真っ暗な道端を灯りすら灯さずに歩いてゆく。
今日はいつものように暗部としての任務を遂行したが、緊急な任務ではなかったものの、いつも以上に疲れてしまった。
なぜなら、今日は弟であるサスケと花火を見る約束をしていたからだ。昨日の夜、木の葉でお祭りをやるということを知ったサスケがきらきらと目を輝かせるものだから。今日の任務は早く終わらせると言い、親には内緒で一緒に見に行く約束をしたのだ。
それなのに、今日に限っていつも以上に苦戦をしてしまい、なるべく早く終わらせようと試みたのだが、結局いつもと変わらぬ時間帯になってしまった。


灯り一つ灯していない家を見れば、もう皆寝静まってしまったのであろう。サスケに申し訳ないという罪悪感でいっぱいになりそうだ。
イタチはゆっくりと音を立てず家に入れば、明日の朝一番にサスケに謝ろうと心に決め、浴槽へ続く廊下を歩いていく。
ぎしぎし、と音を立てないようにするが、どうしても音が出てしまう廊下に眉をしかめながらも一歩一歩進んでいく。
その時、微かに覚えのある気配を感じた。
ばっ、とそちらへ振り向けば、そこにはサスケが彼の寝室の扉から覗くようにこちらを見ているではないか。
寝てしまったものとばかり思っていたが、やはり楽しみにしていたのであろう。サスケの目はとろんとしていて、今にも寝てしまいそうな顔をしている。
自分を待つために頑張って眠たい頭を叩き起こしてまで起きていたのかと思うと、湧き出てくるのは嬉しさと罪悪感。
許せサスケ、と彼をそっと抱き締める。愛おしいものを包むように、そっと。
感謝と謝罪の気持ちを込めて小さな体を何度も抱き締め直す。

……と、再び抱き締め直し、サスケの腰辺りに手を回した時だった。くしゃっ、と何かが潰れるような音。
その正体を知ろうと、そっとサスケの背へ目を向ければ。すっ、と背を隠すように立ち位置をずらす。二度、三度、再び見ようとすれば先程と同じように避けられる。
そんなサスケの様子に痺れを切らし、イタチは彼の両肩を柔らかく掴み、じっと目を見る。
サスケは目を何度か泳がせたが、観念したのか。すっ、と両手を差し出した。その両手を見れば、彼の掌の中で申し訳なさそうに顔を出す花火。
量は少ないものの、小さな小さな線香花火が握られている。

「今日は兄さんと花火を見たかったから、祭りを我慢して買いに行ったんだ。」

兄さんと、一緒が良かったから。
そんな言葉を恥じらうように言うサスケの頬が少しだけ赤らめいているのが分かる。
一緒に花火をしようと買ったのは良いが、量は少ないしイタチも任務で疲れているので、恥ずかしくて直ぐに言い出す事ができなかったのであろう。
そんな彼を愛おしく感じて、ありがとう。と頭を撫でてやれば、照れくさそうに、そしてどこか嬉しそうに微笑んだ。
(その花火は、また明日。)
(明日の楽しみが増えた、そんな出来事。)



一緒だからこそ、





------------------------

兄をずっと待ってる弟って、萌えます…!←

フリリク感謝!



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -