任務が終わり、退屈な休息の時間。戦闘の時は、いつものように空から爆破していったので返り血なんて浴びるはずなんてないのだが、少し出た汗を流すために風呂に行って。
暇な時は、相方のサソリは必ずと言っても良いほどクグツ弄りに没頭するので、暇な時はとことん暇なのだ。することも無ければ、会話もない。だから、風呂は暇を潰すのに最適な暇つぶしの方法なのだ。
それに、温かいお湯につかると何故か安心する。やはり慣れたといっても戦いには緊張がつきもの。お湯に浸かれば、それすらも綺麗に洗い流してくれる、そんな気がする。
この気持ちを相方であるサソリにも味わってほしい、そんな事を言えば鬱陶しいと罵られると分かっているが、そう思ってしまったのだから仕方がない。
自分はサソリが好き、そう改めて実感させられた気分になった。

そんな事を考えながら風呂から出てくれば、相方であるサソリは案の定クグツ弄りに没頭していた。
クグツを弄る姿も生き生きしていて格好良いのだが、やはりその姿を見ているだけでは暇なのだ。
風呂から出たばかりだし、粘土弄りは風呂へ行く前に散々した。デイダラは半乾きの髪をタオルに押し付けながら、そっとサソリの目の前でしゃがみ込んだ。
暇、と呟けば返ってくる返事は無し。
ねぇ、と問いかければ煩いと切り捨てられた。
いつもと同じやり取りだったので返ってくる応えは初めから分かっていたのだが、やはり寂しくなるのが現状で。

小さく溜め息を吐けば、それと同時にぽたりと湿った髪から水滴が零れた。きちんと拭けていなかったらしいが、今はそれを拭うことすら億劫。
ぶすっと頬を膨らませながらサソリのクグツを弄る姿を見ていると、
ぽたり。
また水滴が零れた。

「おい、クグツに水滴が落ちたぞ。」
「あ、わりぃ。」

ぽたり。
謝ったそばから再び水滴が零れた。今度はクグツには落ちていないのだが、サソリのこめかみがピクリとヒクついたのが分かった。触らぬ神になんとやらだな、とデイダラはくしゃっと髪をタオルで一吹きした。
でも、やっぱりそのまま離れるのは寂しいから。
一言だけ、

「旦那、好き。」

そう呟いた。聞こえるか聞こえないか程の小さな、本音。聞こえなくても良い、どうしても言いたかっただけ。
だから驚いた、

「……俺もだ。」

返事が返ってくるとは思わなかったから。
デイダラは数秒間、目を見開いてサソリを見ていたが、ゆっくりと柔らかな笑みになっていき。
幸せを感じ、満足そうに立ち上がった。
(何気ない本音に、幸せを感じた。)



今、幸せです。




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(好きだと言われて思わず俺もと応えてしまう俺は、相当あいつに惚れているのだろう。)

↑旦那にこの言葉を思わせたかったのですが、いつの間にかデイダラ視点になっていたので断念しました´`


フリリク感謝!



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