王子様<王様
餓鬼の頃から信じてた
自分の望んだ物は全て手に入るって
だって…
俺は王子だから
「う"ぉぉい、ベル…報告書を出せってボスが言ってたぞぉ」
「ん〜、分かってるっての」
報告書を前にペンをクルクルと回し適当に任務の事をまとめながら返事をすれば呆れたようなため息が聞こえた
「さっさとしろ、どやされるのは俺なんだぞぉ」
「ししっ…本当は嬉しいくせに」
「ったく…」
否定は…しないのか
なんだかんだ文句を言うもののボスに従うスクアーロに苛々が募る
我慢出来ずにナイフ投げれば長い髪を靡かせて避けられてしまった
「物騒なモン投げんなぁ」
「うっせーよ」
磨かれたナイフは相手が避けた為に壁にグサリと刺さっていた
「避けんなし」
「無茶言うなぁ…」
ニィと笑みを浮かべて言えば困ったような顔を浮かべこちらに近付いて来る
「ほら、早く書けぇ」
書類とは反対方向へと向けていた身体を正常に戻されてしまえば目に入るのはかたっ苦しい紙ペラとペンを握った己の手
「ん"ー…」
不満そうに眉を寄せ唸るような声をあげれば温かく大きな手が己の髪を撫でた