快晴の空の下、駅までの道をゆっくりと歩く。


今日の待ち合わせはFirst nameが決めた。


指定された時間に指定された場所で集合して、その後のことは何も知らない。




『昴さん、お誕生日プレゼントは何がいいですか?』

『どこか行きたい所はありますか?』



数週間前、First nameは俺にそう尋ねた。


俺の誕生日なんて気にしなくていい。
お前以外何もいらない。
ただFirst nameが傍にいてくれるだけで、俺は幸せだから。


もちろん偽りなど無いから、俺は心からの言葉で伝えたつもりだった。


でもFirst nameは悲しそうな顔をした。


私の大切な人が生まれてきてくれた大切な日を、そんな風に言わないで欲しい、と寂しそうに言った。


ああそうだ、First nameはこういう女だ、と思った。


First nameのことを大事に想うように、俺自身も自分という存在を大事にしなくてはいけない。


それが相手を想うことでもあるのだと、俺はまたFirst nameに気付かされた。


そして同時に、愛されている実感が湧いて。



すごく嬉しかった。





駅前広場の人混みの中で、俺はすぐにFirst nameを見つける。


First nameは正面に俺がいることにも気付かず、手鏡で一生懸命に前髪を直していた。


その姿に早足になりかけたが、ぐっと堪えた。




彼女が俺に気付いたら、愛しいその名前を呼んで手を振ろう。


そしてキスをして、いつものように手を繋いで。


いつも以上に、特別な一日を。





早くその瞳に映してほしいと願いながら───

俺はFirst nameの元へ、ゆっくりと歩く。





Happy Birthday Dear Subaru
2016.9.14












  

















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