白いカーテンの隙間から漏れる光に目を掠め、そこで漸く朝なんだと気付いた。 早く起きなければと頭では分かっているのに、布団の隙間から入ってくる冷たい空気に、起きなければという思考が負けそうになる。 今日はもちろん学校があるし、部活での朝練もある。早く布団から出ないと二度寝してしまいそうだけど、暖かい布団にいつまでも包まれていたくて。 ぐいっ、と布団を被り直せば再び戻ってくる睡魔。 うとうとと瞼が重くなってきた、そんな時だった、 「サスケ、朝だぞ。」 ばんっ、と躊躇いもなく部屋のドアを開け、兄であるイタチが入って来たのは。 うっすらと目を開け、彼の姿を確認すれば目を閉じる。布団の暖かさと瞼の重さで、思考がぼーっとする。 イタチが起きろと言っているが、その愛しい声も遠く感じてきて。 冬の朝起きは苦手なのだ。目覚めは良い方ではないが、冬になるといつも以上に目覚めが悪くなる。 出来ることなら一日中布団に潜ったまま過ごしたい。 サスケはぐいっ、と顔まで布団を深く被った。その時、溜め息が上から聞こえてきたと思えば、お腹にひんやりと冷たいものが触れた感覚を覚える。「うあっ!?」 暖かい布団に包まれ温もりを保持していたお腹に一瞬だが突然の冷たさを感じ、思わず声が裏返ってしまった。 とっさに顔だけ布団から覗けば。 目に映るのは布団の中に手を突っ込んでいるイタチの姿。 早く起きないともっと触るぞと言わんばかりに、時々お腹やら太股やらを冷え切った手で触ってくる。 サスケはもぞもぞとそれを避けようとするが、微かに触れる冷たさに我慢も限界で。 これならばいっそのこと布団を剥ぎ取ってくれた方が幾分かマシである。 がばっ、と勢いよく布団を捲り上体を起こせば。 ちゅっ、と唇に柔らかな感触。キスをされたと気付いたのは、彼の唇が離れた後だった。 「おはよう。」 「……おはよ。」 あまりにも綺麗に微笑むものだから、怒る事を忘れ、それに比例するように赤く火照る頬。 寒いという気持ちを忘れ火照る頬を冷ますため、彼の手を取り頬へと持っていく。 手の冷たさとは反対に、唇に触れた彼のキスは暖かかった。 (……でも、一回は殴らせてもらうからな) 君と彼の起こし方 ------------------------ こんな起こし方は嫌だ。← |