「「「おおお!?」」」


「なに!?この数値!!黒トリガーレベルじゃん!!」


「千佳ちゃんすごーい!!トリオン量真李愛も多いけど……」


「圧倒的に千佳の方が凄いよ!!こんなに可愛いのに」


「どうなってんの……!?」




なにをしているのかというと…トリオン量を計測していた。あの後遊真と知佳…もとい空閑遊真と雨取千佳とも無事に自己紹介を終えて計測したんだけど知佳は尋常じゃないくらいトリオン量が多くこの多さはどこに入っているかの如く桐絵は千佳のほっぺたをむにーとして私はすごいすごいと褒めるように頭をなでなで。



「雨取のトリオン能力は超A級だ。忍耐力と集中力があって性格も狙撃手向き「戦い方」を覚えればエースになれる素質はある」


「おお〜……!レイジさんがそんなにほめるとはこりゃ、千佳ちゃんが一番の有望株か〜?」




栞の言う通りレイジさんは自分にも他人にも厳しい人。だから腕もかなり立つんだけどさすが落ち着いた筋肉?てなわけで、そんなレイジさんがそんなことを言わせた千佳は将来有望!




「むっ……うちの遊真のほうが強いよ!今でも余裕でB級上位くらいの強さはあるし、ボーダーの武器に慣れればすぐA級レベルになるんだから!」


「こなみ先輩より強くなります」




キラーンと、ドヤ顔でそう宣言した。まだまだだけど、桐絵に最初から1本取れたんだからもしかしたら、そのうちってこともあるかもしれないからこっちも期待。ただ、桐絵はどうなるかは知らないけど私は遊真に負けるつもりは無いかな?




「それはない調子に乗るな」


「ふむふむ。じゃあ、遊真くんにはトリガーの説明したほうがいいかもね。普通はB級に上がってからなんだけど」


「そっちはどうなのよとりまる。そのメガネは使い物になりそうなの?」




桐絵や遊真に向いていた視線が今度は京介と修の方へと向く。さて、さっき栞から聞いた話だと3人の中で一番、というか唯一ボーダーの隊員である修はどうなのかな?




「う――――――――ん……「今後に期待」……としか言えないすね」




今後に期待、ということはまあ言ってしまえばあれだけど今は実力がない。ということだと思う。私はまだまだ中学生でこっから伸びしろがあると思うから構わないと思うんだけど、桐絵がなあ。




「なにそれ。つまり現時点で全然ダメってことじゃん。ちゃんと強くなるんでしょうね?玉狛の隊員に弱いやつはいらないんだけど」


「桐絵、言い方」




ほら、やっぱり。2人とは明らかに違う拒絶といってもいいくらいの強い口調に態度。桐絵は玉狛に強い思い入れがある。私も玉狛が好きだけど桐絵もなかなか強いから仕方が無いっちゃないんだけど。本当に容赦がない。




「いや、でも小南先輩こいつ小南先輩のこと「超かわいい」って言ってましたよ」


「えっ……!?そうなの!?」




京介の言葉にツンっとしていた桐絵の態度が180度変わって頬は赤く染まってまるで恋する乙女のよう(恋はしてないんだけど)




「うむ言ってた気がする」


「ホントに!?ちょってあんたやめてよねそういうお世辞。お世辞じゃないのかもしれないけど!」




桐絵めちゃくちゃ嬉しそう。余りにも嬉しいのか、いや照れすぎて修をバシバシと叩いて照れ隠ししている。可愛いんだけど、ただ可哀想だな。




「すいませんウソです。お世辞じゃなくてウソです」


「だましたな!?このメガネ!!」


「だましたのはぼくじゃないですよ!」




またもや、表情は一変して涙を浮かべて修の首を後ろから腕でしめている。言ったのは京介なのに、修が被害にあってるのはなぜ。可哀想に…同情しとくね。




「傷ついた!プライドが傷つけられた!!」


「だからぼくじゃないですって」




この、修と桐絵のやり取りを栞・千佳・遊真・私で笑って見守る。千佳はちょっと修に同情したような顔で見てる。でも、空気は和らいで修と桐絵は仲良くなれてよかった。京介ナイス。




「よし、休憩は終わりだ。そろそろ午後の訓練を始めるぞ雨取」


「はい!よろしくお願いします!」




隣に千佳が立つと身長差すごいな。野獣と小動物…?いやレイジさんは見た目はあんなんだけど中身紳士だから野獣ではないか。あれだ、同じ人間なのか?うん?これもレイジさんけなしてる気がするけどまあ、いっか!




