今日は何もすることが無いので、ぼーっと窓の外を眺める。まるで真っ青なキャンパスに白い絵の具を塗って、暖かな色で明るい太陽を描いたみたい。つまり、今日はとても天気が良いという事。 それでも外に出たりしないのは、自分の片割れを待っているからだ。 出てくる溜め息を我慢する事もせず吐き出し、窓から離れてそのまま床に寝転がる。テレビから流れる、ありきたりな番組の音が自然と耳に入ってきて。 そう言えばここはリビングだったと気付いたが、何だか自分の部屋に行くのも面倒だったので気付かないふりをしてそのまま天井を眺める。 この家にはマスターとリン以外は、カイトとがくぽとレンといった男しか居ない。どうしてミクやルカを買わないのかマスターに聞いた事があるが、確か何となくと答えたような気がする。 マスターのその答えに何の反論も出来なかったが、不満はある。何故なら、ボーカロイドではリンしか女声はないので、カイトやがくぽとのデュエットも少なくはない。 それでもそれは仕方が無いので我慢しているが、紅一点であるリンと話したり歌ったりする時のカイトとがくぽの幸せそうな表情が気に食わない。いつか二人にはロリコンという称号を掲げて、リンと一緒に歌う事を危険故に禁止してもらうつもりだ。 ま、それがいつになる事なのかな。なんて人事のように呟き、欠伸を一つ。 すると、こんな所で寝たら駄目だろ、といった声が突然上から振ってきた。上半身を起こし、そちらを見れば案の定カイトで。そう言えば今日リンはデュエットと言っていたから、つまり今日の相手はがくぽか。と、留守番仲間であるカイトの言葉に返事を返さず、それでもまた何か言われるのも面倒なので、ソファーに腰を下ろした。 つまんないな、と頬杖を付いてテレビのチャンネルをパラパラと変えていく。後ろでアイス片手に、さっきの番組見たかったのに。なんて呟く彼の嘆きは聞こえないふりをした。 そんな時、ガチャリ。と玄関の扉が開く音が聞こえてきて。 もしかしてリンとがくぽが帰ってきたのかな、と思っていれば。その足音はそのままリビングに来て、その扉の先に居たのは案の定リンとがくぽだった。 二人は曲の話をしながら帰っていたのか、嬉しそうに会話を楽しんでいる。無邪気に微笑むリンと幸せそうな笑顔のがくぽの、その絵図が何とも気に食わない。 そんな事を考えていれば、おかえり!と後ろでカイトが嬉しそうに二人に近寄っていく。 そのまま話が弾みそうな勢いに、少し困ったような表情をするリン。それを黙って眺めていれば、彼女は助けを求めるようにレンを見て。 そんな彼女の反応を待ってました、とでも言うようにレンはリンに手招きをした。 「リンおかえり、ちょっと来て?」 「うん」 リンがカイトとがくぽから離れた時、彼らの表情が少し寂しそうに曇り、少しの優越感。そして、ただいま。と柔らかな笑みを浮かべるリンは、レンの隣にちょこんと腰を下ろす。 そんな彼女の頭を撫でながら柔らかい髪を梳いて、そのままこちらに顔を向けるその無防備な彼女の額にキスを落とした。 れれれレン、くんっ!? と、顔を真っ赤にさせてあからさまに動揺するリンが可愛くて可愛くて。もう一度頭を撫でればそっとその体を引き寄せて、自分の膝の上に彼女の頭を乗せる、そんな格好にすれば。 案の定リンは先程以上に顔を真っ赤にさせて、あわあわと激しく動揺させた。 本当は膝枕は自分がするのではなく、リンにして欲しいのだが、今日は我慢我慢。彼女のすべすべで柔らかい太股とは違い、筋肉がある分少し寝心地が悪いかもしれないがそこは彼女に我慢してもらうしかない。 「リン疲れただろ?今日は俺が膝を貸してやるよ」 「な、何だか恥ずかしいよぉ」 「リン可愛い」 リップ音を立てて、リンの額に再びキスを落とす。自分の下で恥ずかしそうな嬉しそうな声を上げる彼女に笑みが零れながらも、放置しているカイトとがくぽの方へを目だけで見てやれば。悔しそうな悲しそうな、そんな表情の二人に自然と口角が上がった。 そして彼らに忠告でもするように、そっと声を出さずに口だけで言葉を投げつける。その言葉を理解したのか、二人は体を固まらせた。 "リンは俺のモノだから、ちゃんと理解しててね" きちんと理解した上で貸し出しましょう -------------------------------------------------- キリ番40000を踏んでいただいた、かな様に捧げます。リクエストのマセ腹黒レン×おどリンです。 いちゃいちゃ不足申し訳ない!だがしかし膝枕が書けたので後悔はしていない。 そしてとっても素敵なリクエストをありがとうございます^^ パロにしようかと迷いましたが、ボカロなレンリンにしました。いちゃいちゃする鏡音には誰も入れないんですね、わかります。 ありがとうございました! |