全てはそこから始まった
「ゔぉぉい、やっと着いたぜぇ」
長い廊下の窓からギラギラと差し込んでくる日差しと熱気から逃げる様に早足で歩く
やっと見えた自分の部屋へ続く扉が神々しくも写る
真夏の任務は辛いぜぇ
隊服も夏仕様って言っても暑いもんは暑い
さっさと部屋に入ってクーラーをつけよう
最初の内は熱気を逃がす為に窓も開けた方がいいか
そんな事を考えながら自室の扉を開ければ冷たい空気と同時に光る何かが飛んできた
「ゔぉっ!!」
「あん?なんだスクか誰かと思ったじゃん」
ノック位しろよなーなんて言いながらナイフをクルクルと回し空いている手でドルチェを口に運ぶ王子様の姿はタンクトップにショートパンツ
奴にしては肌の露出が多い
何だ、何で突然こんな格好…
というか、ここは俺の部屋だよな
何でコイツが居んだぁ?
「…あ゙ー」
「あ?なんだよ」
「まず1つ聞くけどよぉ、何で俺の部屋に居るんだぁ?」
「王子の部屋のクーラー付かなくなったから」
「壊れたのかぁ?」
短い返事と一緒に何かを足元に投げられたので視線を落とす
と
無惨にも真っ二つになったクーラーのリモコン
スッパリとした切れ口を見た所、相当切れ味のいいモノでやられたと訴えている
「……ゔぉぉぉい!!ベルっ!テメー何リモコン切ってんだぁぁぁ!」
「スイッチ入れようとしたら狙い間違えただけだし」
「ナイフで電源入れようとすんなぁぁ!!」
「だってと「遠かったなんて言わせねぇぞぉぉ!!」
リモコン切るなんて前代未聞だぞぉ!
ボスさんだって無くなったって騒ぐだけ騒いどいてケツの下にリモコンあったってオチ位だぞ