「おれたちも訓練行こうぜこなみ先輩。今日こそは勝ち越せる気がする」


「はあ?千年早いから」




やっぱりこの2人はいいコンビになったね。お互いがお互いを刺激し合えるいい関係。私は慶かなーたぶん。慶との戦いが一番楽しい。ライバルってやっぱり重要だよね。




「じゃ、私はちょっと出掛けてくるねー遅くなるかも」


「了解」




さて、悠一と合流しますか。今回はどうやら嵐山隊も加わってくれるみたいだし楽しくなりそうだな。でも慶帰ってきてるのかー2人をみて刺激されたからちょっと暴れたいかも。




「トリガー起動」




可愛い可愛い遊真のためにひと肌脱ぎますか。悠一がいる場所はそんなに遠くないはず。あ、いたいた。しかも戦闘始まってるよ……準備に手間取った。嵐山隊もちょうどきてる。




「嵐山隊現着した。忍田本部長の命により玉狛支部に加勢する!」


「忍田本部長派と手を組んだのか……!」


「ざーんねん悠一と嵐山隊だけじゃないよ?」




みんなが上にいる嵐山隊に夢中で悠一の背後からやってきた私の事なんて気づかなかった。だから、ばっと!振り向いて驚いた顔のみんなにちょっといい気分。




「真李愛……!?」


「真李愛先輩……!」


「私としても可愛い後輩と黒トリガーを渡すわけにはいかないの」




みんなのお前もかという視線。やっぱり気分がいい。風間さんにも見られてる。ニヤニヤが止まらない。とりあえず、悠一たちと合流して落ちつこう。平常心平常心。




「いいタイミングだ嵐山助かるぜ。真李愛もな」


「三雲くんの隊のためと聞いたからな。彼には大きな恩がある」




嵐山さんが喋っている間、悠一は私の頭をわしゃわしゃとなで続ける。嵐山さんの話入ってこないんだけど。私は犬かなにかなのかな?悠一はムツゴ○ウさんなの?




「頭を撫でない!」


「はいはいっと。木虎もメガネくんのために?」


「命令だからです」




噂はちらっと聞いてたけど藍ちゃん修に容赦ないなあ……まあきっと同い年に対する負けられない気持ちと彼女のツンデレが発動してるだけかもしれないけどね。




「真李愛、嵐山たちがいればはっきり言ってこっちが勝つよ。俺のサイドエフェクトがそう言ってる」


「私、別に本部とケンカしたいわけじゃないの。守りたいだけ。だから退いてくれるとうれしいんだけど」


「なるほど「未来視」のサイドエフェクトか。ここまで本気のおまえらは久々に見るな。おもしろい。お前の予知を覆したくなった」




普段の仲は悪くは無いけど派閥に分かれてしまった時の私達はお互いに譲りたくないために衝突してしまう。今回もやっぱり穏便には終わらなかったなー。相手は城戸派だからしょうがないか…血気盛んな奴らばっかりだし。




「やれやれそう言うだろうなと思ったよ」




戦闘が始まった。主に悠一がみんなの攻撃を受けて嵐山さんがバックアップをする。私はまだなにもしない。手を出してない。私がまだ手を出す時ではないから。戦いに激しさが増してきて、私達は慶たちと距離をとる。




「……次はこっちを分断しに来そうだな。その場合はどうする?」


「別に問題ないよ。何人か嵐山たちに担当してもらうだけでもかなり楽になる。風間さんがそっち行ってくれると嬉しいんだけどこっち来るだろうな。真李愛やれるか?」


「当たり前。風間さんだろうが慶だろうが敵になったらやるまでよ。むしろワクワクする」


「そうだった。背中任せたからな」




見つめあってにやりと笑う。これが私達の合図。悠一は私に背中を任せて私は悠一をサポート。2人で共闘するときの決まった合図。久しぶりだなーこの感じ。




「うちの隊を足止めする役ならたぶん三輪隊ですね。三輪先輩の「鉛弾」がある」


「どうせなら分断されたように見せかけてこっちの陣に誘い込んだほうがよくないですか?」


「そうだな。賢と連携して迎え撃とう」




嵐山隊の作戦会議が終わった所で城戸派のみんながこちらに向かってきた。さて、と。ちょっくら暴れてやりましょーかな。




「おっ来たな。うまいことやれよ嵐山」


「そっちもな迅。八城も」


「はい」




嵐山隊と悠一、私で分かれる。予想通り風間隊と慶に加え勇に透と章平の三輪隊スナイパー組がこちらに来た。公平はあっちに行ったか。慶が悠一に風間隊が私に向かってくる。私そんなに警戒されてるの?嬉しいな。




