Moonless Kiss side A[1/3]

「飛鳥」


耳もとで囁かれる声の甘さに身体が震える。

身体の中を緩々と動く指がもどかしくて、僕は目の前の愛しい人に訴える。


「沙生、もっと、して……」


きれいな鳶色の瞳に映る僕は、熱に浮かされた淫らな顔をしていた。

身体を無理に起こして首に腕を回すと、キスをしてくれる。

沙生が欲しくて堪らなくて、口を開いて舌を挿し込む。沙生は舌を絡ませながら優しく吸ってくれて、それだけで僕はもう一段高いところに連れて行かれる。


「……ん……っ」


深いキスを夢中で貪っていると、中の指が増やされて。

身体中にビリビリした快楽が駆け抜ける。


「あ、あぁっ……沙生……ッ」


僕の身体を知り尽くした沙生が、僕の一番感じるところを刺激する。じっくりと時間をかけて慣らされた僕の中は、湿っぽい音を立てながらどんどん熱を増していく。

僕は沙生にしがみつく。僕より少しだけ、熱の冷めた身体が、心地よくて。


「ん、あ…っ、あぁッ……!」


最短で絶頂に連れて行かれて、受け止め切れないほどの快楽が涙となってこぼれ落ちる。

腕の力を緩めれば上体が落ちて、ベッドが僅かに軋む。


「飛鳥、大好きだよ」


余韻に浸ってぼんやりとしている僕にそう言って。沙生は親指で僕の涙を拭いながら、荒い呼吸の合間を縫って啄ばむようなキスをくれる。

それさえも気持ちよくて、僕はまた感じてしまう。

さっきから腰の辺りにあたる沙生のものは、硬く熱を持っている。

沙生が僕の中に入ってくるのを想像するだけで、もう腰が揺れてしまっている。

僕は沙生の身体を右手で辿って、その半身をそっと握り締める。


「沙生、挿れていい?」


優しく微笑む沙生にキスする。沙生から漂う柑橘に似た匂いが、僕をどんどん煽っていく。

仰向けになった沙生に跨がって、沙生の先端を後孔にあてがう。

僕は手の中の沙生を少しずつ身体に沈めていく。


「あ、ぁ……っ」


鳥肌が立つような快感が身体の中心から湧き起こる。

早く奥まで欲しいのに、わざと焦らすように挿れていく。

だって、夜はまだ長いから。


「沙生……」


喘ぎながら名前を呼ぶと、沙生がうっとりと目を細めて僕を見上げる。

腕を伸ばして、包み込むように僕の頬に触れる。


「飛鳥、きれいだよ」


本当にきれいなのは沙生なのに、そんなことを言われて僕は素直に喜んでしまう。

もっと強い快楽がほしくて腰を上下に動かしていくと、沙生が目を閉じて息を吐く。

繋がってるところが、融けそうなぐらいに熱くて。


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