正反対な彼





憧れいるモノがあった



白い壁
キラキラ光って眩しいツリー
朝ご飯のいい匂いがして、大好きな人がさ…


寝坊した俺を迎えんの









「っ!!」








え、は…なに?
なにコレっ、何か部屋が白いんだけど


「先生っ!なんか煙いよ!!」
「おぉ゙、起きたかぁ」


寝坊助がぁ
とか言いながら俺を見て笑う先生も白く霞んで見える
え、俺が可笑しいの?


「っ、何この臭い」
「何って朝飯作ってんだぁ」
「朝飯って臭いじゃない!」


キッチンに立つ先生の側に駆け寄ってフライパンの中身を見ると丸焦げの目玉焼き擬き

先生が言うには「チマチマ焼くなんざ待ってらんねぇ」だそうだ


「先生さ、料理下手でしょ」
「下手じゃねぇ」
「ぶっ…」
「…」
「あははははッはぁっ、くッ、ふふっ」

「笑うなぁぁ゙!」
「だ、だって、目玉焼きっひっ、」


何処が下手じゃないんだ
笑いが止まらない
爆笑する俺に先生は何も言わないで視線を逸らした

あ…言い返せないんだ
イジケてる先生ちょっと可愛い

あまり弄ると後で仕返しされそうだから見るも無惨な姿になってしまった元目玉焼きを三角コーナーに捨てて冷蔵庫からベーコンと卵を取り出した


「柔らかめと硬めどっちがいい?」
「半熟好きだぁ」
「りょーかいっ」


ベーコンをフライパンに乗せてカンッと音を立ててから卵を割る
後ろから関心している様な声がしたのは気のせいという事にしておいた


「よく体壊さないよね」
「そうかぁ?」


ゴミ箱の中はコンビニ弁当のゴミばっか
冷蔵庫は殆ど空っぽ
逆に何で卵はあんのか不思議


「お皿、出してよ」
「おぉ゙」


暫く焼いて水を足して蒸し焼きにする
そう言えば、目玉焼きって事は


「先生朝ご飯派?」
「いや、カップラーメン派」
「…ご飯炊いてるよね?」
「いや」


この人本当に26?
マジで先生なの?
てかバカなの?


「食パンでいいかぁ?」
「…別になんでもいいや」


何かどっと疲れた
差し出されたお皿にベーコン付きの目玉焼きを乗っけてあげる
リビングのテーブルにお皿を持って行く先生の後ろ姿を見て心配になった

この人、俺が居ないで飯大丈夫なのか?
彼女居ないって言ってたし…
頭に過ぎった事を振り払って食パンを持っていって先生の向かいに座る
誰かと食べる朝ご飯なんていつぶりだろ


「うめぇ」
「あっそ」


ジーっと見つめてたら突然先生が顔を上げるからビックリした


「な、なんだよ」
「お前、いい奥さんになるぞぉ」
「意味分かんねー」
「分かるだろぉ」
「…別に、お弁当位なら差し入れてやってもいいよ」
「本当かぁ!」

「まぁ…自分の弁当のついでだし」


食べ進める先生を見ながら、何となくお腹一杯に感じるのは先生の食べっぷりと目玉焼き擬き騒動に疲れたからで、断じて


先生の笑顔にドキドキしたからではない


と自分に言い聞かせて目玉焼きを口に運んだ









「俺、好きな人分かった」
「ん゙?」
「俺が居なきゃダメな人」
「んだそりゃ」




正反対な彼

(気付いてしまいました)




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