「まさかお前までもが来るとはな」


「さっきも言った通り近界民だろうと私の可愛い後輩ですから。それに風間さんと戦える機会なんてそうそうないですからこんな状況でも楽しくてたまりません」


「黒トリガーは回収させてもらう。もちろん近界民もな」




こう、話している間も風間さんを筆頭にして攻撃を仕掛けてくるが難なくかわす。3対1でもまだまだ余裕!油断はしないけど。なんせ一番部隊でこられると厄介なのが風間隊だから。




「渡しませんよ。大好きな風間さんでもこれだけは譲りません……また守れない、見てるだけなのは嫌なので!」


「八城……」




風間さんは知っている。私が今までなにを体験して感じたのか。だから今の言葉の意味を知っている。そして、風間隊の攻撃をかわしているといつの間にか、悠一と背中合わせの体勢になっていた。




「大丈夫か?」


「誰に言ってるの?」


「そうだったな」




戦闘に関しては桐絵よりもプライドが高い自信はある。好きな人こそ超えたくなるってね!だから絶対に負けてあげない!こっちにだって譲れないものがあるんだから。




「どうした迅。なんで「風刃」を使わない?何を企んでる?」


「ずいぶんおとなしいな迅。昔のほうがまだまだプレッシャーあったぞ」




それは風刃の争奪戦の時かな?あれは言葉で説明が難しいくらいに凄まじかったと記憶してる。だけど、今回と争奪戦では訳が違う。




「まともに戦う気なんかないんですよ。この人は単なる時間稼ぎ。今頃きっと玉狛の連中が近界民を逃がしてるんだ」


「いいや、迅は予知を使って守りに徹しながらこちらのトリオンを確実に削っている。こいつの狙いは俺たちをトリオン切れで撤退させることだ」


「あらら……」


「うわー」



さっすが遠征で鍛えられてるだけあって頭の回転が早いなー遠征組恐るべし。すぐにばれた。もう、私と悠一は顔にも声にもだしてしまった。バレたとところでさして影響はないし。




「……なるほどあくまで俺たちを帰らせる気か「撃破」より「撤退」させたほうが本部との摩擦が小さくて済む」


「戦闘中に後始末の心配とは大した余裕だな」




城戸派と違ってこっちはみんなと仲良くしたいし、あまり最大勢力である城戸派との溝が深いとのちのちやっかいになるから。あくまで玉狛は穏健派。




「風間さん。やっぱりこの人たちは無視して玉狛に直行しましょうよ。ぼくらの目標は玉狛の黒トリガーこの人たちを追い回したって時間のムダだ」


「……たしかにこのまま戦っても埒が明かないな。玉狛に向かおう」


「悠一もう……」




これ以上は無理だとお互いに判断して、次の手をうとうと悠一に合図を出す。悠一も私の言葉に大きく頷いた。




「ああ。やれやれ……やっぱこうなるか」




悠一が風刃を発動する。そして、一瞬の間に士郎の首を跳ねた。当の本人もなにが起きているのか全く分かっていなかった。




「戦闘体活動限界緊急脱出」


「でたな「風刃」」


「仕方ない。プランBだ」




さて、と……どう悠一をアシストしますか。プランBはあくまで悠一がメイン。悠一をトリオン切れにさせずにどう彼を、いや風刃を引き立てるかが私の役目。結構難しい。




「……申し訳ないが太刀川さんたちにはきっちり負けて帰ってもらう」


「悠一、私は後方に回るから」


「後ろは任せたぞ」


「うん、守ってみせるよ悠一の背中」




遊真のために、悠一をトリオン切れになんてさせない。風間さんだろうと慶だろうと絶対悠一を守ってみせるから。




「………」


「羨ましい?太刀川さん」


「……別に」




悠一の背中を任されたのはいいけども、はっきり言って別に必要はないと思う。それだけ風刃は強力な黒トリガー。だから、私は特にいつ来るか分からない厄介な狙撃手を狙うことにした。




