フルーツタルト、きらきらしてて宝石みたいで好きだって言ってたよな。楽さんが言うに、今日のお土産の理由は過去の私の発言らしかった。
 確かにそう、そうなんだけど、人の口から聞くと自分が食い意地が張りすぎているみたいですこし恥ずかしい。けれどケーキ屋さんのおしゃれなデザインの箱を開けてしまえばもうそんなことは関係なくて、色とりどりにきらきら輝くタルトに思わず「わぁ」なんて声を上げたりして。
 さくさくの生地につやつやのフルーツ。甘くて瑞々しくて香ばしくて、ひと口食べただけでもとてもおいしい。んん、と上げた声は食リポの代わりだったのだけど、楽さんはそんな私を見てふっと笑った。

「なまえが甘いもん食ってる時って、めちゃくちゃかわいいよな」
「え、えっと、その、おいしいから……。楽さんもひとくち、どうですか? すっごくおいしいです!」

 いちごのところをフォークに乗せて持ち上げる。楽さん、いちごが好きだから。普段甘いものはあまり食べないけど、これなら食べられるんじゃないかなあと思う。
 楽さんは目をぱちぱちさせたあと、じゃあもらう、と続けた。

「ふふふ。はい、あーん」
「あ」

 ぱく。楽さんの口からフォークを引き抜いたあと、咀嚼する楽さんを見ていた。なぜかちょっと緊張しながら。飲み込んで、楽さんは「うまいよ、ありがとう」と言った。

「……えへへ」

 ふわ、と頭を撫でられる。うれしいけど、お礼を言うのは私の方なんだけどなあ。おいしいお土産をもらって、あとは、楽さんが「なまえが甘いもん食ってるとこ見るの、好きなんだよな」と言う理由が何となくわかった気がするから。幸せいっぱいな気持ちで食べる甘いものって、普段よりずっとずっと、おいしい味がする。
×
「#年下攻め」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -