「飛鳥」耳もとで囁かれる声の甘さに身体が震える。身体の中を緩々と動く指がもどかしくて、僕は目の前の愛しい人に訴える。「沙生、もっと、して……」きれいな鳶色の瞳に映る僕は、熱に浮かされた淫らな顔をしていた。身体を無理に起こして首に腕を回すと、キスをしてくれる。沙生が欲しくて堪らなくて、口を開いて舌を挿し込む。沙生は舌を絡ませながら優しく吸ってくれて、それだけで僕はもう一段高いところに連れて行かれる。「……ん……っ」深いキスを夢中で貪っていると、中の指が増やされて。身体中にビリビリした快楽が駆け抜ける。「あ、あぁっ……沙生……ッ」僕の身体を知り尽くした沙生が、僕の一番感じるところを刺激する。じっくりと時間をかけて慣らされた僕の中は、湿っぽい音を立てながらどんどん熱を増していく。僕は沙生にしがみつく。僕より少しだけ、熱の冷めた身体が、心地よくて。「ん、あ…っ、あぁッ……!」最短で絶頂に連れて行かれて、受け止め切れないほどの快楽が涙となってこぼれ落ちる。腕の力を緩めれば上体が落ちて、ベッドが僅かに軋む。「飛鳥、大好きだよ」余韻に浸ってぼんやりとしている僕にそう言って。沙生は親指で僕の涙を拭いながら、荒い呼吸の合間を縫って啄ばむようなキスをくれる。それさえも気持ちよくて、僕はまた感じてしまう。さっきから腰の辺りにあたる沙生のものは、硬く熱を持っている。沙生が僕の中に入ってくるのを想像するだけで、もう腰が揺れてしまっている。僕は沙生の身体を右手で辿って、その半身をそっと握り締める。「沙生、挿れていい?」優しく微笑む沙生にキスする。沙生から漂う柑橘に似た匂いが、僕をどんどん煽っていく。仰向けになった沙生に跨がって、沙生の先端を後孔にあてがう。僕は手の中の沙生を少しずつ身体に沈めていく。「あ、ぁ……っ」鳥肌が立つような快感が身体の中心から湧き起こる。早く奥まで欲しいのに、わざと焦らすように挿れていく。だって、夜はまだ長いから。「沙生……」喘ぎながら名前を呼ぶと、沙生がうっとりと目を細めて僕を見上げる。腕を伸ばして、包み込むように僕の頬に触れる。「飛鳥、きれいだよ」本当にきれいなのは沙生なのに、そんなことを言われて僕は素直に喜んでしまう。もっと強い快楽がほしくて腰を上下に動かしていくと、沙生が目を閉じて息を吐く。繋がってるところが、融けそうなぐらいに熱くて。 - 49 - bookmarkprev next ▼back