「やっほーやっほー元気?透に章平」


「「真李愛先輩……!」」




グラスホッパーで瞬時に移動して2人のところにやってきた。かなりやっかいな勇がこっちにいないのは残念。もっと状況変わったのに。




「別に悠一私の助けいらないだろうしー?だったら今のうちにやっかいな君達を潰そかと思って来てみた!」


「「(可愛いけど言ってること怖い……)」」


「というわけで、ばいばーい」




近接戦闘で狙撃手に負けるはずもなく私は瞬殺で2人を緊急脱出させた。いやーやっと私役に立ったわ。結局、あんまり役に立ててなかったし。てか、悠一私必要あった?割と行けそうな気がするんだけど悠一と嵐山隊だけで。



「悠一、狙撃手組緊急脱出してきた」


「ご苦労さん。こっちも勝負ありだな」




見ると、慶と風間さんの体はボロボロであちこちからトリオンが漏れていた。でも、緊急脱出するにはまだトリオンは余ってそう。それは時間の問題ではあるけども。




「なるほどな……いずれ来る実践に備えて手の内を隠してたというわけか……」


「悪いね生粋の能ある鷹なもんで」




あんたの場合は爪以外にも色々隠してそうだけどね。という突っ込みは飲み込んで心の中だけに留めておく。




「……だが「風刃」の性能は把握した。あと三週間……正式入隊日までの間に必ずお前を倒して黒トリガーを回収する」


「残念だけどそりゃ無理だ。真李愛」


「なーに?」


「最後の一撃やるよ」


「いいの?」




これ、とどめどうするのかなと考えていた矢先だったから嬉しくて目が輝いていたかもしれない。それくらいおこぼれでもうれしかった。とどめをさすってやっぱりスッキリするし!




「いいところは真李愛にやる」


「やった!悠一好き!!」




悠一のおこぼれだけど、風間さんと慶のトドメをさせることに嬉しくて悠一に抱き着く。おっといけない忘れてた。早くとどめを刺さないと何されるか分からない。私は弧月で2人にトドメをさした。すぐに2人は緊急脱出した。




「さて、本部に行くか」


「私も行く。城戸さんに言いたいことがある」


「分かった………それにしても、悠一好きねえ」




ニヤニヤとこちらを見てくる悠一にちょっと顔が上気するのを感じてすぐに言葉を発する。




「!変な意味ないからね!」


「えー変な意味であって欲しいけど」


「からかわないの!」


「いやーでもさっきのは役得役得。いいのが当たった」




さっきのニヤニヤとは違う、いやらしさ、エロジジイがするのと同じような顔をしてさっきとは違う意味で顔に熱がのぼる。




「変態」


「ごちそうさん」


「全然嬉しくない…」




それからは他愛もない話。桐絵の騙されちゃったシリーズ(命名私)の話とかをした。さっきまで風間さんたちと戦ってたなんて嘘みたいに楽しかったけど、楽しい時間はあっという間。本部の会議室に着いた。次の奪還には月彦を投入するという城戸さんの声が聞こえた。




「失礼します」


「失礼します」


「どうもみなさんお揃いで会議中にすみませんね」


「迅、八城……!!」




ヘラヘラと会議室に入っていく悠一に対して私は、城戸さんへの怒りで顔は強ばっていた。




「きっさまらぁ〜〜〜!!よくものうのうと顔を出せたな」


「まあまあ鬼怒田さん血圧上がっちゃうよ」


「何の用件だ迅、八城。宣戦布告でもしに来たか」




さすが司令だけあって、突然私達が入ってきても動じずにこちらの様子を伺っている。その顔を今から発する言葉に崩すことができるかな?




