遠き日の思い出
俺がアリスお嬢と出会ってからそれなりになって俺もこの生活に慣れた頃。アリスお嬢が急に行きたいところがあるからついてこいと言われて連れられたのはアリスお嬢の屋敷と変わらないほどの大きな屋敷についた。中に入るとどうやら訪問する事は伝えてたみたいですんなり案内された。
「名前お嬢様。アリスお嬢様がいらっしゃいました」
「名前ー!」
扉を開くとアリスお嬢が走って誰かに抱き着いた。アリスお嬢しかここからは見えないけど同い年くらいのやつっつ事は分かった。
「……アリスちゃん。久しぶり」
アリスお嬢が離れてやっと姿が見えた。俺はその姿に目を見開いた。可愛さと綺麗さを兼ね備えた顔立ちに金髪の長い髪は太陽の光を浴びて反射し神々しさを纏っていた。どこかアリスお嬢を思わせる雰囲気と親しげなあの感じは親戚か何かだろう。だけど今の俺にはそんな事よりもその姿に見惚れていた。
「まさか名前が近くに住み始めるなんて思わなかったわ!」
「うん。お父様のお仕事を近くで見たくってついてきてる」
「あ!そうだわリョウくん!!!」
扉の前で一歩も動かずに立ち尽くしていた俺はアリスお嬢の声で意識が戻る。まさか俺が女に見惚れるなんてと思いながらアリスお嬢の半歩後ろに行く。すると、やっと俺の存在を認識したみたいで視線があった。そこでやっと正面から顔を見た訳なんだが、正面で見るともっと俺の目は奪われ視線があった紫っぽい目に吸い込まれそうになりつい目を逸らす。
「……?」
「この子は黒木場リョウくんよ!私の従者!」
「……この子がアリスちゃんの従者……」
「…うす」
下から上へ値踏みされるような視線に居心地の悪さを感じた。不快感というより緊張。いつもなら睨んだり怒ったりするが今日は、今は違う。胸がバクバクとなぜか早く鼓動していた。
「リョウくん、こっちは私の従姉妹の名前よ」
「よろしく黒木場くん」
ふわりと笑った名前お嬢に心臓が苦しさを感じた。なんだこれ……今日はどうしたんだ俺…おかしいぞ。
「リョウくんは普段はあんまり喋らないから気にしないで!
料理になったら凄いのよ!」
「そうなんだ……今度見せて欲しい」
「…うす」
「…私もアリスちゃんが北欧に行ってすぐぐらいに従者にした子がいたんだけど今日は生憎帰省中で紹介できない」
「え!?手紙ではそんな事言ってないじゃない!」
「驚かせようと思って…ごめんね。でもお互い様でしょ」
アリスお嬢と楽しそうに会話する名前お嬢は同い年に見えないくらい大人っぽい。アリスお嬢が見た目の割に子供っぽいってのもあるけど。
「ねえ名前!私名前に食べさせたいものがあるの!」
「ちゃんと美味しいの?大丈夫?」
「失礼ね!待ってなさい!!」
アリスお嬢が部屋を出ていく。2人っきりになる部屋。珍しく緊張していた。本当にどうしたんだ。
「……アリスちゃんわがままでしょ」
「……まあ、はい…」
「それがアリスちゃんの魅力だから許してあげてね……私は羨ましいなと思うけど」
「……?」
「ごめん初対面で……今の話は2人だけの秘密」
唇に人差し指を付けて笑う名前お嬢にまた心臓がバクバクする感覚。この人は俺をおかしくさせる達人か?……2人だけの秘密。案外悪くないかも知れないとか思ったり。
「お待たせー!」
アリスお嬢が戻ってきた。持ってきたアリスお嬢がここに来る前に作ってきた料理を食べながら談笑。珍しく楽しく感じてあっという間に時間は経っていた。
「じゃあね!名前!」
「うんまた。リョウくんも」
「うす」
それから会うのは数年後の中学の入学式だった。名前お嬢は側近を連れていた。そして、一番びっくりしたのが大人しかった名前お嬢がアリスお嬢みたいに元気の塊みたいになっていた。無理しているように見えるその姿に密かに俺はこの人の事を支えたいと思った。
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リョウとの出会いの話。口調が全く分かりません!
リョウには一目惚れさせたかった(ほとんどのキャラにそう言ってる)
あんまりオラオラ出さないけども密かに思っていて欲しい。
さり気なくネタバレしましたが、薊さんが追放される前まではこんな子。てか、こんなキャラな子なんです。
薊さんが追放されてから今の主人公に。詳しくは多分本編でやります。多分。