時々あなたの胸が恋しくなる。
自分は変態だという訳ではないが、なぜか無償に抱きつきたくなるんだ。これは癖か、それとも愛故か。たぶん後者であろうとは思うが、正直言って理由はどうでも良かった。
あなたを、あなたの胸の中を独占できるのなら。

「オイ、デイダラ。」
「うん?」
「何やってんだ?」
「……なんとなく。」

そう、なんとなく。
ぎゅっと背中から抱き付けば、彼の背中に頬を当てて擦るように擦り付ける。
本当は前が良かったけど、サソリに密着できるなら、背中でも良い。だって今の自分は世界の誰よりも、サソリの近くに居るから。
ぎゅっ、とさっきより強く腕を締め付ければ、サソリがデイダラの方に振り向いた。
ああ、なんて綺麗な瞳をしているのだろうか。本当に人形なのかと疑ってしまいたくなる。
デイダラは、彼と目を合わせるとニッコリと微笑みかけた。

「てめぇは馬鹿か。」
「!?」
「……抱き付くなら前に来い。」

(抱き締め返してやるから。)

そう言うサソリの頬は、人形なのに赤く染まってみえた。そんな彼に、そんな彼の言葉に嬉しくなり、さっきより頬を緩ませ笑顔を送った。




自分だけの特等席





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ここに居て良いのは自分だけ。




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