いいお兄さんの修業




「ルッスーリア、…飯よこせ」
「オカマなら出かけたよっ」
「…どこに行きやがった」

「買い物。『遠くの店に買いに行くわ〜!暫く帰らないからねっ、ベルちゃんの面倒見てあげて頂戴ね〜』だって」


長テーブルに置かれていた書き置きの紙をペラペラと動かしながらメモの文面を読みあげる
数日前、王族出身ながら自らヴァリアーの扉を叩いた変わり者の餓鬼
ベルフェゴールだったか
双子の兄貴を殺した興奮が忘れられなくなったとか言ってやがったな


「ドカスはどうした」
「次の任務の情報収集だって。因みに変態は任務中〜」

「…使えねぇ」
「ねぇ、ボス」
「あ゙?」
「王子お腹空いた」
「知るか」
「オカマが何かあったらボスに言えって」
「…チッ」


仕方ねぇ、飯作るか


「ねぇねぇ、ボスっ、何作るの?」
「うるせぇ、黙ってろ餓鬼」


キッチンに行って適当に野菜と肉を出して切る
ぶつ切りに近くても食えりゃいいだろ
背伸びをしながら興味津々と言ったような顔で覗き込んでくるベル

うぜぇな(存在が)


「…邪魔だ」
「えー、王子邪魔してないぜ?見てるだけー」
「気が散る」
「良いじゃん、静かにしてっからさ」
「…チッ」


口にした通り静かになった
オマケに気配まで消してやがる
確かに暗殺部隊には打ってつけな餓鬼だが気に入らねぇ


「…出来た」


所謂、野菜炒めというモノが出来た
適当に切って炒めただけだが案外簡単だな
クイクイと服の裾を引っ張られて視線を向けると前髪の奥にあるベルの瞳がこちらを見つめていた


「ボス、早く食べたいっ」
「…面倒くせぇ」
「熱っ、あふい!!」


出来たモノをそのままベルの口に突っ込む
口をパクパク動かして何かほざいてやがるが気にしねぇ事にした
大体腹が減ったならテメーで何とかしやがれ


「…ねぇ、ボス」
「今度は何だ」
「コレ、味しないよ」
「…」


味がねぇだと
そういや野菜と肉以外何も入れてねぇが、それだけじゃ味しねぇのか?
ルッスーリアの奴いつも何入れてやがる


『隠し味にコーヒーとかチョコレートを入れると良いのよー』


コーヒー…いや、餓鬼にはにげぇか
此処はチョコレートだな
…チョコレートって何処にあんだ?
グルグル頭を回転させているともう一度裾を引っ張られた

心なしかさっきよりも強い


「ボスっ、ボスっ!」
「…あ゙?うるせぇ餓鬼が」






「何か黒い煙り出てるよ!!」







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