「ちがうよ城戸さん交渉しに来たんだ」


「交渉だと……!?裏切っておきながら……」


「裏切りねえ……」




裏切ったなんてこっちはこれっぽっちも思ってなんかいない。だって、悪いことをしたなんて私達は思っていないし当然のこと。それを裏切り者扱いされるのはどうかと思う。




「いや……本部の精鋭を撃破して本部長派とも手を組んだ。戦力で優位に立った今が交渉のタイミングでしょう」


「こっちの要求はひとつだけ。うちの後輩、空閑遊真のボーダー入隊を認めて頂きたいのです」


「なにぃ?どういうことだ!?」


「太刀川さんが言うには本部が認めないと入隊したことにならかいらしいんだよね」




そう、私もそれを移動中に初めて知った。もし、あのまま知らなかったら遊真は入隊できなかったかもしれないんだ。それは完全に私達の知識不足だった。




「なるほど……「模擬戦を除くボーダー隊員同士の戦闘を固く禁ずる」か」


「ボーダーの規則を盾にとって近界民を庇うつもりかね……!?」




主に鬼怒田さんと根付さんから焦りを感じる。そんなに近界民を入れさせたくないのか。でも、唐沢さんと城戸さんは冷静にこちらの様子を伺うように見ている。




「私がそんな要求を飲むと思うか……?」


「もちろん。タダとは言わないよ。かわりにこっちは「風刃」を出す」




冷静だった城戸さんが風刃を出すと反応した。それだけじゃない。傍観していた忍田さんも驚いた様子が伺えた。




「うちの後輩の入隊と引き換えに「風刃」を本部に渡すよ。そっちにとっても悪くない取り引きだと思うけど?」




鬼怒田さんと根付さんが何を思っているか分かるほど顔にでている。そりゃそうだ。未知のトリガーより適合者が多い風刃を手に入れた方が問題なく対応できるからね。




「そんなことをせずとも私は太刀川たちとの規定外戦闘を理由におまえらからトリガーを取り上げることもできるぞ?」


「それなら当然慶たちのトリガーも没収ですよね?それはそれで好都合です。城戸派とランク戦以外の戦闘なんかしたくないですし、平和に正式入隊日を迎えられるならどっちでもいいですよ」


「没収するのはおまえらのトリガーだけだと言ったら?」


「試してみたらどうですか?そんな話が特に私に通じるかどうか……わかってるでしょ?」




城戸さんは私がどういう人間かよく分かってるはず。ボーダー創設メンバーであり私の母である彼女に私はそっくりだから。それを見ていた鬼怒田さんと根付さんから風刃が欲しいという思いが伝わってくる。もうそろそろかな。




「さあどうする?城戸さん」


「なにを企んでいる?迅……!この取引は我々にとって有利すぎる。何が狙いだ?」




珍しく城戸さんがわりとだけど、感情をあらわにしている。それほど、悠一やボスがなにを考えているのか気になるのだろう。




「別に何も企んでないよ。かわいい後輩を陰ながらかっこよく支援してるだけ。おれは別にあんたたちに勝ちたいわけじゃない。ボーダーの主導権争いをする気もない。ただ、後輩たちの戦いを大人たちに邪魔されたくないだけだ。
ただ、ひとつ付け加えるなら……城戸さん、うちの後輩たちは城戸さんの「真の目的」のためにもいつか必ず役に立つ。俺のサイドエフェクトがそう言ってる」


「…………………………いいだろう。取り引き成立だ。黒トリガー「風刃」と引き換えに……玉狛支部空閑遊真のボーダー入隊を正式に認める」




やった!取り引きは成立して、無事に遊真の入隊が認められた。それは嬉しいけど、私は城戸さんに言いたいことがある。そのためにここに来たんだから。




「城戸さん、ひとつだけいいですか?」


「……なんだ」


「もし遊真になにかしようとしたら次、私は月彦だろうが誰だろうが全力で潰す。あなたに使用を制限されてる私の黒トリガーも容赦なく使います。この意味分かりますよね?」




城戸さんは何も言わない。でも、分かってると思うから話をつづける。




「今回の件で、少しばかり城戸さんに怒りを感じています。いくらお母さんの古い友人で私もお世話になっていようが、関係ない。次はないと思ってください。次があったら、私はボーダーを辞めます」


「!?」


「言っておきますが本気です。失礼します」




私と悠一は会議室を出た。城戸さんのやり方は納得できない。だから、私なりに少しでも抑制できたらと思った結果。私が抜けて困るのはあっち。だからこれからなにかを企むことはない。安心して遊真は過ごせるんだからあれくらいお安い御用。



守るため




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