすれの位置で持つことにした
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