楽さんは、見た目のイメージに反してよく笑う人だ。一緒に暮らしている今もそうだけれど、思えば出会った時からよく笑っていたと思う。それが自分にだけだとか、特別だとか、考えたことはあまりなかったけれど、そのあたりの話がまわりと噛み合わないことが多いことに気がついて、もしかして、なんて思うようになった。
「………」
「どうした?」
 向ける視線に気がついた楽さんが、私に近づいてくる。身長が私より三十センチも高くて身体もすごく大きくて、私なんて楽さんの腕にすっぽり収まってしまう。でも声のトーンも表情も柔らかいから、いつだってこの人は怖くない。髪に触れられて嫌じゃないのは、楽さんの手がやさしいから。
 楽さんは、見た目のイメージに反してよく笑う。たくさんやさしくしてくれる。楽さんの素はきっと、そういうところにあるんだろう。私にだけ見せてくれる、楽さんの素顔。思わず笑ってしまうくらい、うれしいことだなあ。
「なまえ?」
「……、ふふ。楽さんのこと、好きだなあって」
「は……」
 か、と白い頬に赤色がさす。俺も。普段は目を合わせて伝えてくれるその言葉は、今日は視線を彷徨わせながらぽつりと漏らされた。楽さんは肌が白いから、照れてしまった時の頬の赤みが本当にわかりやすい。かわいいなあ、と思う。かっこよくてやさしくてかわいくて。たくさんの楽さんを知っている私は、今日もこの人のことが大好きで、とっても幸せだ。


(Sugao楽・巳波でWパンチ食らったので記念に書いたやつです)
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