その唇に口づけて、抱き締めて下から突き上げるように揺さぶる。
繋がっているところから、信じられないほどの快楽が次々と湧き起こっては背筋を伝い上がり、脳を甘く痺れさせる。
「ん、ふ……っ、あァ……ッ」
艶めかしい声が零れる。揺らめく波に攫われて俺はアスカの身体に溺れていく。
セックスなんて、オナニー代わりに女を呼んで、ただ欲を発散させるためだけの行為。そんな風にしか思ってなかったのに。
今この瞬間も、アスカの全てが欲しくて堪らない。
アスカの身体を貪るうちに、その心にも入りたいと思う自分がいる。
「あ、イキそう……あ、ぁッ」
アスカの中がうねりながら一層強く締まる。汗ばむ背中を抱きながら仰け反る喉元に強く吸い付くと、しなやかな身体が大きく震えた。後孔が激しい収縮を繰り返す。
その波に引き摺られて、俺もアスカの中に精を放った。
繋がり合ったまま、呼吸をもつれさせながら2人で抱き合う。
甘い匂いが部屋中に充満していた。
アスカの首に花弁のような所有印が付いているのを確認する。
「……サキト」
ぼんやりとした瞳で俺を見つめるアスカは、儚げな美しさを纏う。
「アスカ」
繋がったまま押し倒して口づける。欲を出したばかりのものは萎える隙もなく張り詰めていた。
ゆっくりと律動を再開すれば、アスカはそれに応えて眉根を寄せて喘ぎ出す。
いつの間にか俺は、アスカに快楽を与えることばかりを考えていた。
「あ、あ……ッ、んっ」
アスカの反応を見ながら一段と大きな声を出す部分を抉るように突いていくうちに、トロンとした瞳で俺を見ながらアスカが手を伸ばしてきた。
身体を前に倒してやると、必死にしがみ付いてくる。
俺の放ったものでドロドロになったアスカの中は、卑猥な水音を立てながら俺を融かしていく。
「あ、あ、あ……ッ」
しっとりと汗で濡れた身体を抱き締めながら、その中に刻む込むように腰を動かす。
「アスカ、好きだ」
さっき会ったばかりの奴を、セックスしただけで好きになるなんてありえない。
俺はアスカのことを何も知らない。行為に流されて言ってみただけ。なのに。
口にすれば、快楽でいっぱいのはずだった頭の中に、どうしようもないほどの支配欲が湧き起こる。
「アスカ……」
少し身体を離してその名前を呼べば、恍惚とした瞳に俺を映し出す。
桜色の唇から蜜のように零れる、その名は。
「……サキ……」
初めは、俺のことだと思った。
粟立つ肌に口づければ、花の匂いが拡がっていく。
「サキ、あっ、あァ……」
やがて、何度も繰り返されるサキという名が俺を呼ぶものではないことに気づく。
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