ガタン、ゴトン。ガタン、ゴトン。
規則的に揺らぐ車体に身を任せ、きらきらと光る太陽へと目を向けた。窓の外に広がる景色は、前へと進む車体に追いつくことができないかのように、視界から消えていく。そして次に見えるのは新しい世界。

ガタン、ゴトン。ガタン、ゴトン。
一定のリズムが心地良くて、外に広がる新たな景色を見たいのに、それ以上に瞼が重くなっていき。
暖かな光に包まれながら、目をゆっくりと閉じていった。

いつもと変わらぬ学校の帰り。付き合い始めたばかりのサソリとデイダラは、部活動が終わり、一緒に電車に揺られながら家へと帰っていく途中だ。
サソリはデイダラの一つ上の、先輩であり恋人だった。
付き合い始めたばかり故かは分からないが、未だに恥ずかしさが消えないらしく先程から続かない会話を少しづつしているだけ。それでも隣に先輩がいる事を実感できて、夢ではないこの現状に幸せを感じた。

そして再び会話が途切れた時、その状態に安心したのか否か。デイダラは部活動の疲れと一定のリズムで揺れる車体の心地よさに耐えきれず、こくりこくりとしていた頭を止めて眠りについてしまったの。
ガタン、ゴトン。電車はそんな二人を乗せて走りつづけていく。

それから暫くたったのであろう、ゆさゆさと揺らされる肩。
たぶん、目的の場所に着いたのでサソリが起こしてくれているのであろう。しかし、頭にある感触と心地よさをまだ堪能したくて。重たい瞼に喝を入れず、眠たいという願望に身をまかせ、再び深い眠りへと入っていく。
…入っていく予定だった。

眠りにつく前には無かった頭の感触と、視界に映る向かい側の椅子。
しまった!と恐る恐る顔を上へと向ければ、案の定見えるのは、こちらを覗くように見下ろすサソリの姿。
それを確認し、自分が今どの状態なのかはっきりと確信がついた。

「うわっ!…す、すみません!」

がばっ!と効果音が付いてきそうな程、勢いよくサソリの膝から頭を上げて起き上がれば。やっぱり膝枕をしていたんだ、と再確認した。
恥ずかしさ(と、嬉しさ)で頭がいっぱいになり、顔全体に熱が集中していく。サソリにどんな顔で見れば良いのか分からず、手を握り締めて顔を下へと向ける。デイダラは気付いていないようだが、それはサソリも同じで。
端から見れば異様な光景であろう、何故なら二人とも背筋正しく座り顔を下へと向けているからだ。

どうしよう、どうしよう。そんな言葉を脳内でリピートさせながら、先程の膝枕を思い出し、再び顔から蒸気を蒸かす。それを何度か繰り返していると突然、

がたんっ。

今までより車体が大きく揺れた。
その衝撃により、とんっ。と軽く肩と肩が触れ合う。触れただけなのに、恥ずかしさと嬉しさで頭の中がパニック状態で。
すぐに姿勢を戻そうと、すみませんと口を開きかけた時だった。
ぐいっと、触れた方とは逆の肩を掴んだと思ったら彼の膝へと勢いよくダイブしてしまった。
え、え、と今の状態を把握しきれずに混乱していると、ふわりと柔らかく髪を撫でられる。撫でるサソリの顔は視線を窓の外へと移し、デイダラ以上に真っ赤に頬をそめている。
周りの視線や先輩の暖かい手が気になったけど、それと同じぐらい酷く安心した。



最高の安眠法。




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膝枕をするサソリが書きたかっただけです^^




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