K01 : 熱の入江[19/24]


跳ねた水音を立てながら吸い上げて上目遣いに見つめれば、多田さんは微笑みの形に唇を結んで緩やかに視線を注いでくる。

多田さんのものを愛撫してるだけで、俺の身体はさっき扱かれてたときよりも更に昂ぶっていた。

「いい顔してるね」

吐息混じりにそう囁く多田さんの手が伸びてきて、髪から頬に滑り落ちてくる。

「……ん、んっ」

撫でられる手つきにさえ感じてしまって咥え込んだまま声を漏らせば、多田さんは熱っぽい眼差しを向けながら口を開く。

「そのまま、脚をこっちに」

その意味がわかった途端一気に頭に血が上って、思わず多田さんのものを口から出してしまってた。

「 ─── え? や、ダメ……ッ」

「楓」

優しく咎めるように名前を呼ばれて、心臓がキュッと音を立てて縮んだ。

すごく艶っぽい瞳で見つめられて、だから俺は逆らえなくて。

逆さに覆い被さるように、火照る身体を180度回転させて、多田さんの目の前に恥ずかしいところを全部曝け出してしまう。

意識してしまえば、それだけでまた身体の熱が高まっていく。

唾液で濡れて光る多田さんのものをもう一度口に咥えた途端、後孔に指先が触れる感覚がして、その少し冷たい温度に背筋をゾクゾクと電流が駆け上がった。

「……ん、っ……」

全部、見られてる。

それだけでも恥ずかしくて仕方ないのに入口を丹念になぞられて、肌がふつふつと粟立っていく。

一体どれだけ焦らせば気が済むんだろう。

ゆっくりと多田さんのものを口で愛撫しながら、俺は我慢できずに腰を揺らしてその先をねだる。

「……ん、ふ……ッ」

つぷりと指が挿入されて、思わず声が漏れた。もっと奥まで挿れてほしくて腰がガクガクと震えるのを、両肘をついて何とか支える。

「多田さん、挿れて……」

恥ずかしさを堪えながら必死にそう訴えれば、浅いところでとどまっていた指が、ゆっくりと中に入ってきた。

内側を押し開かれる感覚に、軽い電流が続けざまに背筋を這い上がってくる。

口の中で硬さを増していく塊を転がすように扱きながら、与えられる快感に身を委ねる。

感度を試すような緩やかな抽送が始まれば、俺はその指が自分の欲しいところにあたるように、小さく腰を動かしてしまっていた。

さっき俺が放ったものを、中に塗り込んでるんだろう。指の動きは滑らかで、摩擦のないぬるぬるとした感覚が、少しずつ身体の中を犯していく。

言いようのない浮遊感に身悶えしながら、それでもまだ俺は自分だけこんなに感じてるのが嫌で、必死に多田さんを気持ちよくしてあげたいと思ってた。

「楓……」

「 ─── ん、ん……ッ」

名前を呼ばれると刺激されてない前がビクリと動いた。

逃げていく腰を掴まれて、強く引き寄せられる。

内股にそっと息を吹きかけられれば、くすぐったい刺激に鼻から甘ったるい声が抜けていく。

「ほら、じっとして」

無理だよ。だってもうこんなにも身体が疼いてる。肌が痺れたようにわなないて、震えが止まらない。

多田さんにちゃんと感じてほしいのに、下半身に意識が全部持っていかれておろそかになってる。

頬張ってる熱い昂ぶりを舌を絡めて舐め上げながら、それ以上はダメだと訴えたくて小さく首を横に振れば、多田さんが微かに笑う気配がした。

「ん、ぅ……っ」

急に脚の付け根に吸いつくようなキスをされて、反射的に背中が仰け反った。

多田さんはそこに舌を押しあてながら、俺の中に挿れてる指をぐるりと掻き混ぜだす。

たったそれだけのことで、熟れた中が緩々と蕩けていくのが自分でもわかった。

「 ─── あ、あぁっ」

蠢く指先が1番いいところを掠めた途端身体が跳ね上がって、含んでた多田さんのものを口から出してしまう。

指の本数を増やされて、そこを中心に押し込むように刺激されていく。

「……ん、ふ…ぁ、ダメ……ッ、ああっ」

信じられないぐらいの快感に襲われて四つん這いのまま後ろを振り向けば、俺の内股をゆっくりと舐めながら中に挿れたその手を卑猥に動かす多田さんの顔が目に入った。

わざとこっちに流してくる視線が汗ばむ身体にねっとりと纏わりつく。それに煽られて、感じる快楽はますます増長して、止まらなくて。

もう俺は多田さんに奉仕する余裕なんてなかった。いやらしい水音が鳴り響く度に耳元まで犯されて、じんじんと身体の内側まで浸透していく。

「あ、あっ、う……ァ」

ぐちゃぐちゃに掻き回されながら指の腹で弱いところを執拗に擦られる。

今まで感じたことのないぐらい強い感覚に襲われて、はしたなく腰を揺らして。それでもこの快楽をやり過ごすことなんてできない。

だらしなく開いてる口から唾液が零れては多田さんの脚の付け根を濡らしていく。

「多田さ……、あ、も……ッ」

「楓、こっちもすごく濡れてるよ」

さらりと卑猥なことを言って、多田さんは脚を抱え込んだままその手で俺のものを緩く扱きだす。にちゃにちゃと響く濡れた音を耳が拾って、ぞわぞわと何かが背筋を這いずっていく。

2つの場所を同時に攻められれば下半身が強張って、痺れを切らしたように小刻みに震えだした。

「ああッ、は……あ、あっ」

今までこんなことをいっぱいしてきたはずなのに。

どうしてだろう。すごく恥ずかしくて、自分の身体なのに自分のものじゃないみたいにふわふわしてる。

触れられてるところも、そうじゃないところも気持ちよくて堪らない。



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