戦闘開始だ、といった傷風格のカニの脚の何個かが地面に刺さる。まるで身体を支えるように。そして銃になった腕をこちらに向けてくる。もしかして、とんでもないのが放たれる!?




「!!格納庫!!」




いち早く格納庫が狙われていると分かった風間さんが叫び一番近くにいた鋼が走りシールドでギリギリながら砲弾の角度を帰ることができた。だけどすぐに迫ってきた犬型トリオン兵によって右腕を落とされる。慶がその犬型を私がもう1匹鋼に近づこうとしていたのを真っ二つにした。




『あぶねーいきなり終わるところだった』


『鋼さっすが!ナイスカバー』




もう1人も加勢してくるけど、攻撃の隙間を通過し傷風格へと突進する。カニの脚に攻撃して頭上へと高く飛び上がるとアステロイドを放出。からの鋼の攻撃で若い方を端においやり慶が旋空弧月を放つがやってきた傷風格に防がれる。あれでなんともないとは……かったいな。反撃で傷風格が慶に攻撃して意識がそっちにいってる間に頭上から傷風格に攻撃。よし脚にめり込んだ。ここで、お互いが間合いをとって様子見。




『やっとこさ鎌一本かこいつは骨が折れる』


『罠踏む気配ないし冬島さんに全部ショートワープに変えてもらった方がいいんじゃないですか』


『格納庫狙いでこっちの動きを制限してくるのが厄介だな』




敵さんの攻撃を受けながら通信で作戦会議。私達は下手に動かずに相手の行動に注意を測りながら今は応戦している。作戦が決まっていないのに今動くわけにはいかない。チームワークチームワーク!




『黒トリガーでもない限りあの威力で連発はないでしょう。あと一発は俺が止めますよ』


『よしその間に敵を減らすぞ』


『どっちからやりますか?』


『軽い方からって言いたいとこだが重い方を先に料理しなきゃならなそうだな』




相手が動かないか見つつ通信で作戦会議。あ、視界の端に犬がなんか増えた感じが。めんどくさいなー。




『犬また増えた……いっぺんにこないの?』


『多すぎると細かく動かせないんだろ。連携しなきゃただの雑魚だ』


『飛び回るリングも犬も重い方の攻撃をサポートしている。分断したほうがいい。
軽い方は俺のカメレオンを警戒しているようだ。ちょうどいいから俺が受け持つ。重い方は3人でかかれ犬は各々で対処する。いいな?』


『了解』


『はーい』


『了解!』




風間さんの作戦で決まり。各々通信で返事をし一斉に動き出す。主に私と慶がガンガン傷風格もといカニ足、傷風格長いからカニ足と呼ぶことにした。えっとなんだっけ……あ、そうそう慶と私がカニ足に絶え間なく攻撃し鋼が遠征艇の守護とサポートにまわる。冬島さんが設置してくれたトラップトリガーを上手く使い攻撃をしかける。




「――アステロイド」


「今度はいい距離だ」




慶が旋空弧月の態勢に入ったけどもカニ足が上手く瓦礫をつかって慶の旋空弧月を封じる。戦闘なれしてるなーと思いつつ慶がまた飛躍して旋空弧月を鋼がスラスターをONにしてカニ足に攻撃。




「炸裂弾」




私も炸裂弾を放つけど、3人の攻撃によってできた土煙が晴れると現れたカニ足の装甲は攻撃する前と変わりなし。




『本当に堅いですね』


『自信なくしちゃうぜ』


『腹立つけど正面からじゃなかなか崩せなさそうだねー』




出来れば正面から突っ切ってあのクソ堅い装甲をボロボロにしてあのカニ足の悔しがる顔を見たいってのはあるんだけど3人がかりでやったのに無傷だからきっと無理そうだな。




『長引いて困るのはむこうのほうだ。むこうの兵は上で二人落ちたっぽいからこれ以上のんびりするつもりはないだろう。
相手がさっきの大砲で決めにくるとしたらむこうの手はある程度予想できる』




