あぁ、大嫌いだ

キリト。

俺のことを毎回邪魔してくる、面倒な奴。
くだらねぇ友情や、仲間ごっこをする男。
殺したいとは思うが、ただ殺すのは面白くない。
だから殺す前に、少し遊んでやろうと思った。
この、イラつきを存分に発散させるために。


「ふざけるな・・・ッ!!」

目の前のガキが吼える。
俺はそれをつまらなさそうに見下ろす。

「離せ、PoH!」

離せといわれて離すわけがないだろう。
手も足も麻痺していて、離したところでろくにうごかせないくせに、口だけはよく動く。

「なんで、こんな」

キリトが口を開こうとするので、安物のナイフを口に当てた。
キリトが驚いて黙ったので、PoHはニィ、と口をゆがめた。

「なんでだろうな?わかんねぇのか、黒の剣士」

スタン効果はもうしばらく続く。
その間に、好きなことをさせてもらう。

「そういや、コレなんだと思う?」

そういって見せたのは、アスナの映っている画像。

「ラフコフの中によぉ、《閃光》サマのファンがいるんだよなぁ。この場所、どこかわかるだろ?」

アスナの隣で笑っているのは、リズベット。

「圏内じゃ殺せねぇが、圏外でなら殺す手段はいくらでもある」

すっとナイフを退かすと、キリトはキッとPoHをにらみつけた。

「何が、望みだ」
「おいおい、睨むなよ。ソソるだろうが」

ここは圏外。いくらでも、殺すことができる。
地面に縫い付けられているキリトの腕はまだ動かすことができない。
それをいいことに、キリトの首元に、ゆっくりとナイフを滑らせる。
赤いエフェクトが光り、PoHを興奮させていく。

「あぁ、この世界に痛みがありゃいいのになぁ」

うっとりとした顔をするPoHは、あきらかにおかしかった。

「・・・貴様、なかなかイイ顔してるじゃねぇか」

おびえた目をしていたキリトを視界に納めると、PoHはするりと頬に手をすべらせる。

「なぁ、キリト。死ぬのと、俺の言いなりになるのとどっちがいい?」

キリトは、PoHが楽しそうに笑うのをみて、口を開いた。

「・・・言うこと、聞く。だから、殺さないでくれ」

キリトの返答に満足したのか、喉を鳴らして笑った。

「いい返事だ。あとで死にたくなるほど後悔しても、貴様が選んだんだからな」

いったい、何をさせるつもりなのか。
そう思って口を開こうとしたときに、口を口でふさがれた。

「んっ・・・!?」

キリトはあわてて押し返そうとしたが、いまだに麻痺状態は続いている。

「ぅ、ふぁ・・・!」

舌が口内に入り、蹂躙される。
甘い痺れが体を駆け巡り、今まで味わったことのない感覚に全身が硬直する。
とろりと口から伝う唾液を見て、はぁ、と息を吐いた。

「なに、するんだよ・・・!!」

顔を赤くさせ、涙目で睨むキリトは、誘っているようにしか見えない。

「その顔は逆効果だぜ、キリト」

キリトが動けない時間は、あと5分程度だろうか。

「そうだな・・・いつでも、殺せるだろうからな」

PoHは独り言を言うと、キリトの耳に唇を寄せて、囁いた。

「あと5分、俺の言うこと聞け。それで、見逃してやるよ」

キリトは、PoHから与えられたキスの快感を思い出し、身を震わせた。

「俺は男だ!」
「だから?」

PoHはそれがどうしたというように手をキリトの胸に滑らせる。

「ん、く・・・っ!うぁ」

キリトの漏らす声に、PoHは楽しそうに笑う。

「男なら、余計屈辱だろう。女扱いされて、いいように弄ばれるのはな」

ピンッと乳首をはじくと、キリトの体がびくりとはねた。

「少し遊ぶだけのつもりだったが・・・存外、イイかもな」

PoHのつぶやきはキリトにも聞こえて、悔しさに顔をゆがませた。

「ここで犯してやるのも一興なんだが・・・まぁそれは別の機会にでもとっとくか」

PoHはキリトの首に噛み付き、キスマークを残した。

「だが・・・貴様ならコッチのほうも、期待できるか?」

そういってつつ、と指をキリトの股の上に滑らせる。

「やめ・・・っ!」

キリトの制止の声も聞かず、ゆるゆるとした動きでキリトの敏感な部分を探る。
キリトは声を出すまいと必死に唇をかむが、甘い痺れが流れるたびに、キリトの口から小さく声が漏れる。

「せっかくイイ声だせるなら、聞かせろよ」

絶対嫌だ。

キリトはそう思って唇を噛むが、PoHはあぁ、と声を上げた。

「無理やり言わせりゃいいのか」

PoHはそういうと、キリトの口に噛み付くようにキスをした。
舌がくちゅりと音を立て、キリトの口からはこらえ切れなかった甘い喘ぎ声が聞こえる。

「や、らぁ・・・!」

涙を流して抵抗しようとするキリトをみて、PoHは笑みを浮かべる。

「そうそう、そうやって泣いてな。俺の気が済むまでな」
「やだっ、やめ・・・!」
「《閃光》がどうなってもいいなら、やめてやるぜ?」

それを聞いたキリトは悔しそうに顔をゆがめた。

「貴様の泣き顔、思った以上だな・・・。ゾクゾクするね」

こらえきれず涙を流して、PoHをにらむキリトをみてもう一度噛み付くようなキスを落とす。

「クククッ。憎いか。悔しいか?それでいい、醜く染まれよ。黒いのが好きなんだろう?」

心まで黒く染まったならば、もう後には引けなくなるだろう。
それがわかっているからこそ、PoHは楽しく笑った。

「さて・・・そろそろ約束の時間だな」

PoHはそういうと、キリトの上から身を起こした。

「どうせなら、靴でも舐めさせりゃよかったな。さぞイイ顔が見れただろうに」

PoHはさして残念そうでもなく笑うと、キリトに手を振った。

「またな、黒の剣士。興が乗れば、また遊んでやるよ」

キリトはそれに返事をする気も起きず、PoHの足音が遠のいていくのを聞いていた。

体が動くようになると、キリトは「うぇっ」と口元を押さえた。
嘔吐したいのに、何も出てこない。それはそうだ、アバターなのだから。
悔しくて、悲しくてその場に崩れ落ちたキリトは、泣き出した。
誰もそれを見ることはなく、誰にも知られることはなく。
ただ、PoHの残していった傷だけが、なぜだかじくじくと熱くなっていくのがわかった。

「殺してやる・・・あいつだけは、絶対・・・ッ!」



殺すことができないと思っていた、殺意だってなかったはずだったキリトが、初めて殺意を隠すことなくつぶやいた。





ぁ、大嫌いだ


END!
―――――――――――――――
甘くないPoHキリ!です!

PoHさんはやっぱこういう無理矢理系のほうが萌える・・・。
甘いだけのPoHさんはPoHさんやない・・・。
あの人はゲスであるからPoHさんなんや・・・。

キリト君の屈辱にまみれた泣き顔最高。
でも酢酸どえすじゃないから普通にやさしくされるキリトくんのほうが好きだよ。
でもやっぱこういうのもありだね。私が書くといまいち萌えないんだけど。

リクエストの消化していきたい・・・。


更新日:2014.08.28

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