燃え上がる篝火花 【ジルベル】




「おいベル!何だよアイツ!」
「あ?」
「お前と居たあのカエルっ!」
「生意気な後輩って言ったじゃん」


白蘭との戦いが終わりボスにカッ消された筈のアホ兄貴は何故か生きていた
そして何故かウ"ァリアーに居座っている
最初のうちはココに居ること事態に文句言ったり反発してたけどボスは何も言ってこないしアホ兄貴を追い出そうとする気配も見せないから俺もとやかく言うのを止めた


「ただの後輩が普通上着捲るかよっ!しかも変な目でお前の事見てっし!」


ジルがそう言って指差す方向に目を向ければ談話室の扉を少し開け出来た隙間からニヤニヤとこちらを覗き込んでいるカエルが居た


「あれはお前をからかって遊んでんだっての」
「はっ、ぜってー違ぇだろ!」
「あのな、俺とカエルに変な関係はねぇし百歩譲ってあったとしてもお前には関係ねぇじゃん」


ジルが鬱陶しくなったから冷たくそう吐き捨てれば押し黙ってしまった
やっとこれで落ち着けると思ったのもつかの間、ジルはソファーに腰掛けていた俺を押し倒して上に乗ってきた

「ちょっ、どけよ」
「ある」
「は?」
「関係ある」
「何でだよ」
「俺お前の兄貴だし」
「…」


今時交際を始めるのにいちいち兄貴の許可を取ってる弟が何処に居るって言うんだよ
ぜってぇ居ねぇし


「大体テメーは無防備過ぎんだよ馬鹿弟っ!」
「かっちーん、言わせておけば調子乗ってんじゃねぇよアホ兄貴!」


俺の上に乗るジルの襟元をグッと掴む
それによってどこかエロさを感じる鎖骨が見えたけれどそんなの関係なしに睨みつけてやった


「あ"?弟のくせに俺様に刃向かうのかよ?」
「うっせー黙れ、お前だって俺の事言えねぇじゃん」
「あん?」

「白蘭様白蘭様ってあのマシュマロ野郎の言いなりになりやがって、本当はアイツとデキてたんじゃねぇの?」
「テメー白蘭様を馬鹿にすんなっ!白蘭様は偉大なお方なんだよ!」

「ししっ、どーだかな結局は沢田に負けたしユニは手に入れられなかったしでダメダメじゃん。何が偉大だよっ、ボスの方がよっぽどツエーし偉大だねっ」
「テメーのトコのボスだって沢田に負けてんだろ!」
「あれは十年前の話、今とは別だってのバーカ」


悔しそうに眉を寄せたかとおもったらジルの顔に自然と笑みが浮かんだ


「…」
「ししっ…何も言わねぇって事は認めんだなっ」
「…んだよッ」
「あん?」
「何だよテメー、あのカエルだけじゃくてザンザスもかよっ」
「は?」
「ふざけんなっ」


そう言いながら突然上着を捲って腹を撫で始めたジルに目を見開いた


「ちょっ…何すんだよ!」
「腸骨エロっ」
「話聞け馬鹿っ!」


ジルはチュッと何回も俺の腹部にキスを繰り返していて俺の言葉に耳を傾ける気配は0

「っ、溜まってんならその辺の女で抜けって、何が悲しくて兄貴の性処理やらされなくちゃなんねぇんだよ!」

「テメーはジル様だけ見てればいいんだよ」
「っ、お前だって白蘭様ってほざいてねぇで王子の事見ろよっ」
「黙れ馬鹿弟」


抱きしめられれば次第に速くなる胸の鼓動
それに気づいたらしいジルは満足げに笑う
恥ずかしくなって視線を泳がせれば窓辺にこの間オカマが買ってきた赤い篝火花が見えた



花言葉は【嫉妬】



正に今の俺にぴったりの言葉
お前には花言葉も俺の気持ちも分からないだろうけどな…
お前がカエルやボスに嫉妬してくれてたらなぁなんて考えてたら


『俺様以外の事考えんな』

なんて眉を寄せながら我が儘な事を言うジルの顔が近づいてきた
俺の唇に重ねられたジルのそれは凄く熱くてずっと欲しかっモノだったから嬉しくて求めるようにキスに答えた
唇が離れ見つめられてしまえば俺は見つめ返す事が出来なくて赤くなりながら顔を逸らして小さな声で呟いた





「好きだバーカ」





......

(馬鹿余分だっての馬鹿弟)

(うっせぇアホ兄貴)


(うわー、この人達面白っ、見てて飽きないですー)



篝火花(カガリビバナ)
→シクラメンの和名
12月22日の花



燃え上がる篝火花 【ジルベル】

(嫉妬の炎で焼き尽くす)



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