Moonless Kiss side A[2/3]

「あ、ん……っ、ふ…ッあァ……ッ」


急に突き上げられて、思わず大きな声をこぼしてしまう。


「飛鳥、おいで」


引き寄せられて沙生に覆いかぶさると、また甘いキスをくれる。

絡まる舌から、僕はゆるりと蕩けていく。

くっつけあった胸が、とくとくと動いてる。

沙生の心臓が、僕の中に入ってきたみたいだ。


「沙生、愛してる……」


口にすると、沙生がギュッと抱き締めてくれる。


「愛してるよ、飛鳥」


キスをしながら、快楽を求めてゆっくりと揺さぶられて。

僕は沙生にもつれるように抱きつく。

沙生の遺伝子に絡まるみたいに。


「あ、ぁ……ッ、沙生、イきそう……っ」


こんな緩やかな刺激にも堪えられないぐらい、僕は沙生に囚われてしまっている。


「いいよ、飛鳥……」


沙生の赦しに甘えて、僕は容易く果てていく。


「ああ……っ、ん……ぁ……ッ」


力の抜けた身体を沙生に預けて、僕は呼吸を整える。

抱きとめてくれる沙生の腕の中が、心地よくて。

ずっとずっと、このままでいたかった。







「沙生、浮気したら駄目だからね」


たくさん愛し合った後。裸のまま羽毛布団にくるまって抱き合いながら、僕は沙生に釘を刺す。


「飛鳥がこんなにかわいくてきれいなのに、浮気なんてできないよ」


苦笑する沙生は、何だかかわいかった。


「でも、前に油断してキスされたことあったでしょ」


「あれは ─── 」


以前、沙生が同じ研究室の女の人にうっかりキスされてしまったことを、僕は子どもっぽく持ち出してしまう。


「うん、ごめん」


沙生の困った顔も、僕は大好きなのだけど。


「じゃあ、こうしようか。春から、同じ大学に通うから……」


一旦言葉を区切った沙生の鳶色の瞳が、煌きながら僕を映す。


「外で一緒にいるときは、ずっと手を繋いでいよう。飛鳥が俺の恋人だって、皆にわかってもらえるように」


「本当に?」



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