チチチと鳴く小鳥の囀りに耳を傾けながら、今日もいつもと変わらぬ朝を向かえる。眩い光は眩しくて直視できないし、気怠い体はいくら頭の中で叩き起こそうが眠気が去る事はない。
それでもレンは、そんな体に鞭打って布団から起き上がれば、小さく欠伸を噛み殺した。
そしてここからは、いつもの毎朝の日課。
一つ目は、朝起きたら顔を洗う。その時にトイレも済ませると尚良し。二つ目は、朝御飯のトーストを焼く。自分の分プラス一枚焼くのがポイントだ。そして三つ目は、自分の可愛い妹の寝顔を堪能する事。

レンは今、その三つ目の日課を実行している最中で、緩む頬を隠さないまま自分より小さなベッドの中を覗いていた。
そっと髪を撫でれば、すうすうと規則正しい寝息と共に、その愛らしい瞳を瞼の裏に隠して眠っている。何度見ても可愛くて、可愛くて。
我が妹、リンは小学三年生を向かえたばかりで、最近漸く自転車を乗れるようになった可愛い可愛い自慢の妹。将来この子の為に生きて、この子の為に尽くしたいとさえ思っている。
レンは高校二年生に上がったばかりで、一応勉強面では上位にいる。きっと学校では、真面目で温厚な生徒だと思われているだろう。正直言って、そんな風に思われるのはあまり好きではないが、それでも先生に目を付けられるのも癪なので。やっぱりこのままで良いかも、なんて思っていたり思わなかったり。
(まぁ、俺にとってリンが全てだから、学校の事なんてどうでも良いけどな)
自分の親以上にリンの事を守りたいと思っているし、この子に好意を向ける男の子より自分が一番好きだと胸を張って言える自信がある。
今日が学校なんて気にしない。将来役に立つか分からない言語を学ぶより、少女の愛らしい寝顔を堪能する時間の方だ大切に決まっているから。

そっとその頬に指先を滑らせば、すべすべな肌は柔らくて気持ち良い。ぷに、と指で軽く押せば弾力のある頬は仄かに暖かくて、そのままぷるんと震える。可愛いなぁ、と何度も何度もその頬をつついて、そっと顔を近付ける。
少女の幼い寝顔は、まるで天使の休息。こんな幼い少女に興奮を隠せない自分もどうかと思うが、そんな事など所詮今更な事。何度近くで見ても、その長い睫と柔らかそうな唇は、大きくなった時が楽しみで仕方がない。きっと将来、今以上に可愛らしくなるんだろうなと、今まで何度想像した事か。
少女の唇に近付く度に、自分の息遣いが酷く大きく聞こえてくる。どきどきと鳴り止まぬ心臓を誤魔化すように、そっとリンの唇にキスを落とす。小さい少女の唇を食べてしまうような感覚。
唇を離せば、リンの寝顔を再び眺めて頬を綻ばせた。すると先程のキスで目が覚めてしまったのか、少女は小さく唸りながら目を擦りながら、レンの方へと薄く瞳を向けた。

「んー…、レンくぅん?」
「おはよ、リン」

言葉と同時に優しくリンの頭を撫でれば、少女は眠たそうに開いた瞳と共に嬉しそうにはにかんだ。
このまま一緒に布団に潜って同じ夢を見たいところだが、平日の朝という現実がそれを実行する事を許してくれない。レンは胸の中で溜め息を零せば、そっとリンの体を持ち上げた。そしてそのままベッドから下ろし、着替えの服を見せて。
その行動に少女も、着替えて学校に行かなくてはならない事を理解したのか、意気揚々に服を手にした。目の前で一生懸命服を脱いで着替える様子は、何度見ても飽きる事はない。服を着る時に、頭をどこから出せば良いのか試行錯誤する姿は何とも言えない程愛らしい。
もういっそのこと学校なんて行かずに、このままずっと一緒に居て、少女の様子を穴が空く程見つめていたい。そんな叶わぬ想いに浸っていれば、漸く服を上手く着れたリンは、くるりとレンに向き直った。
そして、いつもの白いリボンを両手で差し出してきて。
縛って、縛ってー!とはにかむ少女に一瞬どこを縛ろうかという思いが横切り、首を左右に振って誤魔化す。レンは少女から素直にリボンを受け取り、レンに背中を向けて足の間にちょこんと座った。

「リンね、今日お空を飛ぶ夢をみたんだよ!」

リンの頭にリボンを括っていれば、突然少女は嬉しそうに夢の話をし始めた。
これも、いつもの日課。少女のリボンを結ぶのは、これから先ずっと自分の役目だと思っている。そしてその間に、いつもリンは嬉しそうに夢の話をするのだ。
昨日は自分より大きなケーキを食べた夢で、その前は風船に乗って飛行機に手を振った夢。なんてメルヘンチックな非現実的な夢なんだろうと思うが、それでもそんな事を嬉しそうに語るリンが可愛くて愛しくて。
この時間が何よりも幸せだった。

「へー、どうだった?」
「んっとね、ふわふわして気持ちよかったよ!」

良かったな、と少女の頭にリボンを結び終えて、軽くその頭を撫でる。
すると、ありがとう!と嬉しそうに微笑み"今度はレン君と一緒にお空を飛びたいなぁ"なんて言うものだから。
ぎゅっ。とその小さな体を抱き締めて、結んだばかりのリボンに顔を埋めて。少女の香りを胸一杯に堪能しながら、体全身に広がる幸せを噛みしめた。
そして"レン君と一緒に雲さんをいっぱい食べるんだよ!"と続けたリンの言葉に、そっと微笑んだ。

「流石に二人じゃ食べきれないよ」




今日も相も変わらず晴天日和です




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高校生レン×ロリン
Twitterでネタが無くて喚いていたら、救いの手を差し伸べて頂きました^^
ありがとう!愛してる!
…しかし私がロリンちゃんを書くと、確実にレンが変態になるのだがどうしよう←





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