prologue[1/1]

俺、浅井廉。高校2年生です。
突然ですが、聞いて下さい。俺の先生は、超エロいです。

「ここ、こうやったらちゃんと解けるよ」

ハイ、先生。全っ然、頭に入りません。
そんなに近づかないで。何、そのいい匂い。俺、もうどうにかなっちゃうかも。因数分解する前に心臓が分解しそう。

「レン、聞いてる?」

「ごめんなさい、聞いてません」

俺の先生はふわりと笑う。年上なのにかわいくて、でもセクシーな笑顔。その笑い方、うちのクラスの女の子にも教えてあげて。こうやって笑ったら男に何でも言うこと聞いてもらえるよって。絶対喜ぶからさ。

「ちゃんと集中しないと、駄目だよ」

「ハイ、先生」

ムリムリ、無理だよ。そんなにくっつかれると、全然気が散っちゃう。
俺、17歳だよ? 基本的に性欲が一番。俺は悪くない。悪いのは先生からダダ漏れのエロい空気。

「ねえ、先生。休憩しよ?」

俺はお願いモードで、キレイな先生にちょっと甘えてみる。




先生が俺の家に来ることになったのには、ちゃんとした理由がある。
俺の家は微妙に金持ちだ。メチャクチャ金持ちってわけじゃないけど、父さんがそこそこの会社の重役で、そこそこ家が大きくて、そこそこのお金がある。
父子家庭の我が家は、原田さんという年配の家政婦さんを雇ってる。原田さんは毎朝うちに来て、いろんな家事をして晩ごはんを作ってから、遅くても午後7時ぐらいには帰っていく。

ところが、原田さんが家庭の事情だかなんだかで何日かの間、実家に帰らなければいけなくなってしまった。そこでどういうツテかはわからないけど、父さんは代わりの家政婦さんを契約してきた。
厳密に言えばその人は家政婦さんじゃなかった。だって、家事だけじゃなくてできることは何だってしてくれるっていうんだから。
なんでもその人は、俺が逆立ちしても行けないような大学に通ってるらしい。住込みで家事ができて、しかも勉強まで教えてくれる。父さんとしては、この上なくいい条件だったんだろう。

そんなわけで俺は今日から4日間、家事もしてくれる家庭教師の先生とひとつ屋根の下で過ごすことになった。
ところが、さっきから何回も言ってるとおり、この先生がすごくエロい。何このエッチな空気感。キレイな顔だし。いい匂いだし。もはや存在自体がR18指定。傍にいるだけで、下半身にダイレクトに来る。
これで――これで男とか、ホント信じらんない。

「先生はやめて。僕もレンって呼んでるから、名前がいいな」

先生は恥ずかしそうにそんなことを言う。先生って呼び方、よくない? なんかヒワイな響きだし、いいと思うけどな。
俺は、渋々キレイな先生の名前を呼び捨てにしてみる。

「アスカ」



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