ザーザーと勢いよく地面を叩きつける雨。いつもと同じ風景に見飽きてしまったのだが、濡れて髪や服が地肌に張り付いていくそれを見て(不快感を抱くとまではいかないが)顔をしかめる。それでも屋根の中には入らない。
ただただザーザーと降る雨の中で、その独特な匂いと湿気を堪能する。それを嫌う人は多いかもしれないが、私は何故かは分からないが好きだった。

小南は、数分の間じっとその場で立ち尽くしていると、ザッと背後から誰かの足音を察した。しかし振り向きはしない。
顔を見なくても誰かは分かっているからだ。
なのでザーザーと降り続ける雨の音で足音が聞こえないフリをする。この雨に打たれている間は、誰にも邪魔をされたくはないのだ。

「……小南。」

低すぎず高すぎず、名前を呼ばれただけなのに嬉しくなってしまうのは、案の定ペインだったからか。
それでも小南は振り返らず、ただただ雨に打たれ続けている。
ザーザーと先程から強く降り続ける雨は、激しさを忘れる事なく顔や体に落ちていく。もう服や靴の中まで雨でぐちゃぐちゃだし、流石に体温も冷えてきたのだが、小南は一歩もそこからは動かなかった。
冷たい筈なのに心地良い。そう、まるで彼に抱き締められているような、そんな心地良さ。

その心地良さに、そっと目を閉じれば。
それと比例するかのように、首から背中にかけて少しだけ暖かくなった。
小南は思わずはっ、としてゆっくりと振り返れば、湿った橙色の髪の毛が頬に触れる。
抱き締められている、ということに気付いたのは、それから数秒後だった。
そして目が合えばそれが合図となり、そっと口付けを交わす。口の中に侵入してくる舌をお互いが絡め合い、愛おしそうにそれを甘く噛む。
息継ぎをするたびに口の中に入ってくる雨なんて気にも止めず。二人は夢中になってキスを繰り返す。
一度唇を離せば、はぁ、と漏れる吐息に微笑み、再び口付けをしようとした、その時だった。

「……くしゅっ」

小南は耐えきれず、くしゃみを零してしまった。
頬に集まる熱とは逆に、体はずっと雨に打たれていたせいか、冷え切っており。ペインの首に回している腕は、かたかたと小刻みに震えている。
それに気付いたペインは、くすりと微笑み。
戻ろう、と手を取りそこに口付けを落とした。

雨に濡れていたら貴方に抱き締められている気がしていたのは、本当に気がしていただけ。
それでも本物の貴方に包まれているのは、気がしただけではなく、この温もりは本物で。
小南は彼が口付けを落とした己の手に、彼と同じように口付けを落とした。



貴方にずっと、




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ペイこなを久しぶりに書きました^^
うん、書き方を忘れてます。
こんな文章で申し訳ないです。

フリリク感謝!




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