あの記者会見から数日経った。今日はいよいよ玉狛第二のデビュー戦であるB級ランク戦の日。実はあれから千佳に緊急脱出をつけた方がいいと会議にあがったので特別に遊真と修の侵攻での戦功を千佳にあげて千佳をB級に上がらせて遊真は地道にランク戦でポイントを稼ぎB級に昇格しついにチームを結成することができたのだ。




「やっほー」


「真李愛!」


「「「真李愛先輩」」」


「応援にきたよーみんな久しぶりだね?元気してた?」


「元気だったよ」


「遊真はいつも元気だね……修、千佳、遊真B級チーム結成おめでとう」


「あ、ありがとうございます」


「千佳は相変わらず可愛いねー修怪我大丈夫?ごめんねちゃんと守れなくて」


「い、いえ先輩のせいじゃないですし大丈夫です」


「そっか。ありがとう」




本当に修に会うのは侵攻以来なのですごく久しぶりだ。怪我の具合はだいぶよくなっているみたいで良かった。でも今日のデビュー戦は出られない。




「あ、そうそう!会見みたよーすっごくかっこよかった!ねえ遊真、千佳!」


「うむ。さすが修」


「はい、かっこよかったです」


「いえ、そんな僕は……」


「修は自分に自信を持ったら?それは強くなるために必要だよ」


「真李愛はいっつも自信満々だからね〜」


「自信あるからねー……そろそれランク戦始まるしお邪魔だから失礼するね」


「あ、はい」


「千佳、遊真楽しみにしてるね」


「はい!」


「うむ」




それから数十分後。ランク戦が始まった。修が実況席にいる!今日は参加できないからだね。玉狛第二デビュー戦の相手は間宮隊と吉里隊。2人なら大丈夫な相手だ。私の予想通り瞬殺で終わり最下位から中位12位にランクインし、次は荒船隊と諏訪隊との対戦になった。










「しょくん!きのうは初しょうりおめでとう!わたくしもせんぱいとして鼻がたかいぞ!」


「おめでとー!」


「あたしが鍛えてるんだから当然ね!」


「ありがたきしあわせ」




初戦から一日が経過した玉狛ではささやかながらおめでとうパーティー?のようなものをしていた。パーティーといってもお菓子食べてるだけだけど。




「けど油断は禁物よ。あんたらが蹴散らした下位グループとは違って水曜に戦うB級中位グループはそこそこまあまあよ。部隊ごとに戦術があってちゃんと戦いになってるわ」


「「そこそこまあまあ」……?」


「ふむ。じゃあ上位グループは?」


「上位グループはかなりまあまあ。どの隊にもA級レベルのエースがいるわ」


「A級にいたことある隊もいるから名実ともにA級予備軍だね」


「私のセリフ!」


「はいはいごめん」



さっきから私話してないんだって!出番欲しいから許してよ桐絵。私だっていっぱい喋りたい。




「……じゃあA級は?」


「A級は……全力でまあまあね」


「まあまあしかないじゃん」


「負けず嫌いすぎだよね!私にしてみれば桐絵も全力でまあまあだけど」


「なにを!?」


「ここにも負けず嫌いが………」




玉狛の中でもトップクラスの負けず嫌いだからね!私の場合は自称がつくけど。でもそのうち遊真も仲間入りしそうな予感。




「実際B級中位は舐めてかかれる相手じゃないぞ。戦闘経験で言えば当然千佳や修よりずっと上だ」


「おれたちが次に当たるすわ隊とあらふね隊ってどんなぶたいなの?」


「諏訪隊は……」


「京介。なんでもかんでも教えるな自分たちで調べさせろ」


「レイジさん……」


「作戦室に過去のランク戦のデータがある宇佐美が来るまで見ておけ」


「はい!」


「了解」




さすがレイジさん厳しいけど、的確な判断。なんでも教えてしまっては修たちは強くなれない。自分で見つけることも強くなるための第一歩!




