頭が重い。そう感じたのは今日、朝起きた時。
夏休みなので授業はなく、生徒は部活動に所属している人のみが今この学校内にいる。その中の一人がサスケであり、今は部活の練習をするために服を着替えている途中だった。部活動の時間は決まっているので、その時間も迅速に行わなくてはならないのだが。
がんがんと痛む頭は容赦なく、息苦しささえ覚えてくる始末だ。
原因は昨日夜遅くまで自主練習をしていた為か、それとも日頃の疲労故か。どちらにせよ体調管理をきちんとできていなかった自分の責任だ。

サスケはこの事は誰にも言わないでおこうと決め、服を脱ぐ為にボタンを開ける手を先程よりも早くした。
心配されるのが癪だったのだ、特にイタチには。
サスケは、兄であるイタチと共にバスケ部に所属している。サスケは一年生であるが、その優れた才能故レギュラーに抜擢されており、毎日そのプレッシャーを背負い練習を続けている。
それは今年で引退のイタチも同じ事で。
これ以上心配をかけたくない。それでも、痛む頭が休ませろを祈願する。
ちらりと横目で、兄の方を見ればガンガンとする頭を左右に振り。
(こんな事で、休むかよ)
ふらつく足元に力を入れて、小さく深呼吸をすれば何事も無いかの様に服のボタンに手を伸ばした。
その時、隣から小さく話しかけてくる声が聞こえてきて。

「サスケ、顔色悪いぞ?」
「!……んでもねぇよ」

驚いた。自分なりに周りには気付かせないように、いつものように着替えているつもりだったのだが。
他のメンバーは気付いてない様子であったのに、どうして分かってしまったのか。そんな疑問と同時に、気付いてくれたという嬉しさが込み上げてくる。
しかし、こんな事で心配や迷惑を掛けるような事はしたくない。
そういった思いとプライドが壁を作り、思わずいつもより低音で言い放ってしまった。
そんなサスケに、部活のメンバーであるナルトは怒ったと思ったのか、少し驚いていた。しかし、イタチはというと、

「……そうか。だが、具合が悪くなったらいつでも言うんだぞ。」

と、未だ心配そうな顔色を変えなかった。
その様子を見ていれば、嬉しさで微かに笑みが漏れる。彼の優しさがじわりと感じ、その間息苦しさが少しだけ和らいだ。そんな気がした。



優しさは最良の薬



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この後、部活中に倒れたサスケを、イタチがお姫様だっこで保健室へ連れて行きます。




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