*夢主=了さんの姪でŹOOĻのマネージャー
「虎於!もうすぐ誕生日だよね。おめでとう!」
「あら、もうそんな時期ですか。おめでとうございます」
「みんなで集まって祝おうぜ!焼き鳥屋とかどうだ?」
「トウマ、この前服に匂いついたって怒られたの忘れたの?虎於、おめでと。一年早いね」
「……いやいやいや待て待て待て。まだ一月だ。おいナマエ、俺の誕生日は三月だ。祝うなら覚えておけよ」
「ふっふっふ……」
「どうしたんです、気味の悪い笑い方をして」
「誕生日といえば、なんだけど……なんと!『RADIO STATION 12hits!』のパーソナリティを務める企画を取ってきました!!」
「ほー……」
「はぁ……」
「へぇ……」
「おぉ……」
「……なんか反応薄くない?」
「いや、どういう企画なのかよくわからなくてさ……」
「そうだよ。もうちょっと説明して」
「あれじゃないのか? IDOLiSH7とTRIGGERとRe:valeが去年やってたやつ。壮五と龍之介の回は聞いたな」
「(聞いたんだ……)」
「(聞いたのか……)」
「たまたまラジオをつけたらたまたまやってたんだ」
「たまたま、ですね。たまたま」
「で、何で突然そんな企画取ってきたの。去年はソロ曲の配信だけだったじゃん?」
「それはね……」
「それは……?」
「……、悔しいからだよ!」
「は?」
「……ゴホン。テレビ業界だと、バラエティとかドラマとか、アイドルが起用されることも増えてきてるけど、ラジオパーソナリティに起用されることってあんまりないでしょ。特にこういう、毎回出演者が変わるものはね。小鳥遊事務所もTRIGGERも岡崎事務所も使われたのにŹOOĻだけまだ出てないの! 悔しいでしょ!!」
「……月雲一族の血を感じました。ナマエさんも意外と負けず嫌いですね」
「ふふん。あの三グループは現場でもスタッフから評価高かったみたいだし。ŹOOĻだってラジオパーソナリティできるってとこを見せて、サクッと三グループの評判越えちゃって!」
「月雲一族の血を感じたな……」
「何となくわかったかも……」
「それで、どんなことをするんですか?ラジオの収録をして終わりでしょうか」
「ラジオの収録と、番組テーマソングの『WONDERFUL OCTAVE』をそれぞれに歌ってもらうのと、ポスターもろもろ宣材の撮影だね。あ、この番組、月一回放送されるんだけど、それぞれの誕生月を担当してもらうから」
「じゃあ、トップバッターはトラだな! それでハルがトリだ」
「うわほんとだ。これ、ちゃんと台本とかあんの…?」
「全文は用意されないけど、番組の流れとか時間配分とかは用意されるよ。事前にスタッフとも打ち合わせがあるし、それは心配しないで」
「テーマソングというのはどういうものなんでしょう」
「ああ、じゃあこれ。去年の十二月放送の、千の回の録音。えーっと、テーマソング部分は……、ああ、この辺かな。はい聞いて」
「……」
「……」
「……」
「……これは……」
「私の音楽とは方向性が違いすぎませんか?」
「確かに……。なんかイェーイとかフゥー! とか言ってるんだけど……」
「曲の方向性は違うけど、フゥーとかイェーとかはŹOOĻの曲にも入ってるし、いけるって!」
「フゥーというかwooですしyeahももっとすました感じです。君の明日はきっと笑顔でSunnyって歌ってますけど、私たち狂気と破壊のテトラルキアですよ。その辺わかっていらっしゃいますか」
「まあまあ。グループのカラーとは違うけど、個人でやるわけだし、絶対いい仕上がりになるって」
「……片手が空いたら誰かの手も握れるだろ、か」
「めちゃめちゃいい歌だな! ファンもこれはこれで受け入れてくれたら嬉しいなあ」
「普段ラジオ聞かない子たちも、これなら聞いてくれたりすんのかな」
「……まあ、ラジオに出る機会はあまりありませんからね。事前の告知がしっかりしていれば、ファンの方々はきっと楽しみにしてくださるでしょうね」
「みんなも楽しみになってきたでしょ。WONDERFUL OCTAVEだって歌えちゃうでしょ。愛のエール届けちゃうでしょ!」
「愛のエール……私たちが……」
「ミナの愛のエールはじんわりした感じになりそうだよな!」
「お弁当とか持たせてくれそう」
「水筒に味噌汁詰めて持たせてきそうだよな。ちゃんと保温のやつで」
「ちょっと。みなさん私にどういうイメージを持っていらっしゃるんですか」
「……未亡人?」
「御堂さんはちょっと事務所裏まで来てください」