(今日はクリスマス。 寒い寒い雪の中、暖かい格好をして外にでよう。そして、一緒にクリスマスケーキを買って。あ、その前に一緒に食事でもしようか。 綺麗なイルミネーションで彩る街を一望できるレストランに行って。そこでグラスを鳴らして、こう言うんだ。) 「メリークリスマス!」 AM.7:20 case1.サソリとデイダラ RRR…… 響き渡る電話の音で目が覚めた。 時計を見ると、針は未だに7の位置を差しており、怒りを通り越して溜め息がでてくる。確か今日は学校は休みだった筈だ。 一体誰からなんだと、重たい腰を上げて未だに鳴り続けている携帯電話を、充電器に刺さったまま開ければ、 『旦那ー!』 開けた途端聞こえてくるのは、付き合い始めて約半年のデイダラ。 いつもの元気そうな声で、安心すると同時に鬱陶しさも込み上げてくる。 忘れてはいけない、今はまだ朝の6時だ。普段はまだ寝ている時刻だし、それに今日は休日。サソリは欠伸を一つしたあと、漸く重たい口を開けた。 「……何だよ?」 『いいから、今すぐ外に出て来てくれ!うん』 「は?おい、ちょっ!……勝手に切んなってーの」 言い終わると直ぐに電話を切ったデイダラに(正確にはツー、ツー、という一定の音が流れている電話に)向かって小さく文句を言ってやる。 それでも、渋々ながらでも外に向かっている自分は、相当アイツに夢中のようだ。 マフラーとコートを着て、寒さの対策は万全にして玄関口のドアノブに手を添える。一瞬のひんやりとした感覚に直ぐ離そうかと思ったが、外から聞こえてくる愛しい人の手招く声を聞けば、自然とドアを開けていた。 目の前に広がるのは一面の白。サソリは驚きを隠せないような目で、視界の先一面を敷き詰めている真っ白な雪を見つめた。 「旦那ー、見て見て!」 その中から心地の良い声が聞こえ、そちらを向けばこの一面の白よりも驚いてしまった。 デイダラの隣には彼の等身大よりも大きな雪だるま(しかも無駄に上手い)があるではないか。それを軽く叩きながら、傑作だ!と笑みを浮かべる彼を見ていると、こちらまで自然と笑みが零れてしまう。 (ま、こんなクリスマスもあり、かもな) PM.12:30 case2.ペインと小南 「小南、お昼にしようか」 そう言って入ったのは何の変哲もない飲食店。お洒落な木製の建物に、綺麗なイルミネーションを施された木が沢山ある(まだ夜じゃないので、そのイルミネーションが明かりを灯すのはまだ先だろうが)。 お洒落だけどそこまで驚嘆はできなかった。その証拠に客数も少ない。 (ま、こういうのも悪くはないかな。) 客数が少ないということは、この店をほぼ貸切状態ということ。二人の時間が増えるのは嫌いではないし、寧ろ好きだ(あいつには言ってやらないが)。 「ここは実は穴場なんだ」 ペイン曰わく、イルミネーションの綺麗な店の隣に立つこの店は、いつもクリスマスになると客足は自然と隣の店へと行き、ここはほぼ100%の確率で空いているらしい。 こんな所をよく見つけたなと思わず関心してしまう。 「それに、ここなら恥ずかしがらなくても良い。」 初めは何の事か分からなず、小首を傾げているとペインがくすりと小さく笑みを見せた。 笑う事自体珍しい、その姿に一瞬魅とれるていると、ふと彼の言いたい事に気付いたような気がした。 辺りに誰もいないこの空間で、太陽の光だけが二人に微笑みかける。ペインと小南はお互いに、愛おしそうに手を握り締めると躊躇う事無く口を開けた。 「「愛してる。」」 PM.9:40 case3.イタチとサスケ サザー…ン 冷たい潮の香りが辺りを漂わせている。冷たい風が体から熱を奪っていき、どうしようもない寒さが体中を包んでゆく。 腕を擦り震えるが、家に帰りたいという考えなど微塵も感じず、ただ目の前の彩りの良い幾つもの光を目に焼き付けていた。 「綺麗だな」 思わず漏れる言葉に、自分の柄じゃなかったなと恥ずかしさを一瞬感じたが、それも目の前に広がる光達への感動により消えていった。 赤、緑、黄、青など様々な色をした光のイルミネーション。これを見に行こうと言い出したのは兄であるイタチの方であった。 勉強などで疲れているサスケに少しでも羽を伸ばしてもらいたいと、気遣ったのであろう。 サスケはそんな兄に心の中で感謝し、ふと彼の顔を見上げた。どこか遠くを見ているような綺麗な瞳、イルミネーションの光が当たり綺麗な顔をより美しくする。そんな彼に周りの光よりも魅入ってしまった。 じっ、と見つめていると、その視線に気付いたのであろうイタチと目がパチリと合う。 ニッコリと笑みを見せる彼。それにつられて自分も笑みをみせていた。 そして二人の影が重なりあう。 (ありがとう、ずっとこれからも大好きだよ) (メリークリスマス) 幸せワンデー ------------------------ 08/12/25 メリークリスマス! 全くクリスマスという素敵イベントを生かせれてない文章になってしまいました; 二人に幸あれ! |