砂糖より甘いぐらいでいいんです。
※キリト君が先天性女体化してます。
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あるところに、黒くて長い髪の美少女がおりました。
その人物の名前をキリトと言い、誰にでも愛されるような性格とサバサバした性分が合わさって、周囲から好かれていました。
あるところに、はちみつ色の髪の美青年がおりました。
その人物の名前をユージオと言い、誰にでも愛されるような物腰の柔らかさと、優しくて真面目な性分が合わさって、周囲から好かれていました。
そんな二人は、周囲が認めざるを得ないほどの美男美女カップルでした。幼馴染で小さい時から一緒だった二人は、いつからか二人でいることが当たり前になっていました。二人はそれを疑問に思っていませんでしたし、片方が自分といることを当たり前だと思っていました。恋仲になって最初は多少は気恥ずかしさもありましたが、今では人目を気にしないままイチャついているほどでした。本人たちにその気はなくとも、周りから見れば砂糖の上にはちみつを垂らされたような甘さだったのです。
さて、そんな二人の休日は、それよりもさらに甘ったるいものでした。
誰かが見たら砂を吐いてしまうような、そんな甘さでありました。
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「キリト、あーん」
「あーん」
キリトのだいすきなパンケーキを小さく切り分け、はちみつとバターを垂らし、フォークで刺してキリトに食べさせる。キリトは口を開け、ユージオがあーんとしたパンケーキを咀嚼する。
「んん〜〜!美味しい!さすがユージオ、今日もばっちりだな!」
「ふふ、そう言って貰えて嬉しいよ。キリトの大好きなはちみつパイも後で焼くね」
「ホントか!?わぁい、ユージオ大好きっ!」
ぎゅうっとユージオに抱きついたキリトを、ユージオはぽんぽんと受け止める。
「僕もキリト大好きだよ」
「えへへー、知ってる」
「ふふふ。さ、キリト、もう一口」
またフォークでさして、あーんとキリトに食べさせる。
キリトは幸せそうにパンケーキを食べる。
「今度は俺な?はい、ユージオ、あーん」
「あーん」
ユージオもキリトに向かって口を開ける。
ぱくりとフォークに刺さったパンケーキを口に入れると、幸せそうに微笑んだ。
「ねぇキリト」
「んー?」
「髪にはちみつついちゃうよ?せっかくきれいな髪なんだから、上でまとめたら?」
「そっか。んー、じゃあユージオくん、君に任せよう!」
「はいはい、お姫様」
ユージオはキリトの騎士だ。そしてキリトはお姫様。姫の望むことを叶え、姫を守り、姫を一生愛する騎士。その役目は自分にしかできないと、ユージオは理解していたし、その役割を誰にも譲るつもりはなかった。そして、この姫はただの姫ではない。行動力溢れ、活発で、いつだって騎士である自分より先に進んでいく。それについていくのは大変だが、いつだって楽しかったし、幸せだった。後悔したことは一度もなかったと断言できるほどだ。そんなキリトに、ずっと寄り添っていきたいと思う。
ユージオに髪を結んでもらう間、キリトはだらしなく頬を緩めていた。大好きなユージオと、こうやって一緒に過ごせることが、何よりも幸せなのだ。ユージオはキリトの騎士である。恋人のキリトを守ったり、わがままを聞いてくれる。それだけではなく、ダメだと思ったらちゃんと諭してくれるし、怒ってもくれる。なんて自分は恵まれた存在なのだろうといつも思う。だからこそ、ユージオが望むことを、できるだけ叶えてあげたい。どんな時だって、一緒にいたい。
これから先も、ずっと、一緒にいたい。
((……これじゃ、プロポーズじゃないか……ッ!!))
二人共恥ずかしそうに顔を赤らめた。
だがしかし、きっとそうなるのだろう。
自分の相手は、この人しかいないと言えるのだから。
「な、なぁユージオ」
「な、なんだいキリト」
しどろもどろになりながら、赤い顔をして話をする。
「そ、そのっ、けけけ……っ」
「け?っ……あぁケーキ!そうだねケーキ食べなきゃね!」
「あ、ああぁそうだなっ!?ケーキ、全部食っちまおう!」
ユージオは自分のヘタレさに涙が出そうだった。キリトが言おうとしたことも、その内容もわかっている。だが、まだ、それは言えなかった。心の準備ができていなかったのだ。それに、言うなら自分から言いたい。女の子からプロポーズさせるのは、男としてのプライドが許さない。
(ごめんよキリト……)
そう心で謝りながら、ユージオはまたパンケーキを切り分けていく。
(うわわわ何言おうとしたんだ俺っ!?まだ早いだろ!)
キリトはキリトで、心臓をばくばくさせながら自己嫌悪していた。ユージオが遮ってくれなかったら、何をしゃべっていたのか。どうせユージオも言いたいことは分かっている。だが、まだ心の準備が出来ていないのだろう。俺だってできていないのだから、ユージオも出来ていないに違いない。それに、プロポーズは俺からではなく、ユージオからしてもらいたいとう気持ちもあった。ぱくりとお互いはパンケーキを食べると、はちみつの甘さが口いっぱいに広がる。
「甘いねぇ」
「……それぐらいがいいんじゃないか?」
「そうかも」
お互いがお互いに同じところにたどり着くと、ユージオとキリトは顔を見合わせて笑った。
「キリト」
「ん?」
「もうちょっとだけ、待っててね」
「おー。いつまででも待つよ。お前が言ってくれるまで、ずっとな」
ふたりが感じた幸せの甘さは、砂糖やはちみつより甘かった。
それぐらいでいいんです。
END!
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ユーキリ♀(先天性)の甘々、又は馴れ初めということでしたので、書かせていただきました!
みなさんついに10万hitです!
ありがとうございます!
これからもよろしくお願いします!
投稿日:2015.10.26
改稿日:2020.10.06
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[mokuji]
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