しんしんと雪の降る外とは違い、部屋の中は暖房器具のおかげでポカポカとしている。暖かいこの中で、コタツに入り温もりを堪能する。
そして目の前には宿題と睨めっこしているサスケがいた。
サスケは分からない問題を、大学生であるイタチに教えてもらおうと思いイタチの部屋にやってきたのだった。イタチは通っている大学でもトップの成績を誇る天才。サスケもその事は十分に分かっており、分からない問題などはいつもイタチに教えてもらっているのだ。

「なぁイタチ、ここはどうやって求めるんだ?」

そう言って、イタチの方へと顔を向ける。
すると、彼は読んでいた本から目を外し、サスケの分からない問題に一通り目を通す。そして優しく、分かりやすく教えてくれる。
彼の声がまるで心地よいメロディかのように、滑らかに耳に入ってくる。それと、前髪を小さく払う仕草が好きで、無意識のうちにじっと見つめている自分がいる。

本当に、本当に、
俺は、あんたの事が……

「サスケ、分かったか?」
「……っあ。悪い、もう一度言ってくれねぇか?」
「……、仕方ない奴だな。」

そう言うと、唇に柔らかな感触がした。目の前にはイタチの顔が間近に見える。そう、キスをされているのだ。
気付いた時には、その唇は離れており、次はくしゃくしゃと頭を撫でられる。
そして、ニッコリと微笑む優しい顔。

あぁ、なんて安心できるんだ。

そして再び同じ解説をし始める。サスケは顔を軽く左右に降り、無理矢理思考を現実に引き戻すと、今度はきちんと聞くためにイタチの言葉に耳を傾けた。

数秒後、再び鳴り始める紙と鉛筆の擦れる音。イタチの分かりやすい解説により、難しく感じていた問題の答えが着々と解けてゆく。
こんなに分かりやすく教えれるのなら、いっそのこと先生になれば良いのに。そういう考えを頭の片隅に置き、最後の問題に手をかけた。
ちらりと時計を見ると、まだお昼前で、勉強を始めてからそんなに時間が経っていない事が分かる。それなのに、苦手な問題ばかり宿題のは残り一問。
(やっぱり先生になれば良いと思う)
サスケは最後の一問の解答を解いてからシャーペンを机に静かに置いた。少し伸びをして、イタチの方へと顔を向ける。

「イタチ、ありがとな」
「あぁ。」
「……イタチ、」

なんだ? とイタチが顔を上げるとサスケは、ちゅっ。と触れるだけのキスを、その柔らかな唇に落とした。それは小さな音をだして離れて。
いつもはイタチの方からキスをしているから、お礼も兼ねて思い切って自分からしてあげたのだ。もちろん本人は自覚はないが、相手からしてみれば珍しく誘っているのではないかと錯覚してしまうであろう。それは兄であるイタチも例外ではなく、だ。
サスケは頬を真っ赤に染めて、目を左右に泳がせながら静かに離れる。
否、離れれなかった。

「……ふ、…っん?」

イタチの手がサスケの後頭部を支え、二人の唇が重なっている。予想外のキスに、驚きを隠せず唖然としていると、彼はそのスキを見逃さず口内にそっと舌を侵入させる。
震えるその舌を絡めとれば、吸い付いたり甘く噛んでみせたり。時々角度を変えて、再び深いキスをする。時々漏れるサスケの声には段々と艶がでてきた。鼻を抜けるような甘い吐息を口の中で堪能する。口元には飲み込めきれなかった唾液が、ツーっと伝っていく。
なんとか呼吸も少しずつしていたのだが、余裕がなくなるにつれて息が苦しくなってきた。
眉を歪め、ぎゅっ、とイタチの服の袖を握ると、彼は察したのか唇を名残惜しそうに離した。唇からは銀の糸が二人を繋ぎ、それがぷつんと切れたその時、ほわほわとしていた思考をハッと元に引き戻した。

「いっ、イタチっ。…な、なにすんだよっ」
「……?何って、お前が誘ったのだろう?」
「ち、ちげぇよ!……お礼も兼ねての、だ。」

火照った頬を、より一層赤らめイタチを見れば、視線が絡みあう。それさえも恥ずかしくなり、ふと視線を外した。
すると、彼の手が頬を覆い、触れるんじゃないかと思う程の距離で、耳にそっと囁かれる。

「礼なら、お前が欲しい。」

とても綺麗な声で、とても透き通るような声で、とても熱のある声で。
その声に酔ってしまうんじゃないかと思ってしまう。
ばっ、と耳に手を添え顔を上げると、綺麗な笑顔をしているイタチの姿が瞳に映る。元々、女性以上に美しい容姿をしている為、優しく微笑むその姿には息を飲んでしまう。
このような顔を見せられては、拒むだなんて出来る訳がなく。
そっと首に腕を回すと、それは同意の合図となった。

(前言撤回。やっぱり俺だけの先生であって欲しい。)
そして再び二人の影が重なってゆく。



君の瞳に奪われて





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中途半端に終わってしまいました。
また今後、書き直すかもしれません。




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