今日はハロウィン。 朝起きたら既に用意されていた仮装の為の服に、かぼちゃのケーキ。ランタンに蝋燭、様々なお菓子も忘れずに。多分マスターが用意したものである事は、直ぐに理解出来た。なんせ昨日の夜遅くまで起きて、何かをしていたから。 まるでパーティー会場のようなリビングに驚いていれば、ゆっくりとリビングにやってきた片割れ。彼もこの光景を見て驚いたのか、唖然と立ちすくんでいる。 二人で顔を見合わせて、リビングを見て。それを繰り返していれば、テンポの良い鼻歌と足音が聞こえてきた。音がする方を二人で見れば、そこにはミクが居て。 驚いた。何故なら、彼女は既にハロウィンの仮装をしているから。黒いスカートに黒いコート、そして頭には黒い尖り帽子を被っている。魔女の格好をしているのであろう。 その姿は本当に綺麗で、やっぱり何を着ても似合うなぁ。なんて感心。それでも片手にあるネギが、彼女らしさを引き出していた。 そしてその後ろから歩いてきたのは、ルカだった。彼女もミクと同じように仮装をしており。長い桃色の髪は一つに後ろで縛っており、黒くて長いマントに口にある少し鋭い牙。手に持っている大きな被り物のかぼちゃが気になったが、たぶんドラキュラであろう。 その姿は本当に妖艶で、思わず魅入ってしまった。 リンとレンはお互いの顔を見て二人を見て、そして再びお互いの顔を見て。それを繰り返し、思わず苦笑。 既に用意されている仮装服を手に取り、自分も皆と同じように着替えてくる。と告げて、手を取って一緒に部屋へと駆け出した。 「ミク姉もルカちゃんも、とっても似合ってたよね!」 「うん、僕達は何かな?」 「一緒に見ようよ」 「いいよ、せーのっ」 部屋に着いた途端、服を机に置いて微笑み合い、二人で服に手を取る。 そして一気にその服の正体を晒した。 それはふわふわもこもこした素材でできた耳付きカチューシャと、尻尾。そして黒を基調としたスカートと半ズボン。一体何だろうと思ったが、お互い先ずは着てみる事にした。 着てみればサイズは丁度良く、思った以上に暖かいので、不快ではなかった。 お互いに、獣耳のカチューシャを触り合い微笑み合い。声を揃えて、狼男だ!と笑い合った。 リビングの飾りを見れば、夜にハロウィンパーティーがある事は明確で。それまで何をしようかな、なんて考えながら耳を触っていれば、突然レンが思い付いたように手のひらを突き出してきた。 リンは小首を傾げ、その手のひらとレンの顔を見比べる。すると彼は痺れを切らしたのか、にっ。と笑みを浮かべた。 「トリックオアトリート!」 予想外だった。否、予想は付いていたのだが、今言われるとは思わなかったのだ。当然、今なんてお菓子なんておろか、何にも持っていない。 リンがオロオロとしていればレンは勝ち誇ったように、なら悪戯だね。なんて口元をつり上げた。 それが何だか妖艶で、格好良くて。それでも何だか悔しくて、悔しくて。リンは、だったら。と、言葉を繋げて彼に手のひらを差し出した。 「トリックオアトリート!」 今度は彼が固まる番。予想をしていなかったのであろう、口元を引きつらせながら瞬きを繰り返す。それがとても可笑しくて、可愛くて。 なら、悪戯だね。と言い返して、思いっきりレンに飛び付いた。 その衝撃で彼は背中を床に付けて転がる形になる。そんな彼の脇腹に手を持っていき、一気に擽る。 リンとレンは双子なので、彼の弱い所なんて知っている。それを逃さず擽り上げる。するとレンは擽ったそうに身を捩り、声を上げて笑いだした。彼の静止の声なんて聞こえないふり。なんせ悪戯ですから。 「ははっ、もっ…やめっ、ははは!」 「あはは、レン可愛い」 「ああっもっ!ははは、っえい、」 「えっ、ちょっ!…っ、ぁ…あはははっ、はは!」 リンがレンの脇腹を擽っていれば、今度は彼がリンの脇腹を擽り始めた。 お互いに擽り合い、零れる笑みと涙。笑いすぎて苦しいような表情で、それでもお互いに負けたくないのか擽り続ける。身を捩り、互いの腕から逃げようとしても、また直ぐに擽られる。部屋に響く二人の笑い声。 そして、リンのギブアップでこの悪戯は終了した。 二人は床に寝転がり、笑みを零しながらも荒い息を整えようと呼吸を繰り返す。 お互いにそっと繋いだ手は、指と指を絡ませてぎゅっと握り締める。目と目を絡ませて、微笑み合う。 そして一緒に立ち上がり、お互いの思考をシンクロさせたのか。二人は悪戯っぽい笑みを浮かべ、先ずはリビングに居る魔女と吸血鬼からお菓子を貰うために部屋の扉を開けた。 甘い悪戯は如何? -------------------------------------------------- ハロウィンネタ。 ナチュラルにいちゃいちゃしてる双子が書きたかったのです。 そしてマスターが空気← 2010/10/31 Happy Halloween! |