※二人は寮生活で同じ部屋です。 深夜。何時頃かまでは分からないが、絶対に起床時間では無いことは確かだ。 窓から見える外の風景は、光なんてものはなく。ただただ、シンと静まり返っている。 まぁ、そんな時間帯に起きる自分も自分なのだが、目が覚めてしまったのだから仕方が無い。 ナルトはのそりとベッドから降りれば、未だすやすやと夢の中にいるサスケを一目見て、口元を綻ばす。 サスケは部活で野球部に所属しており、その恵まれた才能により4番バッターのキャプテンをつとめていた。だからであろうか、キツい練習を人一倍にこなして、そのうえ毎日夜遅くまで自主練習を欠かさずこなしている。 そんな彼を見てると、帰宅部の自分が惨めに思えてくる、ような気がした。 今日も一人で自主練習を続けていたのであろう、自分が今目を覚ますまで彼が来た事に気づかなかった。 ふわりと彼の髪に触れて見れば、未だに水分の含んだそれに少し驚いた。湿気を含んだそれは、触り心地の良いものではなかったが、悪いものでもない。 しかもそれがサスケのものであると思うだけで、心地よさが倍増していくみたいだ。 すやすやと一定の呼吸を繰り返し、瞼を閉じているサスケがより一層愛しく思えた。 「……おい、ナルト。」 「うっ…わ!」 「何なんだ…?」 「あ、いや。…何でもないってばよ。」 心臓が飛び出るかと思った。 いつから起きていたのか、いつの間に起きたのか(あ、両方同じか)そんな言葉が頭の中でごちゃごちゃに入り組み合わさっていく。 彼の髪を触るのに夢中になった(いや、本当は彼の寝顔に夢中になったのかもしれない)事なんて言える訳もなく。ナルトは慌てて手を引っ込めて、目を宙に泳がせる。 (なんか俺、かっこわるいな。) そんなナルトを、横になったまま小首を傾げ見つめるサスケは、まだ眠たいのか瞼を重そうに開けている。 まぁ、まだ今は深夜。それに彼は昨日と今日の練習で疲労は溜まりに溜まってるし、明日も休みじゃない。眠たいのはお互い様(眠たさの差は全然違うのであろうが)のはずなのに、じっと彼の事を凝視している自分がいた。 そんなナルトにサスケは、 「ナルト…、何さっきからニヤニヤしてんだ?」 「……!」 (ああ。やっぱり俺、かっこわるい!) 彼の言葉に今まで気付かなかった。 無意識にニヤニヤとしていた自分に後悔しながらも、恥ずかしさを隠すため自分のベッドに潜り込んだ。 (明日、なんて言い訳しようかな) 無意識が、怖い ------------------------ 寮生活に萌えを感じてしょうがない。 |