「あんたたちじゃデータの見方わかんないだろうからあたしが教えてあげるわ!」


「んじゃ私もー」


「おれもなせんぱいとして」


「陽太郎えらいえらい」




ボーダーにいる歴は陽太郎の方が一応先輩だからたまには陽太郎を立てておかなきゃ!ただたんに陽太郎が可愛くて甘やかしちゃうだけってのもあるけど。




「八城先輩」


「……ん?あ、修!あれもうそんな時間か……で、どうしたの?」


「……少しいいですか?」


「いいよ。私も話したかったから!おいで」


「失礼します」




あら、私の隣を叩いたんだけど真正面に座れちゃった。遊真だったら遠慮なく、千佳だったら恐る恐るだけど座ってくれる。これも性格があらわれるなー面白い。




「……話というのはランク戦のことではなく、大規模侵攻の時の話です」


「!」


「あの……あの時はありがとうございました。三輪先輩はもちろん真李愛先輩がいなかったら僕は死んでいたかもしれない」


「そんな事ないよ。私はなんにもしてない」


「……宇佐美先輩から聞きました。僕をその……怪我をさせてしまってひどく落ち込んでいると」


「栞が……」




優しい人が多いから玉狛では特に表情に出さないでいるように心がけてはいたんだけどバレバレだったみたいです。それは心配かけちゃったなー謝らないと。




「八城先輩の援護がなければレプリカを本部に繋げることはできなかったと思います。僕が怪我をしたのもレプリカが連れ去られたのも僕の責任であって先輩のせいじゃないです。だから言わせてください助けてくださってありがとうございます!」


「修……っ」


「え、あ大丈夫ですか!?」


「ぐず、ごめんっ!すごく、ほっとして……最初は目覚めた時、合わせる顔なくてっ……どうしようって、思ってて……みんなが慰めてくれたけど、ずっとずっとモヤがかかってて……」


「お、落ち着いてください」


「うん……この間のデビュー戦で会いにいった時本当は声かけるの怖くて、でもいつも通りだったから逆にどうしていいか分からなかったんだけど……!いまの、修の言葉でモヤがやっとはれてスッキリして、思わず泣いちゃった……ごめんね」


「いえ、僕は……あ、どうぞ」


「ぐすっ……ありがとう」




後輩の前でみっともない姿をみせてしまったけど、ハンカチを貸してくれるのはさすが面倒見の鬼。貸してくれたハンカチで涙を拭う。鼻水はさすがに拭ってない。




「ごめんね、ランク戦の真っ只中だったのに」


「いや!もともとは僕のせいですし……」


「違うよ私のせい」


「いや僕です」


「私だよ」


「僕です」


「「………」」


「ぷっ……!」




2人で笑い合う。こういう責任問題に関してはなかなかお互い強情だから譲らない。これはきりがないわ。




「お互い譲るつもりもないし……お互いのせいにしようか」


「そうですね」


「そういえば……こうやって二人で修と話すのはじめてだよね」


「はいそうですね……いつもは千佳や空閑が一緒にいますし」


「京介が考えたメニューやってる時も栞とかが一緒だからね……なんか新鮮!聞きたいことがあったら聞きにきてもいいんだよ?」


「じゃあ……」


「ん?なになに?」




それから、修の質問に答えていった。ほとんどが射手にまつわることなんだけど。京介も使うけど私は今現役でばりばりやっているから聞きたい話がいっぱいあったんだろうね。質問に答えていったらあっという間に時間はすぎていき修は家に帰っていった。なにか掴めるといいけど!そして私は自室に戻るために廊下を歩いている。




「よ!」


「悠一」


「よかったな眼鏡くんと話ができて」


「視えたんだ?うん、スッキリした!」




久しぶりに見る悠一の顔は少し前の私の顔と酷く似ていた。長い付き合いだから理由はなんとなくわかるけど。




「よかったな」


「悠一も、早くスッキリできるといいね」


「……難しいかもな」


「マイナス思考。私も人のこと言えないけど……大丈夫だよ私と違って悠一はプラス思考だから」


「なんだそれ」


「ふふ。おやすみ悠一」


「……おやすみ真李愛」




悠一のことは気になるけど、悠一なら大丈夫。だって強いもん。自分で実力派エリートなんて名乗ってるくらいだから!またしばらくすればセクハラしだすよ。



晴れ舞台




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -