ぐるぐると渦巻く頭の中と、食べた物がお腹の中から逆流しそうな感覚。 またやってしまった。 今日は久し振りのデート。お互いにバイトの日付が被っていて、今まで同じ日に休みというものがなかったのだ。 だから、ずっと前から楽しみにしていたこの日に限って、どうして車なんかでドライブしたいだなんて言ってしまったのだろうか(これが自業自得という言葉であろう)。 車酔いなんてなんどやっても慣れないし(寧ろ慣れたくもない)、隣で冷静に車を駐車場に止めるサソリの顔を見れば自分はまだまだ子供なのだろうかと痛感する。 そして、冷静な表情の奥にある不安そうな(そしてどこか真剣そうな)顔色は、いつものサソリの姿からは想像ができない程。 その真剣な眼差しに、少しだけ魅とれてしまっていた。 そして、いつの間にか駐車したサソリが徐に車から降りれば、デイダラ側の扉を開け外へと促す。 その優しさに甘え、気持ち悪さを押し殺して外に出れば、再びグラッと視界が揺らいだ。 その、ヨロヨロとよろける様はまるで酔っている(実際に、車に酔っているのが)のではないかと錯覚してしまうであろう。 頭の中が先程以上にぐるぐると回ってきて、思わず車のドアに手を付く。否、手を付けなかった。 その前に誰かに肩を支えられたからだ。 分かりきっていだが、一応首だけを後ろへ振り返る。すると、先程よりも心配そうに眉を歪めるサソリの姿があった。 「おい、大丈夫か?」 「……す、すまねぇ。」 「構わねぇよ。」 サソリは近くにあるベンチを一目見て確認すれば、デイダラの腕を自分の肩に背負い、ゆっくりと誘導していく。 サソリはその間も片方の手で気持ち悪さが和らぐように腰をさすってくれている。 とても安心できる声に、安心できる存在。真剣に、そして本当に心配をしてくれている彼がとても愛しく感じる。気分の悪さが、ふわりと無くなっていくのが分かった。 それと同時に滲み出てくるのは、彼への愛しさと密着する体への恥ずかしさ。サソリの少し早い心音が伝わってきて、ゆっくりと彼の顔を見る。 すると、耳まで真っ赤に染めた姿が目に入った。 (その姿とこの状況をもっと堪能しておきたいから) (気持ち悪さが和らいだ事は内緒にしておこう) 優しさに甘えたい ------------------------ 車酔いって、怖いですよね← |