※蠍→泥→鼬の、みんな片想い中。


今日、ふられた。
男に恋した自分も悪いが、やはりこの胸の痛みは消えないようで。苦しくて、苦しくて、吐き気がしてくる。
相手は同性だと頭の中ではとうの昔から理解もしていたし、覚悟もしていた。それなのに『好き』にそういった思い込みなど通用せず、日がたつにつれて胸の痛みは強くなっていく。
だから思い切って行動にうつしてみたんだ。
しかし結果は、完敗だった。やはり最初に出た言葉は『気持ち悪い』
好きで『好き』になったわけじゃないのにね。

「うぅ…っ……」
「うぜぇから泣くなら自分の部屋で泣け」
「…っ、ぇぐ…だっ、だって…イタチが…ぅ、ん」
「……はぁ」

サソリは深い溜め息を吐くと、ふわりと抱き締めてくれた。
それが、暖かくて安心できて、溜めていた分の涙が一気に零れてくる。
言葉を発しようとしても、口を開けば出てくるのは涙と嗚咽。
そんな自分をぎゅっと抱き締めてくれる、その腕を握り締めた。自分の相方であるサソリには迷惑をかけてしまうと思ったが、泣くことを止められない。
この、何とも言えない悲しみを誰かに知ってほしかったのかもしれない。

部屋中に響き渡る泣き声。
腕の中で泣き崩れる自分の背中を、無言でさすってくれる相方。
そして、どうしても思い出してしまう好きな人からの残酷な言葉。
どうして自分は、あんな残酷な人を好きになってしまったのであろう。
初めは嫌いだったのに、大嫌いだったのに、いつの間にか好きになっていた。嫌いだと意識をするにつれ、それがだんだんと好きになっていく。
無差別なこの感情は、どうしてこんなにも残酷なのであろうか。

嗚咽混じりに、どうしてと必死に言葉を紡ぐ。いつものサソリなら、うざいの一言で切り捨てるのだが、今回は違った。やはり気を使ってくれているのであろうか。
それとも……?
出てくるのは、どうしてサソリじゃなくてイタチだったのだろう、という後悔と疑念。きっとサソリを好きななれば、少なくともこんな辛い想いをしなくてすんだ、と思う。
どうして現実はこんなにも上手くいかないのだろうか。
デイダラはぎゅっとサソリの腕の服にしがみつき、どうして好きになったのが旦那じゃなかったんだろうな。なんて率直な疑問を嗚咽混じりに言葉に表した。
たぶん聞き取り難かったと思うのだがその言葉を発した後、目の前のサソリはどこか寂しそうに顔を濁した。



残酷なシンフォニー





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全員が幸せになれるハッピーエンドなんて、存在するはずないんだ。




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