「……んっ」
ゾクゾクと背筋を快感が走っていく。熱を持った舌が今度は僕の咥内に入ってきて、上顎に触れる。
濡れた音を立てながら舌を絡ませていくうちに息苦しくなって、僕は思わず唇を離して喘いだ。
「 ─── は、ぁ」
すぐ後ろにあるベッドにもたれ掛かって、僕は圭介の腕を引く。縺れそうになる足を奮い立たせてベッドに乗れば、圭介がのし掛かってきた。もう一度唇を重ねて互いを弄り合う。太腿にあたる圭介の昂ぶりは確かに反応していて、僕にはそれが嬉しくて堪らない。
キスを繰り返しながら、僕たちは服を脱いでいく。身体を覆うものを全て取り払ってしまえば、急に寒々しくなった気がした。この熱が冷めてしまわないように、僕は圭介の身体を啄ばみながら降りていく。その半身は硬く勃ち上がっていて、そっと息を吹き掛けてから一気に奥まで咥え込んだ。
そこに手を掛けて舌を絡ませながら頭を上下させていく。そうしているうちに、自分の身体がどんどん高まっていくのがわかった。口の中も性感帯なのだと僕は初めて実感していた。
頭上から聞こえる呼吸は次第に乱れていき、時折堪えるように息を詰める気配がした。
「あ、航……も、出る……」
その声を聞いて、心臓が引き摺りだされたのかと思うぐらい激しく脈打つ。僕の方が先に果ててしまいそうだ。
音を立てながら愛撫を繰り返し、強く吸い上げればビクビクと押さえ込んでいた腰が震えて口の中に熱が放たれた。断続的に飛び込んでくるものを全て受け止めて、身体を起こし呑み込んだ。
濡れた唇を親指で拭って、愛おしい幼馴染みをそっと見下ろす。圭介は熱に浮かされたかのようにぼんやりとした顔で僕を見つめていた。僕はその虚ろな瞳に追い立てられるように自らに手を掛けて扱いていく。
「……ん、あ、あっ」
幾度目かの往復で簡単に達した僕は、吐き出した白濁を掌で受け止める。それを指で掬い取り、疼きの止まらない後孔へと塗り込んでいった。
「あ、あ……ッ」
まだ、1本だけ。久しく使われていなかったそこはきつく指を締めつける。それでも、圭介に見られているというだけで僕はいとも容易く昇り詰めていく。
不意に腕を引き寄せられて、身体が前に倒れ込む。僕の中に入っていた指が抜けて喪失感に喘げば、圭介は僕を抱きとめてくれる。背中にあてられたその手は、下へと滑っていく。
指先が、後孔に触れて。確かめるように襞をゆっくりとなぞられ、つぷりと挿し込まれた。
「あ、け…すけ……」
名を呼べば唇を塞がれる。身体の中を指が少しずつ押し開いていく感覚に、何度も息を漏らす。労わるような丁寧な愛撫は圭介らしかった。気持ちいいところを掠める度に腰が揺れる。やがて、それに気づいたらしい圭介に擦り上げるようにそこばかりを攻められて、僕は身体を震わせながら果てた。
「……あ、あぁ……ッ」
両腕でしがみつきながら、長引く余韻に浸る。夢みたいなこの状況に感極まって、不意に涙がこぼれ落ちた。
「ごめん。痛かった?」
驚いて僕の顔を覗き込む圭介は、いつもの圭介だった。もう素面に戻っているのかもしれない。
「違うんだ、圭介」
それだけを言って、僕は掌で涙を拭う。
すごく幸せで、どうしたらいいかわからないんだ。
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