さっきさり気なくカニ足が手の大砲を触っていたからもしかしたら慶の言ってることは当たってるかもしれない。さーてどうしよ。




『真李愛。ちょっと相談があるんだが』


『なに?』




慶から相談されるなんて。一体何を思いついたのやら。でも慶が考えることだし戦闘に関しては慶の言う事は当たってるというか間違ってないだろうし。




「さあ勝負だ」




蹴りをつけようか。




『とりあえず「重い方」にまてわりついて大砲を撃たせないようにするとチャンスがあれば作戦通りサクッと一発。そんな感じで』


『適当すぎじゃない?』


『適当でいいんだよ。こっちには予知がついてるからな』


『そうね。慶てきにも早く戦いを終わらせたいだろうし』


『そうだな。忘れるなよ』


『もちろん』




というわけでカニ足に2人で向かっていく。だけどカニ足が大砲を撃つ素振りを見せたからちょっと反応してしまい攻撃をくらってしまう。っち……私とした事が意識しすぎた。……風間さんの方も激しくなってきた。そろそろかな。




『来るぞ大砲だ!村上を援護しろ!』


『うん!』




慶の支持に従い剛の方へと向かう。そして慶はカニ足の足に捕まる。きっと格納庫ごと慶を撃つつもりなんだろうけど、




「……だが」


「一手遅いな。真っ二つだ」




私は瞬時に黒トリガーを起動して慶の身体ごと真っ二つに切り裂く。相手もそれは予想していなかったみたい。だけど敵もタダではやられないようで。




「マジか」




大砲を上半身と下半身が真っ二つにされ離された慶の身体を避けて放った。けども、鋼がその弾道にシールドを構えて大砲の位置を上にずらした事で格納庫の破壊は免れた。




「……見事」


「「さすが」」




慶と同じことを思ったみたいでハモる。慶はそれだけ言うと緊急脱出。それと同時にカニ足もカニ足がいた所が爆発し煙が晴れた時には姿はなく跡形もなく消えていた。




「本体が消えた……!?」


「我々の完敗です。お見事でした」




風間さんが相手した敵もそれだけ言い、爆発が起き、出来た煙が晴れると敵の姿が消える。ただ、何かゲートが開いたような空間の歪みが見える。これはもしかして緊急脱出?




「これは……緊急脱出か……!」


「みたいですよね……」




それはさておき。なんとか敵の攻撃から遠征艇を守れたのでとりあえず任務達成で大丈夫かな?ふぅーとりあえず一安心。




『いや〜〜〜俺たちの大勝利だな!』




なはははと高らかに笑って通信で会話に入ってきた慶に緊急脱出したくせになんでそんな威張ってんのと内心悪態をつく。




「いや、何言ってんだか……予知通り真っ二つになったくせに偉そうな」


『予知を逆手に取ったんだ。予知を利用して敵を倒したんだから迅の予知に勝ったと言っても過言じゃない』


「はいはいっと……でもまあ知らないやつにされるくらいなら私がやって良かったとは思ったからいいけど」


『なんだ?ヤキモチか?』




ヤキモチ……うーん、まあそう言われればそうかもしれない。だから素直に言っておこう。




「そうだね」


『……ん?今真李愛がヤキモチだって認めたよな国近』


『明日は雨だね〜』


「慶を真っ二つにしていいのは私だけって意味だから勘違いしない」


『それも充分告白だよね〜』




マジか。そんなつもりは一切無かったんだけどどうやら第三者から聞くとそう聞こえるみたい。視界に写った鋼と風間さんを見ると頷く素振りを見せたのでやっぱりそうみたいです。




「ま、気にしないで」


「いや……気にすると思う」




鋼に突っ込まれてしまったけど、通信遮断した私にはもう慶や柚宇ちゃんの声なんて聞こえないので会話強制終了。風間さんがやれやれと言った感じでため息をついた。なんか、すみません。




「敵の攻撃を漏らして悪かったな」


「いえ充分です。おかげで最後は止められました」


「敵の完全撤退まで油断はできないが第一の任務は達成だ」


「お疲れ様でしたー!」




もう完全に乗り切った気満々。いや、まだ敵さんの船はあるんだけどね。あ、そうだ。今日修たちランク戦だしもしかしたらギリギリ見れたりしないかな?ちょっと帰りたくなってきた。早く敵は帰れーっと心の中で叫んどく。



それぞれのやるべき事




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