幸せへの道標




「ボス、どっか行ってたの?」
「まぁな」
「何処行ってたの?」
「…テメーには関係ねぇ」
「ちぇー」

「…ドカスと何話してやがった」
「別に。いびってただけだだよ」
「…はっ」


顔に…、出ていたのだろうか
ボス、鼻で笑った
なんか見透かされてる、俺?


「ねぇ、ボス」
「あ゙?」
「んー…」
「なんだ」
「えっと…」
「ハッキリ言いやがれ」


ハッキリ、なんて言えないし

言える訳ないそんな空気を感じたのか感じなかったのかボスは歩みを止めて少し後ろに居た俺を真っ直ぐに見つめた


「…暇じゃねぇ」


さっさとしろと言いたいらしい
あんまり黙ってボスを怒らせるのも嫌だ
というか俺カッ消される


「ボス」
「…」
「あのっ…ち…」
「…『ち』?」

「ちゅーして…欲しい、なー…なん、て…」


……ヤバイ何言ってんだ俺
すっげぇ恥ずかしいんだけどっ
全部あのカス鮫のせいだ
アイツが変な事言うから

てかボス真顔でガン見かよっ
こえーし、恥ずかしいし

ジッと見つめてくる紅い瞳を恐る恐る見つめ返すと両手首を掴まれ背中を壁に押し付けられた


「えっ、ちょっ…ボス怒ってる?」

「…」
「じ…、じょーだん、冗談だって」
「…目、閉じろ」
「へ?」
「餓鬼がキスの仕方も知らねぇのか」


あいている方の手でクイと顎を上げられる
見上げた先には大好きな紅があった




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