残虐非道(笑)
俺は残虐非道である。
恐らく、俺ほどの鬼畜はこの世にいないだろう。
今日も俺は残虐非道の限りを尽くしてやった。
陰気な相棒が拾ってきた畜生を虐待してやったのだ。
相棒が拾ってきた時、既に畜生は虫の息だった。
しかし俺は残虐非道だ。このまま簡単に楽にはしてやらない。
怪我はなかったが衰弱が酷かったので、とりあえず秘孔を突いて無理矢理息を吹き返させた。
だがそれだけではまだ甘い。俺は残虐非道であるから、更に追い討ちをかける。
貴重な水を沸かして、畜生を風呂に入れる。勿論煮て殺すなどという甘いことはしない。俺は残虐非道だからだ。
身体中を隈無く揉みまくり、畜生を辱める。畜生にだって羞恥心はある。生き地獄を味わわせてやるのだ。不可抗力で身体が解れて汚れも取れたが、これは不可抗力なので仕方ない。
風呂虐待は終わったものの、この世に呼び戻された哀れな畜生は、諦めが悪いのかまたしても黄泉路へ旅立とうとしていた。だが俺は残虐非道。そんなことはさせない。
部下共に食料を持って来させ、畜生に食わせる。勿論俺は残虐非道なので、食い応えのない大きさに引き千切って口の中へ押し込んだ。水責めも忘れない。
そうしていると、さっきまで立ち上がる元気もなかった畜生がゆっくりと立ち上がり、俺の足に擦り寄ってきた。
今更媚びたところで、俺は残虐非道であるから虐待は止めない。その無駄に綺麗になった毛並みを掻き乱すように、身体を撫で回す。きゅうんきゅうんと鳴き、尻尾を振って嫌がっているが、俺は残虐非道なので止めない。これから毎日、この畜生を虐待し続けるつもりだ。
「ジャギ。その犬、俺が拾ってきたんだけど」
「だからなんだよ」
「俺も可愛がりたいんだけど」
「ああッ? 可愛がってねえよ。これは虐待なんだよ」
「いや、どう見ても可愛がっ」
「可愛がってねえっつってんだろ! 大体てめえには、前に俺が拾った猫がいるだろ! ったく、俺が虐待するつもりだったのによぉ」
「だって猫可愛いから、つい」
「なら俺もこの犬畜生がむかついたから、ついお前から取りました。はい終わり」
「おい」
「ああ、ジャギ様、アミバ様。さっきそこで狐を拾いまして。ほら!」
「狐とは珍しい。可愛いな」
「可愛いでしょう。ジャギ様も思いますよね」
「お、思わん! っつうかてめえら! 何でもかんでも拾ってくんじゃねえよ!」
「俺はまだ三回しか」
「私は二回ですよ。大体ジャギ様なんて五回も拾っ」
「うるせえ! 俺は虐待するために拾ってんだよ!」
「はいはい虐待虐待」
「おいアミバ表出ろ」
「喧嘩はお止めください」
もう一度だけ云う。
俺は残虐非道である。
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