時を越えた思い





『…ミーと別れて下さーい』

『消えちゃうんですよー』

『先輩、もう時間みたいですー』

『ホント…我が儘ですね』

『ベル先輩っ、愛…してますっ』

『せんぱっ…ありがッ………』





サヨナラ、先輩





「っ、待てよっ!!」


胸の辺りが苦しくなって勢いよく体を起こす
薄暗い部屋の中の時計を見れば夜明け前だった


「…またか」


また…同じような夢


「はぁっ、らしくねぇ」


グシャグシャとストレートの髪を掻きながらポツリと呟く
数週間前未来の戦いで死んだアルコバレーノの少女ユニから戦いの記憶が授けられた
それからというもの毎晩未来の自分の傍らにいた術士、蛙の帽子を被った少年の夢を見る

いくら手を伸ばしても届かなくて少年の体が少しずつなくなって、最後にはこえしか聞こえなくなって

ただただ泣きじゃくる未来の自分


いつもそこで夢が終わる
別に俺自身が泣いてる訳でもないのに呼吸が苦しくなって体が汗で濡れて喉がカラカラになって目が覚める夢を見る限り未来の自分と少年は恋人同士だった事は明らか

たしか…


「フラン…だったっけ?」


俺に散々色んな事を言いやがったクセに居なくなりやがって
王子置いていくとか有り得ないだろ?
意地でも見つけてやる


と、思った瞬間携帯がメール受信を知らせた

こんな時間に誰だよと思いながら見てみたらカス鮫から
シカトしてまたねようと思ったけど件名の『緊急』って文字が気になったから気まぐれで見てやろうと思ってメールを開いた


「…ししっ、そうこなくちゃ」


ただ会議で話を聞く時はあくまで純粋に、何も知らない子供でいなくちゃならない

誰よりも早く教えてくれたスクアーロに感謝しつつまだ時間より大分早いのに隊服に着替えた俺は足早に部屋を出た






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To:Squalo
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Title:緊急
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現代のフランの居場所が分かった

フランの事で幹部が集められる事になったがこの事はまだボスと俺しか知らねぇから他言はすんなぁ



時を越えた思い

(忘れるなんて無理だから)




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