よそ見厳禁!♀(ベル誕番外編)




俺、ベルフェゴールは斯く斯く然々で現役英語教師スクアーロと結婚した

スクアーロが仕事で忙しくて結婚式は出来てないけど約束通り卒業してすぐに入籍をした

それから早数年、主婦生活にも大分馴れたある日の事





「チッ、またコイツかぁ、本当懲りねぇなぁ」


リビングのテーブルでテストの丸付けをするのが家ではもう当たり前でラフな格好に着替えたスクアーロは椅子に片足を立てながら舌打ちをした


「またって何が?つかスクアーロ行儀悪い」
「ゔぉ、悪ぃ」
「おー、なかなか酷い点数じゃん」
「これなかなかじゃねぇだろぉ」


スクアーロの手元を覗き込むと見事にバツばかりが付けられたら英語のテスト
しかもバツばっかりだからスクアーロ途中からバツじゃなくて横線になってっし
手抜きかよ

点数の横の枠にはそれなりに綺麗に書かれた女の子らしい可愛い可愛い名前があった


「スクアーロの教え方が悪いんじゃね?」
「んな訳ねぇだろうがぁ、お前は英語優秀だったろぉ」
「俺はスクアーロに教わる前から優秀だったし」
「こんな極端に悪いヤツそうそう居ねぇぞぉ」
「それに俺はスクアーロのせいで一回赤点とった事あるし」
「あれ俺のせいかぁ?」
「当たり前じゃん」


バツが悪そうに視線を逸らすスクアーロ
まぁ別に俺だってんな事思ってねぇけどさ

でも、なんかちょっと引っかかるなこの女
なんつーの、女の勘ってヤツ?


「ね、どんな奴なの?」
「どんな?あ゙ー…髪が肩位の…」
「見た目じゃねぇし」
「んじゃなんだぁ?」
「スクアーロ、そいつに嫌われてんの?」
「…嫌われては、ねぇと思うんだけどなぁ」


スクアーロ曰わく、英語の教材プリントを積極的に配ってくれたり、雑用とかも引き受けてくれて廊下ですれ違った時にはからかわれ、職員室に良く遊びに来るらしい

いや、嫌われてはないだろうけどそれってさ…


「ん、分かった」
「何がだぁ?」
「スクアーロ」
「ん゙?」
「その生徒と必要以上関わるの禁止な」

「あ゙?」
「な?」
「…いや、意味分かんねぇぞぉ」
「俺は分かるからいいの」
「良くねぇ!」
「本当、スクアーロって鈍感だよな」


分かった、そんなに意味が分からないなら詳しく説明してやるし
採点途中のテストを奪ってスクアーロの目の前にデカデカと見せてやる


「あのな、この女は別に英語が出来ねぇ訳じゃねぇの」
「…はぁ゙?」

「悪い点とってスクアーロに近づいてあわよくば付き合ってイチャイチャしてチューしたいだけなの!」

「…そりゃねぇなぁ」
「あるっ!」
「ってかそれ誰かさんの手口じゃねぇかぁ」
「なっ、ちげぇよ!」
「おぉ゙、自覚あんのかぁ」
「あー、もう一々ニヤニヤすんな!」

「ヤキモチ妬くなぁ」
「妬いてない!」


楽しそうに笑って椅子に座ったまま隣りに立つ俺の腰に腕を回してくるスクアーロ
手つきがエロいんだよホント


「もう知らねっ、スクアーロなんかその女との関係バレてクビになっちゃえ!」

「まだ関係ねぇぞぉ」

「煩いっ!浮気してやるっ、スクアーロなんかと別れて玉の輿になってやるっ」

「ったく…」


ハァとため息をついたかと思うと厭らしかった手付きは何処へやら強く抱きしめられて動けなくなった


「離せよっ、馬鹿っ、ニブチン、ヘタレ!」
「そういう事言う奴にはお仕置きだぞぉ」


グイッと首を傾けられて唇が押し付けられる
荒々しいそれに次第に息が苦しくなってきてスクアーロの胸を押しても離れてくれる気配もない上に舌まで滑り入れられて

本当にもう空気が足りなくて死ぬと思った時にやっと離してくれた


「落ち着いたかぁ?」
「…苦しかった」
「こうでもしなきゃ話聞かねぇだろうがぁ」


苦笑いしながら俺の頭を優しく撫でてくれる



「俺はお前が好きで結婚したんだぜぇ?」
「ん…」
「今更他の女、しかも生徒に気ぃとられる訳ねぇだろぉ」
「でもっ」

「浮気するだの玉の輿だのお前じゃ到底出来そうにねぇ事言ってんなぁ」

「…出来なくないし」
「ただの生徒に妬く程俺が好きなのにかぁ?」
「…自意識過剰」
「お前は大人しく俺の所に永久就職してりゃいいんだぁ」


スクアーロの言葉にポカポカで擽ったい気持ちになりながらも頷いて返す
いい子だと言うかの様にチュッと優しいキスをおでこにされた

久しぶりに恥ずかしさを感じながらも彼を見つめると大好きな笑顔と

額縁に入れて壁に飾られた今のこの幸せをきっかけ作ってくれた懐かしい赤点の、花丸のついた

英語のテストが見えた






......

(ってかスクアーロだって俺の事気持ち悪い位好きじゃん)

(好きで悪いかぁ、つか気持ち悪いってなんだぁ!)

(しししっ、怒るとか大人気ね〜)



よそ見厳禁!♀(ベル誕番外編)

(浮気なんてしないからスクアーロも俺だけを見ててよ)



← →
Back