「旦那って、良い匂いがする。」 あ。今、心底気持ち悪い物を見る目で見られた。 別に自分は変態とか、匂いフェチとか。そういう類のものでは無いが、何故かそう思ってしまったらいつの間にか声に出していた。 今は任務の為に移動中。いつものように野宿をしようと木材を集めていた時に、ふと言ってしまった。 旦那とは同じコンビを組み、いつも一緒に居て任務をこなしているのだが、こんな風に感じたのは初めてだった。サソリは人クグツだから、風呂には入らない(まぁ手入れぐらいはしているだろうが)し、香水とかそういうものを付けるだなんて性格上皆無に等しいし。どうしてそう思ってしまったのか自分でも分からない、分からないんだ。 サソリはそんな事を言われるとは思わなかったのであろう、唖然としている。デイダラは、そんな彼を愛しく思いながらも、先程口走ってしまった事に後悔の念が溢れてきた。 デイダラがサソリの事が好きだと自覚してから、数週間が過ぎた。初めは自分の事を、早死にすると言った彼が嫌いで仕方がなかった。 しかし、いつからであろう。彼の事が気になって仕方がなくなったのは。今ではそれが溢れんばかりに拡大していき、僅かな行動や言動でさえ愛しく感じてしまう。 それでも、そんな自分勝手な事を伝えて迷惑をかけたくなかったし。愛を極端に嫌う彼だからこそ、伝えて嫌われるような分かりきった真似はしたくなかった。 だから、今までそれを隠してきたのに。 無意識に出た言葉に、再びの後悔。 そんな後悔を抱いたままじっとしていると、 「……何言ってんだ、てめぇの方が良い匂いしてんじゃねぇか」 「え?」 ぽつり、と今度は彼が言葉を漏らした。 それは彼も無意識なのか、言った後は先程のデイダラのように顔を蒼白(人クグツなので本当かどうかは分からないが)にさせ固まっている。 旦那がそんな事を言うとは思わなかった。 何だか嬉しいようなこそばゆいような変な感じ。 デイダラはまた、無意識のうちに笑顔を漏らしていた。 まるで蜂蜜の香り ------------------------ 実は相思相愛なんだよ、という話。 フリリク感謝^^ |