第三話

私に味方はいらない、彼女達にこそ味方が必要なのだから



××


「…嘘、だろ?風丸、」


あ、円堂

てか皆に見つかった

…円堂、お前はうちの味方じゃないんだろうな、

そんな風に、まるで映像を淡々と見せ付けられているような、現実味の無い感じ

まるで、自分だけ、世界から外れたような、

そんな風にボーっとしてると頬に痛みがはしった

目の前にはきーちゃん、

あぁ、そうか、私打たれたんだ




「所詮お前も…あいつらと同類だったのか」



冷めた瞳できーちゃんはそういった

あいつら、か…

きーちゃんにとって、はるなんはもう敵なんだね

そこからはよく覚えていない

本当に、映画を見てるように、音が遠く聞こえて、現実味が無い

しばらくすると、周りに誰もいなかった

あ、皆行っちゃった

これからどうしよう

とりあえず秋っち辺りに氷を貰って頬を冷やさないと




「…亜紀、」



誰かが、私の名前を呼んだ




××


円堂side


正直、今回の出来事は信じられなかった

でも、実際に玲姫の腕は傷ついていて、風丸の足元に血のついたカッターが落ちていた

さすがに、殺傷沙汰になったのだから警察とかに相談するかと言ったのだが、玲姫が風丸は悪くないからいいと言って結局呼ばなかった

…風丸は何を思ってあんな事をしたんだろう

鬼道に打たれた時、何を思ったのだろうか?

なんでだよ、風丸

お前だけは、そんな事しないって思ってたのに

信じた俺が馬鹿だったのか?

お前も結局、秋達と同じ最低な奴だったのか?

…こんな風に悩んでる時、お前はいつも俺の隣にいたのに、今お前は俺の隣にいない

なぁ、俺はどうすればいいんだ?

キャプテンとしても幼馴染として友達としてもお前を信じたい

でも、お前が冤罪だという証拠も無い

俺は、どうすれば―――


円堂side終了


××




「…亜紀、」



誰かが私を呼んだ、

後ろを振り向くとそこには、



「のせ?どうしたの?」



「…その渾名はさすがに止めて欲しいんだけど」



一之瀬こと、のせがそこに立っていた

なんだろう、何のようだろう


「ほら、氷、冷やさないと腫れるよ?」



「ありがと、」


のせから氷を貰って頬に当てる

にしても、なんか以外

さっきの事があったし、私をリンチしに来たのかと思った




「…言っておくけど、俺はソッチの味方だよ?」



「へ?」



「だから、マネージャー達や亜紀のこと、信じてるんだよ」



・・・とりあえず、味方でいいのかな?

のせの瞳は嘘をついてないみたいだし

あ、でも味方って言い方もアレだな

それだと円堂達を敵だと言わないといけなくなるし

なんか別の言い方を考えておかないと




「にしても以外だな、のせがこっちの方だなんて」



「だって、あきらかにおかしいだろ?風丸や秋達がそんな事するとは思えないし」



そういって今度はシップを取り出し、私の頬っぺたに貼る

シップの冷たさが頬っぺたに沁みて気持ちいい

あー、まさかあそこできーちゃんに打たれるとは思わなかった

ま、別にいいけど




「…で、風丸はこれからどうするんだい?」



「何が?」



「鬼道達に弁解しないのかい?」



弁解、その手もあったか

あー、でもどうだろう、信じてくれるかな?

きーちゃん達はアッチ側だしな



「しないかな?とりあえず現状維持」



「…君ってMだったの?」



「誰がMだゴラァ」



Mじゃないし、

そう言ってのせの頭を叩く

まったく、誰がMだ、誰が



「だって、君がやってないって言えば信じてくれる人がもっといると思うけど」



「どうだかなー、さっきの様子を見たけど結構な人数でアッチ側だったぜ?」



「でも、円堂辺りなら信じるんじゃないか?」




…確かに、アイツなら信じるだろう

でも、アイツはキャプテンだ

しゅーちゃんも抜けたばかりなのに、これ以上重荷を背負わせるわけにはいかない



「べっつにいいよー、はるなん達守れればそれでいいし」



「…君はそれでいいの?」




私が少しおちゃらけた様に言うと、のせが真剣な目でそういった

それでいいか―――



「別にいいさ?皆は自分の意思でアッチ側にいる、それを責めるつもりは無い、
だから俺はコッチ側ではるなん達を守り続ける、それが約束だから」



そう、別にいいんだ

円堂達がアッチ側でも困らない

皆自分の意思でアッチ側にいるんだ

だったら、責めたりする必要などない

…はるなん達を守れれば、それでいいんだ



「…君がそれでいいなら止めないけど、俺にも少しは頼ってくれよ?仲間なんだから」




「ん、ありがと」



そういってのせはイナズマキャラバンへと戻っていった

…あ、でもやっぱろ寂しいな

こういうときマックスがいれば茶化してくれるんだろうな、

ともかく、私は負けない

皆を守るのが私の役目

その為なら私の全てを犠牲にしたって構わない

それに、ごめんねのせ、

私は今でもみんなの事を信じてるんだ

きっと、いつかわかりあえるさ

それが何時なのかわからない

でも、きっといつかは皆で笑いあえる日が来る事を信じている






「さぁーて、がんばりますか」





まずは宇宙人を倒さないとね

大丈夫、いつもどおりにしていれば大丈夫

私は、みんなの事を信じてるよ








敵味方




(信じ続ける少女)


(その先に明るい未来と)


(笑っている皆がいると信じて)

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